江川崎から窪川までの四万十川は
その代名詞の穿入蛇行を繰り返しながら
山間部を流れる大河の中流域。
山に囲まれた下流と違って空が明るい。
山が迫っていても土地が開けている。
三桁国道といってもこの区間は快適に流れていく。
(四国路では宍喰〜室戸間とともにオープンカーで走ってもっとも気持ちの良い区間だろうね)

起点は江川崎の道の駅よって西土佐。

対岸に見えるのは天文台、ホテル星羅四万十。

四国の道の駅でもっともコンセプトが見える施設(軽トラがその象徴)


目当てはいちごようかん。
いちごの含有率が高い手作りのようかんは出色の出来映え。

天然鮎も売りだが、
ぼくは小さい頃から鮎喰川や海部川の天然鮎を食べてきたから
四万十川本流のアユは…
道の駅を出てすぐに見えてくるのは長生(ながおい)沈下橋。

国道381号線は気まぐれ蛇行の四万十川へ付いていけず
時代とともにトンネルで短絡してまっすぐに。
道から置いてけぼりとなっている川筋がのどかな桃源郷。
これは2008年夏の中半家沈下橋


十和村広瀬を訪れたのはもう20年以上前だろう。
広い河原と前方には山が迫る地形は四国の片隅に自分たちだけの隠れ家。
川音と蝉時雨の夏、四万十川に飛び込んだ。
近くに小さな湯船に熱い湯を張った柳瀬温泉があり、
川遊びで火照った身体をほんの一瞬預けた。
夜になれば懐中電灯で足元の流れを照らしてテナガエビやモクズガニを探す。
星を見ながら流木を焼べながら洋酒を飲みうとうと。
あの頃、声をかけて集った仲間はどうしているだろう?
良き妻、良き夫となり、良き母、良き父となっているだろうか。
四万十川は遠くになりにけり、と思っているかもしれないが
ときどきは掌で温めているかもしれない。
山深い川の畔の思い出はあせることなく
人生を照らす焚き火のように。


クルマは快適に381号を土佐昭和にさしかかる。
予土線と並行する三島沈下橋が眼下に見えてきた。


水量が少ないが増水したら迫力がある三島の瀬も対岸に見える。

予土線の時刻表を見たらまだ1時間以上汽車はやって来ない。
この写真は2016年3月下旬に撮影したもの。
たまたまトロッコ列車が通過した(まだ肌寒いころだろう)


土佐大正で無手無冠酒造のダバダ火振を買い求めたのもあの頃。
当時、東京では知る人ぞ知る栗焼酎だったと
月間アウトドアの藤田編集長がおっしゃっていた。
上岡(かみおか)沈下橋は昭和38年の建造。
優美なコンクリート構造物と四万十川の蛇行が重なって風景に溶け込む。



窪川周辺の水質は決して良くないけれど
海をめざして流れていくうち
人家の少ない流域と無数の支流と山からの湧き水で浄化されていく。
下流の水質はピカイチだ
盛夏の四万十川を思い出す。
この川には支流が多いことが地図を見るとわかる。


でもいまは2018年秋、平成最後の四万十川の秋が過ぎていく。

追記
窪川に昼過ぎに到着したので
あぐり窪川のレストランで豚の生姜焼き定食を。
米豚、生姜、仁井田米も窪川の特産品。

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