2019年08月15日

徳島の阿波正藍染め+オーガニックコットンの敷物が誕生するまで(栄光カーペット株式会社、徳島県つるぎ町)


徳島県つるぎ町の栄光カーペット株式会社が藍染めの敷物を開発したと聞いて
直接現地を訪問した。
徳島は全国有数の藍染めの産地で「阿波藍」を知らない人はいないだろう。
今回の阿波藍を使った敷物は、全国初の取り組みではないだろうか。
同社の辻社長と奥様の倫子さんにご案内をいただいた。
→ 2019年7月11日 徳島新聞に「藍染めの綿糸で独自製品」と掲載

エピローグ 風合いと色合いをみる

まず、触れてみてください。 
人が敷物に触れたときの最初の感触が大切です。
それは、やわらかでふんわりとしている感じ。
通常の素材では味わえないこの風合いをどのように出すのか―。

次に色を見てください。
この青は徳島の伝統的な色彩である藍色で
東京五輪でも使われているものです。
化学染料と異なる天然藍の色合いをどう活かすのか―。
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オーガニックコットンを阿波正藍染めで染めた糸でつくってみてはどうでしょうか。

敷物の素材の基本知識
通常の敷物はアクリル100%、もしくはナイロン100%を使うことがほとんどです。アクリルは色数が多く染めやすい利点があり、ナイロンは長繊維のため掃除機をかけても毛羽立ちにくく糸のへたりが少ない利点があります(ただしナイロン糸が高いので製品としては多くない)。
天然素材の敷物としてはウール、麻、綿があります。ウールはメーカーから見て扱いやすいのですが毛羽立つのとごわごわ感があります。麻(リネン)は平織りでは存在するもののフック織りではほとんど見かけません。綿も同様に流通が少ないのは、染色に費用がかさみ製造も手間がかかるためです。

平織り…毛が短く裏張りがなく折り曲げて保管ができる、家庭で洗うことができる利点がある。防音効果がクッション性に劣る。

フック織り…フックガンでパイル糸を打ち込んで固定する製法でデザインの自由度が高い。当社の主力製法。


オーガニックコットンがもたらす限りなくやさしいたたずまい
それは綿100%だからです。
綿100%の製品にはほかにない特徴があります。
それは人が触れたときの感触。
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ゆっくりと触れるように掌を置いてみると
気持ちよさが感じられます。
どうせなら良い素材を使おうと考えて
オーガニックコットン※(100%)を選びました。
(※インド綿GlobalOrganicTextileSandard認証)

次に綿を活かす織り方を研究しました。
敷物の品質を決定づけるのは、パイルの長さと目付(糸を折り込む密度)です。
長さが短い、もしくは密度が低いとぺたんとした感じになります。
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オーガニックコットンの感触を味わえるパイルの長さと密度を求めて試作した結果、パイルは長め、密度は高めが良いと判断しました。このことは糸をふんだんに使用することとなりますが、五感に働きかけることが大切として織り方を決定しました。

糸から伝統の自然な色に染める阿波正藍染
藍染めの敷物とは、敷物が織り上がってから藍染めを施すのではありません。
オーガニックコットンの糸の段階から染める必要があります。
そこで綿糸を阿波正藍染めの染色工場に持ちこんで
染めていただくことにしました。
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徳島は吉野川の洪水が肥沃な土をもたらし
藍作が盛んとなりました。
明治の頃から日本有数の藍染めの産地です。
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吉野川は東西に流れる大河なので夕陽が沈んでいく。影絵のように浮かぶカンドリ舟
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ところが藍染めの本場徳島でも糸を染めていただける会社は片手にも届きません。
ようやく協力していただける染色工場様を捜し当て
伝統的な方法で染めていただいた藍染めの糸で敷物を試作したときの感激は忘れません。
どのように活かすか、試行を重ねたところ
3種類の濃淡をそのまま使うプレーン(単色)のほか、
濃淡3色を使ってグラデーションや
波の模様などを織り上げました。
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おすすめの用途
製品は特に○○用などとしておりません。
この素材感をお好きに活かしていただけたらと考えます。
フロアや椅子の上に置いて
友人や大切な人たちをおもてなしてみるのもいいかもしれません。

金額が高いと思われるかもしれませんが、素材と染め賃に由来するもので
面積が大きくなると高くなっていきます。
手が届く価格でまずは感触をお確かめいただけるのがチェアパッド(椅子やフロアの着座用)です。
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もう少し大きくなると、この上で寝転んでいただくことができます。
自然の風を感じながらうたた寝をする休日の午後にいかがでしょうか?

