午後からの仕事に備えて事務所で内向きの仕事をしていた。
手元のラジオから流れているのはNHK第一の午前の番組「すっぴん」。
本日2020年3月13日は2012年から始まった番組の最終回。
この番組は週替わりの個性豊かなパーソナリティと
藤井彩子アナウンサー(番組内ではアンカーという)が繰り広げるトークが人気だが
リスナー参加型の番組。
ときの流れが放送側と視聴者を結わえ、いつしか番組の個性がつくられていった。
NHKとはいえ、自由な空気が流れる。
(番組Webサイトでパーソナリティの顔ぶれを見てください)
脱線しがちなパーソナリティーを藤井アナがさらりと引き戻す姉御キャラ。
ところが彼女自身もアルコールが欠かせないので逆にリスナーにいじられる。
車で移動する際にときどき聴いていた。
約一ヶ月前、この番組が3月中旬で終わると高橋源一郎さんが告げた。
そして迎えた最終回は金曜担当の高橋さん。
徳島だから945kHzにダイヤルを合わす(ICF-801)。
津田大介さんも10時台のゲストとして
あいちトリエンナーレを振り返った。
11時のニュースのあと、
人気コーナー「源ちゃんのゲンダイ国語」が始まった。
高橋さんがこの日のために前日に徹夜して書いたものをご本人が朗読するという。
それはラジオをめぐって事故に遭遇した少年と若い看護師の物語。
少年は意識が戻らないが、看護師は少年に呼びかけて毎日ラジオを聴かせている。
それはまだラジオがあった時代のこと。
少年はラジオの音楽に耳を傾けているようにも見えたがやがて他界。
ときは流れて今度は年老いた看護師がおばあちゃんとなって
孫に見舞われる。
孫に問われておばあちゃんは孫にラジオについて話している。
ラジオ放送はもはや行われておらず、孫はラジオの存在を知らない。
そこはロボットの医師と看護師だけがいる近未来の病院。
切ない対話のあとロボット医師が来て「最後のときがきました」と孫に告げる。
人肌の温もりと寂しさをファンタジーに包み込み
社会の風刺も込めて自在に朗読された。
滋味あふれる朗読だった。
朗読が終わると流れてきた曲は?
(当ててみて)
聞き逃した人はNHKの「らじるらじる」で聴くことができる。
https://www.nhk.or.jp/radio/ondemand/detail.html?p=2295_17
この番組は人気番組だった。
なぜ番組がなくなるのか、どのような力学が働いたのかはわからない。
でも、この番組には自由な風が吹いていた。
ラジオでなければ伝わらないこと、ラジオでなければできないことがある。
いまの時代だからこそ、ラジオ放送は大切にされるべき。
音だけの世界からあふれる世界のなんと饒舌なことでしょう(どこかで聴いた台詞)。
法律の改正でAM放送は近い将来廃止されるという。
ぼくは2020年のいまもブラウン管テレビ(購入後20数年)や
PHS(スマートフォンは使わない)を使っている。
古くても優位性を感じるから。
もしいまのAM放送のコンテンツがFMワイドで流されても
なにかなじめない気がする。
音が良くなることを喜べないのは単なるノスタルジーと言われるかもしれないが
アナログチューニング(バリコン同調)のラジオで流れる音声は
FMやCDよりも声の現実感とやわらかさが感じられる。
おそらく周波数変調や量子化されていない音の素性が素直なのだろう。
AM放送、なくなってほしくない。
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