高気圧が居座った列島で
ミネラルのような水が見たい人がいるかもしれない。
そう思って海部川へ出かけることにした。
道中、至るところでコオニユリの群生。



距離が数十キロ離れていても
自生地の環境がまったく違っていても
コオニユリ同士が通信しあっているわけでもないのに
同じ時期に百花繚乱となる。

やや盛りを過ぎたかもしれないねむの木も河畔のいろどり。




海部川では支流筋に入る。



背後に天然のクーラーの風が吹き抜けてくるのは
サササシサシスサ―。

この沢を降りてくる地形がなせるもの。
滝のそばで体感する「涼」と同じ。

沢は目の前で合流する。
そこは木陰でもあり
椅子とテーブルを置いて
流れを見ながら食べる。
(弁当を作る時間がなかったので)
食事のあと炭酸水で小休憩。
涼の風、泡をくぐらせる咽、
頭を使わない時間なのに脳のなかが音でない音でみたされる。



海部川本流をさらに遡っていく。
水は増水気味だが苔の状態はいいようだ。
海部川はダムがないことに加えて河畔林が特徴。

初夏のユリも愛でつつ



狭窄部を慎重に降りていく。
こんな色の水が生まれたままの表情で流れている。





流れる水のヤ行とラ行の音、
燃える薪の語りかける炎、
わき起こるカジカの声の重なり、
新緑の緑の無限の遷移(トーン)、
それらはすべて海部川。





水の抑揚の刹那はは星夜のまたたきにも似て
ツンツンツイイと海部川、
このミネラルのゆらめきが南四国の白眉だから。
追記
保勢は明治25年に山が崩落して集落を壊滅させた大災害を経験している。
https://www.shikoku-saigai.com/archives/9940
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