2018年11月09日

シフォンとビスコッティの店howatto 徳島市内で毎週金曜日に店びらき


このブログをお読みの方にはスイーツがお好きな方がいらっしゃるだろう。
スイーツのなかでシフォンケーキという分野は
これまで主役になりきれていない感じがあった。
SNSで見映えがしないし、見た目の素朴さとは裏腹につくるのに手間がかかる。
素材への理解と作り方の両面に科学と感性のひらめきが必要。
おいしいおむすび、卵焼き、みそ汁にも通じる難しさがあるのだ。

そのシフォンケーキを一段高いところに引き上げた女性の菓子職人が店をひらいた。
howatto(ほわっと)の伊豆田裕美さん。
https://howatto.jp/
https://howatto.jp/blog/
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場所は四国放送社屋の裏手、
建築設計事務所の1階を間借りして金曜日のみに営業するという。
動物園跡地に面した裏通りで
クルマは店前に軽自動車なら3台、大きなクルマは1台程度停められる。
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2018年11月9日(金)〜以後毎金曜日
場所:徳島市中徳島町2丁目38番地 炭谷建築設計事務所1F
営業:毎週金曜日 12:00-18:00

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howattoのつくる菓子はすでに催事販売で引っ張りだこで
香川県や愛知県にも依頼を受けて出店されている。
徳島市沖浜のナガヤでも毎月1回土曜日に販売されている。

howattoのシフォンケーキは最初の一口から驚きが待っている。
閉じ込められていた卵や果実のおいしさが
その見かけ以上にふんわりとした食感から
素材の持つまろやかさや甘さが豊潤かつ上品に現れて
跡形もなく消えていく消失感。
そのきわみがプレーンのシフォン(商品名:新鮮卵と牛乳のシフォン)
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彼女いわく
「鶏の食欲が落ちる夏場の卵の風味と春先ではこくが違います。シフォンにも風味の変化が現れます」。
素材を味わうとはそういうこと。
プレーンのシフォンにはベーキングパウダーも塩も使われていない。
小麦粉は香川県産を中心に数種類をブレンドされているとのこと。
素材を選んで引き算することと、工程(手技)とが相まって
こくがありながら、口当たりの良い風味が実現するのだろう。
離乳食や高齢者のおやつにと買っていく人もいるようだ。
「少しブランクがあって感覚を忘れるとシフォンの再現が難しくなります」とも。
機械で量産するのは難しいようだ。

さらに季節の素材を加えたシフォンではプレーンとは別の世界を描ききる。
定番商品にフレーバーや見た目で変化を付けただけの派生品ではなく
別の価値(おいしさ)を提案している。
例えば、いちご系のシフォンを冷やしてみると
いちごの甘酸っぱさが閉じ込められて
果実の香りと酸味が
シフォンを土台に冷菓のようにしっとりひたひたと口に溶けていく。

個々の風味が際立ちすぎると奥行きがなくなり
埋没するとぼやけた風味となる。
素材の宝庫徳島で素材選びに始まりそのブレンド(立ち位置)を決める感性と
量産が困難で大手が参入しにくい手作業の焼き菓子を扱っていながら
描いたとおりに仕上げられる技術を持っている。
だから彼女のファンは、howattoなら季節の素材をどんなふうに仕立てるのだろう、
という期待感があるという。

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これまでに販売されたシフォンケーキをみれば素材の使いこなしの妙がうかがえる。
・栗とエスプレッソのシフォンケーキ
・黄金桃とヨーグルトのシフォンケーキ
・甘夏と大吟醸のシフォンケーキ
・いちごと金柑のシフォンケーキ
・ブルーベリーとヨーグルトのシフォンケーキ
・ゆこうのシフォンケーキ

上勝町特産のゆこう和製レモンとも呼ばれる鮮烈でいてまろやかな風味は徳島にしかないもの。ぼくは晩秋から春先にかけてゆこうの果汁を搾って毎日飲んでいる。個人的には香酸柑橘の王様と思っている)
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素材はほとんどが地元産で(近所で採れるものがほとんどだとか。ゆこうは上勝産、いちごは徳島市南部の生産者、桃は岡山の生産者から直接取り寄せているらしい) 
選んだ素材を最適な調理で下ごしらえをしてシフォンケーキと合わせる。
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プレーンのシフォンケーキにhowattoの原点があるとしても
旬の素材を使っている商品には季節が感じられる。
(輝く時間は限られているという生命のはかなさ)
そこに感謝していただくのも食の本質的な愉しみ。

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シフォンケーキと並ぶもうひとつの定番、ビスコッティ
しっかりとした堅さを持った食感に
素材感を満載しながら口の幸福感をつくりあげている。
素材をこの堅さに閉じ込めて歯ごたえと素材を愉しむ菓子というのは
ほかにない世界観(ほわっとだけでなく、かりっともある)。
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バジルとチーズのビスコッティゆこうとチーズのビスコッティが人気だが、
今回の営業からココアも加わっている。
彼女のビスコッティは、紅茶はもちろんウィスキーと合うおとなの菓子となっている。
ある意味ではシフォンを越える新たな菓子の世界を提示している。

howattoの菓子は専用のクッキングスタジオを借りてつくられている。
菓子メーカーに在籍された経験で菓子づくりの科学的な知見を持ちながらも
素材を活かす感性と、ていねいな作り込みで唯一無二の世界観を見せてくれる。

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やわらかなシフォンとかたいビスコッティの対照性がおもしろい。
howatto ×(感性+技術) = 季節の素材(やわらかいシフォン+かたいビスコッティ)

そして11月9日(金)12時にhowattoはオープン、
以後毎週金曜日のみの営業を開始する。
(11月8日のプレオープンの日に訪問。許可をいただいて撮影)

posted by 平井 吉信 at 10:46| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ
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