2019年12月22日

生姜は生姜、お菓子はお菓子と思っていたけど、生姜がお菓子に生まれ変わってもっと生姜になる


生姜とお菓子というと素朴な感じがある。
洋の東西を問わず昔からつくりつづけられている定番のお菓子。
でも食べる前から想像が付くという感じがあって
特に新鮮な驚きはないという感覚。

ところが生姜を使ったマフィンをいただく機会があって
その仕上がりに書きたくなったのだ。
DSCF8564-1.jpg

その店はこのブログでも何度か紹介している店で
金曜午後のみ営業の菓子店。
howatto(ほわっと)徳島のシフォンケーキとビスコッティ=旬の素材の焼き菓子専門店
https://www.howatto.jp/

販売と同時に売り切れることもあるらしいが
客足の落ち着く午後3時ぐらいを見計らって店主の伊豆田裕美さんに伺ってみた。

自宅の畑でお母さんが育てている生姜を使っているとのこと。
ご存知の方もいらっしゃるだろうが
一般的な生姜は大量の農薬を使って栽培されている。
家庭でつくるにはなかなかハードルが高いのだ。
ところが小さな規模で土を休ませながらつくると
農薬不使用でも立派な生姜はできる。
この生姜を使っている。

まず素材そのものの力がある。
生姜のぴりっとする感じが強い。
これを菓子にしたらどうなるだろう。

ご本人もブログでこう振り返っている。

生姜のやや刺激のある辛さを砂糖で抑えきることはめざしていません。
まずほのかな甘みがあって、これはおいしいって感じていただけると思うのですが
さらに舌の上でぴりっと感じる生姜らしさが持ち味。
素材の持つ意味を翻訳して、菓子のバランスに気を配りながら
おいしさに変えるのがhowattoの使命と感じています。
だから、ぴりっとが特徴でも甘さが目立つのでもなく
生姜という主人公をお菓子という舞台で再生させてみる―。
そんなお菓子ができました。


これらの生姜がジャムになり
紅茶とスパイスでチャイシフォンになり
今回いただいた香ばしいマフィンになる。


火を入れると生姜はその性質がおとなしくなり、
一緒に入れたバターや小麦と相まっていっそう香ばしくなる。
生姜の菓子は生姜の風味が支配してしまいがちであるが
伊豆田さんの菓子は生姜の個性が鮮鋭になっていながら
むしろ生地のおいしさを引き立てる。

地元の素材を活かす、というのはどこの菓子店でもうたい文句にしているが
一度伊豆田さんのを食べてみれば素材の真髄を活かすことの意味が見えてくる。

それは素材に覆い尽くされず
素材の良さを抽出して(良さを先鋭化して)
元の生地の良さをさらに高い次元に上げるという試み。
(これまでも栗の渋皮煮をはじめ、地元の素材に光を当てておられた)
DSFT8975-1.jpg

ここでも生姜風味に支配されずに
生姜の存在を浮かび上がらせた希有の菓子なのだ。
残念ながら2019年の販売は本日の午前で終了らしいが
来年の営業開始日に足を運んでみてはいかがだろう。


posted by 平井 吉信 at 11:01| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ
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