流通を省いて直販で
絨毯やカーペットをつくる会社は日本にどれぐらいあると思われますか?
業界団体がないので正確な事業所数はわからないのですが
当社が把握する限りでは10社程度ではないでしょうか。
そのほとんどは当社と同様に下請がほとんどで、
一部の通販対応を行っておられる事業所を除いて
最終的に製品をお使いになられる方々とお取引がない場合がほとんどです。
流通を通して販売しているので私たちの会社には営業部も販売員もいません。

その代わり、近所の女性たち約10人に働いてもらっています。
彼女たちには来られるときに来て仕事をしていただいています。
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子どもが病気、親が介護を求めているときは気兼ねなく休んでもらいます。
働き方改革などと昨今呼ばれるような取り組みかどうかはわかりませんが
当社ではずっとそのようにしています。
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仕事も家庭も両立しながら安心して取り組めることが人生の生きがいと製品の品質につながると考えます。
女性たちの勤続年数は長い人で30年程度(複数)、短い人で3年、
多いのは10数年程度と長く続けていただいています。
彼女たちがのびのびと仕事をできる環境を調えることが経営者の役割と思っています。
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ここで会社の近所をご紹介いたします。
吉野川支流の貞光川の傍らに工場があります。貞光川は西日本第二の剣山から流れ出す清冽な流れ。
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貞光川に架かる欄干のない橋(潜水橋)を通って貞光のまちなかへと入ります
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以下のリンクは吉野川沿いのつるぎ町を自転車でまわるツアーの動画です。
急傾斜地の農業の様子なども出てきます。
(ブロンプトンポタリング協会作成)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=184&v=3GRLxV9XDdo

地域を挙げて支えていただいています
商品開発や販路開拓とは無縁の世界でやってきたので
誰かに相談してみようと考えたとき、徳島県信用保証協会からお声がけをいただきました。
「これまで消費者に販売したことがないのですが、新開発の製品については高価になりすぎることとお客様と意思疎通の必要を感じるので流通を通さず製造直売のスタイルが取れないかと考えていますがどうでしょうか?」と。
それに対して専門家派遣制度をご紹介いただきましたので、
製品開発や販路をともに検討し、やがてマスコミに取り上げてもらえるようになりました。
いまご覧になっているこのWebサイトもそのようにしてできております。

実は私たちはメールのやりとりが苦手です。
落ち度があってはいけませんし、細かなニュアンスをお伝えしたいので、
お問い合わせは、電話とfaxでお願いしています。
製品について工場までお越しいただければ
現物をお見せしながらご納得していただけるよう説明いたします。

弊社以外に現物をご覧いただける店舗として、
徳島市の阿波おどり会館内にある「あるでよ徳島」をご紹介いたします。
そちらには徳島の特撰ブランドが揃っていますのでご訪問をおすすめいたします。
〔あるでよ徳島〕
●開館時間/9:00〜21:00 (12/21〜12/27・1/2〜1/10=9:00〜18:00)
●休館日/12/28〜1/1、6月、10月、2月の第2水曜日(祝日の場合は翌日)
●駐車場/3,000円以上お買い上げの方は1時間無料[対象パーキング]・阿波おどり会館駐車場・眉山パーキング・新町地下駐車場
●問い合わせ先/公益社団法人 徳島県物産協会
TEL:088-622-8231 FAX:088-623-9779


お届けできる主な製品
(価格はいずれも工場お渡し直販の場合)
阿波藍の円座(チェアパッド 直径35センチ)2万円+税
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長方形(60センチ×90センチ、部分敷きにお使いいただけます) 9万円+税
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小さな欠片を吊して何かにできるかも(企画中)
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お取り扱いの注意
藍染めは色落ちすることがあります。
これまでのテストでは特に顕著な現象は認められていませんが、白の無地の服や汗ばんでいるときはご注意いただけますと幸いです。
製品は裏打ちしているため水洗いができません。
汚れのひどいときは当社で対応いたしますのでご連絡いただくのが良いかと存じます。
ご購入後も安心してお使いいただけるようにいたします。

栄光カーペット株式会社
代表取締役: 辻 智
〒779-4103 徳島県美馬郡つるぎ町貞光字宮内20
電話 : 0883-62-2191
fax : 0883-62-5158
営業時間 : 8:00〜18:00
定休日:日曜・祭日
公式Webサイト:https://eiko-carpet.com/
(一部はWebサイトから買い物かごで購入可能。特注寸法も承るとのことで見積もり応談)
タグ:吉野川
posted by 平井 吉信 at 10:53| Comment(0) | くらしとともにあるモノ
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