2019年06月13日

「高齢社会における資産形成・管理」(金融審議会WG)を読んで


令和元年6月3日に発表された
金融審議会 市場ワーキンググループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」が
話題となっているので読んでみた。
人生百年時代の資産形成と管理について問題提起を行ったもの。
特に不快な表現はなく、積算の根拠も示されている。
どこが問題なのかわからなかった。
これに対し与党の政治家(生活苦とは無縁の人たち)から
報告書を受け取らないなどの態度が表明されている。その理由もわからない。

大勢の有識者が集まって行政機関の名で出す報告書は
根拠を明らかにするとともに角を丸めて
控えめな表現(伝える意図よりも言いすぎないことが求められる)で
ニュアンスが伝わりにくいのが通例。
この報告書も問題提起を行っているが
それ自体が不当に危機を煽っているわけではない。
以下に置かれているので消されないうちにダウンロードして読まれることをおすすめする。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

ここでのモデル試算はあくまで平均的な世帯像ということになっている。
しかしぼくのような国民年金受給者(若い頃はお金がなくてかけられていないのでもらえても月4〜5万円だろう)だと、毎月不足するお金はこの試算以上となる。
仮に月の生活費を26万円として国民年金の場合なら
不足額は月21万円の赤字で1年で230万円程度、
30年無職で生きれば預貯金は7千万円弱必要ということになる。

うちにあるテレビは現役のブラウン管テレビ(15インチと19インチ)。
持ち物には小学校から使っているモノもある。
エアコンは使っていないので夏場の気温は平均で32度ぐらいである。
スマートフォンは10年間導入の検討を行い
2年前に2012年製の中古端末を3千円で試験的に導入し
その動作を確認できた。
使ってみたところ特に用途が見当たらず
普段は電源を切って運用し必要なときは電源を入れて
レスポンシブWebの検証用に使っている(これだけで使う意味は十分にあるので買って良かったと思っている。フリップ入力という使いにくいインターフェイスが操作を遠ざけている)。
車も20万km未満の走行で買い替えることはない。
こんな生活態度の人間を浪費家と呼ぶ人は少ないだろうけれど、
2千万円の預貯金で30年はおろか20年乗り切るのも冗談でしょうと言いたくなる。

先の報告書の試算では月額の支出26万円のなかに
住宅リフォームや介護費用、重篤な病気の治療費は含まれないとしている。
うちは数年前に危険な状態であった屋根の葺き替えを行って
途方もない修繕費が入り用となったがそんな数字も含まれない。
冠婚葬祭や接待交際、旅行などもときどき行くとすれば月額30万円以上は必要だろう。
さらに老後にローンが残る人はどうなるだろう。
悲観論でも理想論でもなく
普通の世帯で老後の資金は5千万円〜7千万円は必要なのだ。
そのうち退職金で2千万円程度を充当できるとすれば、
3千万円〜5千万円の預貯金が必要ということになる。

若いときにやりがちな過ちがある。
それは過去の意思決定の後始末を未来に回すこと。
ローンを組んで大型ミニバンを買ってそのツケを6年後まで払うのではなく
身の丈の車を購入してローンを組まない、
もしくは必要なときにシェアカーといった手段もあり得る。
貯蓄がないといっても収入の多い少ないではなくお金の使い方に問題がある。
自分に投資するのは未来の種まきを行う有意義なお金の使い方だが
将来に果実を生まない資産に投資してそのツケを未来で払うというお金の使い方は
いわゆるマイナス生産の投資。これではこれからの時代に生きていけない。
投資すべきは自分自身。
自分が未来にやりたいことをやり切るための投資に振り向けるべきでは?

世帯の貯蓄残高に目を向けると
貯蓄がほとんどなく老後を迎えている世帯も相当ある。
さまざまな調査で数字が異なるが、
14%の世帯は貯蓄がないという結果もあれば、
30〜40代がもっとも貯蓄がない世帯の割合が高いが
どの年代でも貯蓄なしの世帯が3割程度あるという調査もある。

現実を直視すれば老後の貯蓄は2千万円で足りず
物価は年々上昇するなかで
消費税率が10%に改定されると生活を直撃する。
これでは老後にすらたどり着けないことにある。
ここ十年程度の政策は格差を広げるばかりで
将来への不安は増すばかり。
政治や行政任せではいけないというのが
この報告書の隠れた問題提起ではないかと思えるのだ。

政治には期待していないし、
政策を任せたい政党はどこにもないけれど
それでも次善の選択をあきらめることなく続けていく。
民主主義の義務を果たしていくことは
自分で意見を持って主張しできることから地道に実行していくこと。
そこから賛同者も広がっていく。
とにかく夢をあきらめないこと。
絶望的な未来に光を観るのは一人ひとりの行動の積み重ね。
30年後のことはいったん忘れて信念を持って毎日を積み重ねていく。
ただいまを生きる―。それが答え。

追記
金融庁では公的年金以外に必要となる老後の生活費を
1,500〜3,000万円と独自に試算していたことが判明。
(これも控えめで楽観的な試算だろう)

一方で非正規雇用が4割に達しており
そのほとんどの年収が200万円に満たないのが現実。
モデル試算はいまや日本から消えてしまった「中流」が前提のようだ。
生活格差の拡大で富裕層は以前より金持ちになり
平均値を押し上げていると思われる。
(平均値が中流より上となっていることに留意すべき)。

さらに経営者として多額の有利子負債(キャッシュフローと比べて大きいという意味)を抱えて入れば
まずは借入を返済しなければならない。
自分の代でそれができないと子息は事業を継がないので
返せない借金となる。
廃業してその費用で清算ができれば良いが
そのような事業所はほとんど見当たらない。
(売却時の資産がスクラップ価格になるからだ)

政府の言葉を信じて老後が一文無しになっても救済はない。
現実にお金は必要となるので
いまから自給自足で相当程度を賄える四国の山間部に移住して準備をするか
株式投資でも始めるかの自衛策が必要となる。

ただし平均株価は人口減少の日本の現状と内需を拡大できない政策では
上がる要素はまったくない。
リスクはあっても個別の銘柄への投資が次善の選択。
しかし投資した企業が市場の環境変化に翻弄されたり
災害多発期に入ってリスク対応の不備(BCPなど)で
株価が暴落すれば財産を失うことになる。
分散投資は基本ではあるが、一般の方は株式投資に手を出すべきではないのでは?
(ぼくは行っていない)

個人での防御策といっても
未来を切りひらく自己投資は積極的に、それ以外の支出は切り詰める以外に
やるべきことが見当たらない。
個人としての自助努力と国民の義務を果たすことは当然だが
政治や行政にもメッセージを伝えていかないと
(選挙やパブリックコメント、懇談会や議会への参加、インターネットでの意見表明、地域活動など)
この国はそう遠くない将来に「見たくない明日」になってしまう。



posted by 平井 吉信 at 23:24| Comment(0) | 生きる
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