ぼくがミノルタのX700を持って南太平洋から日本各地を旅するように回っていた頃、
しっくりと来る音楽があった。
オリジナルが発売されたのは1987年、
Honey & B-Boysはこのアルバム1枚だけのユニットで
山下達郎の秘蔵っ子と言われた村田和人に山本圭右、平松愛理、西司の4人組。
強力な4人のヴォーカルと西海岸のからりとした風が吹くような雰囲気は
まさに80年代ならでは。
特に1曲目の「Morning Selection」は出色の出来映え。
村田和人がサビを、山本圭右が主パートをツインヴォーカルで
突然の風に驚いて振り返るとそこには…のような雰囲気。
身体が動き出すのを止められない。
村田和人はハイトーンが伸びてさわやか。
山本圭介は少年の夢を宿したどこか翳りのある表現が出色。
この頃はhPaではなくミリバールの時代(なつかしい)。
タンタンと雨のリズムを刻むなか、マイナーのバラード調のが曲が響く。
1000mbの雨♪、と2番まで歌って
3番は
この雨は僕からのメッセージ 1000mbの愛♪と締める。
(うまいなあ。和声がメジャーに開きかけるので曲調はすがすがしい)
滴が滴りそうな男性ヴォーカルは誰だろう?
(1000mbのサヨナラ)
→ 西司でした。「雨はてのひらにいっぱい」も西司がヴォーカルを取っている。
切なく繊細な歌い方でアルバムにひんやりとした叙情を与えている。
小休止
ミリバールといえば、ソニーの野外ラジオシリーズの名称。
山用として名を馳せた 防水耐衝撃仕様の黒のICR-3000があるが
そこからNSB受信をFMに置き換えたのが黄色のICF-S73。
暗闇でもわかりやすいよう上面に星型の蛍光シールを貼って使っている。
アルバムジャケットも秀逸。
カントリー調のイラストの中央にはちみつの入った瓶が置かれている。
この画面はもちろん静止画だけど
きっと雲の流れは早いんだろうな、
でもその風がぴたりと止んだ一瞬が絵になったんだろうな。
このイラストで物語がひとつ書けそうな想像と創造をかきたてる。
ところが廃盤になってほとんど20数年が経過した2019年7月、
しかも「2019年最新リマスタリング/SHM-CD/紙ジャケット仕様/ボーナス・トラック10曲追加」ときた。
(それまではダウンロード音源すらなかったのだ)
初回プレス枚数を想像するとメディアとしては最後の入手の機会だろう。
平松絵里は2年後にソロデビューを果たし
5年後に「部屋とワイシャツと私」がヒットする平松愛理。
英語の歌詞など彼女に合っていない楽曲もあるけれどアルバムに可憐な花を添えている。
結局、このアルバムは4人の別々の色を持つヴォーカリストと
西海岸の音で束ねて木綿のような風合いを味わうアルバム。
(カラオケで聴くとコーラスの和声が浮かび上がる)
若いっていいよね。
守るものがない生き方が惨めでなく自由と思えた時代が後押しした。
アルバム最後を飾るのはシュガーベイブの名曲「雨はてのひらにいっぱい」。
ぼくは本家よりもこちらが好きだ。
切なくてストレートでそれでいて含みがあって。
さらにカラオケトラックが追加されて、
紙ジャケットに当時の解説資料が満載されて
レコードを取り出すようなビニール袋仕様で。
同じ1987年、村田和人のソロアルバム「ボーイズ・ライフ」も世に出ている。
同時代の山下達郎のアルバムと比べても遜色がない。
特にA面がいいよね。これもからりと陽気な音づくり。
空を駈けめぐるような気分にしてくれる。
(確か西海岸で基本トラックが録音されたのでなかったっけ?)
(私小説や引きこもりの告白のような歌は聴きたくない)
それはそうと
マスク付けるより心の免疫を上げることが大切。
それにはていねいな食生活と心の栄養。
今夜つくった豚肉と野菜煮込み。
これと五分づきのご飯だけで何も要らない。
(もちろん炊飯の直前に精米したもの。そして米の味は研ぎで決まる)
言葉をしゃべりたくないぐらいうまい。
どっさりのタマネギとあまりものの根菜類に生姜を刻んでコトコト、
それに豚バラ肉のオリーブとニンニク炒めを加えて
テルモスの保温鍋で2時間放置。
(オリーブ油はサルバーニョのEV)
ねらいは風邪気味の家人の体温を上げること。
味付けは酒と塩(小さじ半分も使っていない)とトマトパウダーが少し。
薄味だけどうまいうまいとむさぼるように食べる。
店でこんな料理はなかなかお目にかかれない。
下ごしらえは20分だけ。
仕事の合間に手を走らせたので。
【音楽の最新記事】
- アリス=紗良・オットで聴いた 真夏のドビ..
- 真夏のベートーヴェン
- 自然の音を部屋に流してみるなら アンビエ..
- 荒井由実「生まれた街で」 ― 空から降り..
- Give me your hand なつ..
- 「海を抱きしめて」 おぼえていますか
- いつまでも「大切な言葉」燕奈緒美・燕真由..
- アグネス・チャン「ぼくの海」 帰る場所が..
- 凍てつく夜空に月の光 ドビュッシーとベー..
- また見つけたベートーヴェン ああこれもベ..
- 潮騒からこぼれた幸せな時間 SURF&T..
- 桜坂 ガリレオ 観音経 KOH+(そして..
- 心のオアシスのようなギタリスト 朴 葵姫..
- ひまわりの咲く国、森を風が吹き抜けるエス..
- パイナップルとユートピア 聖子の輝いた夏..
- 疾走する今宵の銀河鉄道999 愉しませる..
- 背の高い子ども かつてそうだったことを覚..
- 真夜中のドア〜Stay With Me〜..
- 井上望 メイク・アップ・ミー
- 天国にいちばん近い島はいまでも音楽のなか..