2019年10月13日

台風19号 未来の日本を映し出す


出張から徳島に戻ると
長野県、関東、福島県を中心に洪水被害が深刻との報道。
堤防が決壊してまちが水没している地区もある。
新幹線の車両基地も水没しているようだ。
お見舞い申し上げます。

地球温暖化により異常気象が頻発する時期に入ったことは
このブログでもたびたび触れている。
また、治水思想を含む河川工学のあるべき姿についても触れている。

堤防が決壊すれば壊滅的な被害を被ることは明らか。
それと同時に下流では被災を免れることになる。

日本の平野は沖積平野。洪水がつくった土地に都市(人口)が集中する。
また、ダムが一定の水量を超えると放流が始まる。
放流が始まると、
ダムに流入する水量以上を放出しなければ
ダムが決壊する怖れがあるので(それは下流のまちが消えてなくなるぐらいのインパクト)
放流はやむをえない。
しかし予測できない局所のできごとに加えて
社会的なルールや意思疎通の手続きのため
理想的に実行できるかどうか。

ダムは洪水対策のためにつくるのではなかったか。
(もちろおダムには利水用のダムや複合的な目的を持った多目的ダムなどがあり、治水だけを目的に設置されているわけではない)
確かにダムの治水容量を満たすまでの時間軸で洪水を吸収するのだが
(その間の降水量をなかったことにできる)
洪水初期に水を貯めたとしても
水量が増えてくる洪水後期に放流すれば下流はダムがない状態より危険度が増す。

ダムは生態系破壊の最たる存在。
上流から供給される土砂で堆砂が進み数十年で寿命を迎える。
水とミネラルを遮断することの影響は長期に渡って海にも現れる。

どれだけ治水対策をしてもそれを上回る雨はやってくる。
しかも過剰な対策の費用と維持管理費を人口減少時代の日本が将来にわたって賄えない。
いずれにしても川はあふれるのである。

ならば、流域で生命財産への影響が少ない場所で
河川工学上あふれやすい場所(水衝部など)を予め想定(計画的に設置)しておく。
生命に別状がなければそれでいい。
(ぼくはとても親しい人を2人洪水で亡くしている)
経済活動の補償を保険で対応するのが合理的。
沖積平野に住むことを選んだ私たちは
人命の尊重を第一に、社会的経済合理性を持ち
生態系と景観の保全を達成できるこの方法が唯一の選択肢。

ところがいまの治水は効率的に水を流すことを最優先しているため
いったんあふれたら今回のように取り返しのつかない被害となってしまう。

ダムではなく大水を時間軸で吸収する手段は森の保水力や棚田、遊水地など
複合的に組み合わせる。
これらはコンクリート構造物のような老朽化はしないし
維持管理の費用もほとんどかからない。

台風19号の被災地はおそらく激甚災害に指定されるだろうが、
人口減少で将来に取り得る対策は限られてくるという前提と
災害復興への支出が国家財政を圧迫していく時代。
消費税増税で格差が広がっていく社会で
(緊急性の乏しい憲法改正や生活者を混乱に招いている軽減税率など何をやっているんだという人が増えている)
情報格差も罹災格差もますます広がっていく気がしてならない。
(ぼくがスマートフォンを使わないのは情報を通して国民を支配する道具に見えてしまうから。自分の生命を自分で守るというのは基本だが、政府がそれをいうと国民を守ることを放棄したようにも聞こえてしまう)

いまを生きていくのが大変な時代、
誰かに思いをはせていくことと
冷静に本質を見て地道に行動していくこと。
いまは被災された方のために。
タグ:台風
posted by 平井 吉信 at 21:37| Comment(0) | 生きる
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