2019年08月12日

吉野川 穴吹町から山川町にかけて


川沿いを運転していると
ここで立ち止まりたいと思うことがある。

水面の縦の流れと横の波、そこに映る河畔林、
土手の向こうの霞む山脈と堂々と浮かぶ雲。

ここでの川は「河」と呼びたい大河である。
もし、日本の川が擬人化して野球選手になるとして
全日本の4番と5番を打つのは誰(どこの川)か?

全国の川好きに問うてもほとんど異論が出ないだろう。
4番 吉野川
5番 四万十川である。

4番を打つのは「日本一」があまりにたくさんあるから。
日本一の基本高水(これだけで十分だろうけれど)、
四国山地を豪快に横切る日本一の横谷「大歩危小歩危」、
そこでは世界ラフティング選手権が開かれた激流の景勝地。
日本一の水質を持つ支流があり、
池田から岩津にかけて距離50km、面積270ヘクタールの日本一の竹林(水害防備林)、
姿を変えながら三百年近い時を刻む第十の堰、
そしてそこでは後世にまで語り継がれるだろう民主主義の範となる市民運動を刻んだ。
川の歴史と自然条件が藍を育んだ。
かつては幻のアオギスが棲み
ラムサール条約登録地でもある河口干潟はシオマネキなど水生生物の宝庫。
河口は全国一のスジアオノリの産地でもある。
瓶ケ森の南斜面から流れる清冽な水の色はほぼ空色であり
例えようがない明るさと深みを持っている。
池田から徳島まで川が東西に流れるため、太陽が川から昇って川に沈む。
カンドリ舟が水面に影絵となって散乱する。
だから全日本の4番である。

四万十川が5番というのは、
あの悠然たる穿入蛇行と
山裾を洗って流れる桃源郷のような下流の佇まい、
そこに架かる沈下橋と川とともにある人々の暮らし、
川が郷愁を持って語られる最初で最後の呼び名「日本最後の清流」。
太古から好きなところを自由に流れるその姿は5番にふさわしい。
吉野川と四万十川が4番と5番を打つのなら
あとはどんな川が入るか考えてみるのも盆の一興かと。

四国からはもうひとつ那賀川が入る。
一日にもっとも多く雨が降った木頭村と
四国の霊峰剣山に源を発する槍戸川の水を集めて
鷲敷ラインの急流とここにしかない生態系を持つ。
国がダムをつくろうとするのを村長が先頭に立って
全国で初めて止めたのもこの川の上流が舞台だった。
犠牲が大きかったが、いまではそのDNAを受けつぐ人が
志を持って会社経営を行い故郷に錦を飾ろうとしている。
打順は3番でもいいと思うが、2番という手もある。

1番、2番はダムのない清流がいい。
ここも四国の海部川、野根川が入るのではないか。

6番には仁淀ブルーの仁淀川。四国の川だけで全日本が編成できそうだが、
後は九州の球磨川・川辺川、中国の錦川、近畿の熊野川、北海道の沙流川。

代打として、天塩川、石狩川、北上川、信濃川、木曽川、長良川、江川が入るのではないか。
(利根川が入っていないではないかとの声もあるが、打線には瞬発力や機動力も必要だ。静岡の狩野川を入れておきたい)。

結局はこんな感じで。
1番 海部川
2番 野根川
3番 那賀川
4番 吉野川
5番 四万十川
6番 仁淀川
7番 熊野川
8番 錦川
9番 狩野川

1,2番の控えで代走 沙流川、釧路川
DH 信濃川、天塩川、江の川
代打の切り札 長良川、那珂川


結局、ベストナインに6人(それも1番から6番)が入った。
この価値に気付いていないのは四国の人。
良い川があることがどんな恵みをもたらしているか
掘り下げて考えてみたら良い。
暮らしの本質とかけ離れた観光キャンペーンではなく
四国は暮らしそのものを見つめること。
だから地元の意識が変わらぬ限り、キャッチコピーや動画をいくら繰り出しても無意味。
川とともにある人々の暮らしこそ、四国の本質と言い切ってしまおう。
(ぼくは行政の観光振興にまったく期待していない。LEDやプロジェクションマッピング、イベントや記念オーケストラなどではなく、例えば図書館の蔵書を充実させることがほんとうの文化振興であり、ひいては観光振興につながる。課題の連鎖を顧みず表面的なKPIやPVだけ見てそこに至るプロセスにお金をかけても意味がないよ)


前置きが長くなった。
吉野川の穴吹町から山川町にかけては自転車でたどるのをおすすめする。
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posted by 平井 吉信 at 00:21| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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