2018年03月06日

重症児通所支援事業 ミラクルキッズを立ち上げます 


篠原実智子さん(42歳)は、
平成30年春に重症心身障害児を受け入れる施設を
小松島市内で開業しようとされている。
重症心身障害児(以下「重症児」)とは、
重度の知的障害および重度の肢体不自由が重なった子どものことである。
場合によっては呼吸器をはずせないなど医療の支援を要する。
ところが、重症児を預かる通所施設は県内にはほとんどない。
そこで自ら開業してみようと決意されたのだろう。

篠原さんのご子息、裕人(ひろと)君は呼吸ができない状態で生まれ、
そのまま新生児の集中治療室で人工呼吸器を装着した。
仮死分娩そのものはそれほどめずらしくないそうだが、
裕人君の場合は次第に症状が悪化。3歳8か月まで長期入院となった。

在宅での療養を望む篠原さんだったが、
人工呼吸器を装着しての在宅療養は困難と考えられた。
それでも篠原さんの思いを受けて、
関係の母子医療センター、療養施設等が協議を行って
人工呼吸器の使い方の研修やトラブル発生時の連携体制を確認。

定期的に日中一時支援と短期入所を利用できるようになったので、
篠原さんはパートタイマーとして働けるようになった。
さらに関係者の協力もあって念願のヘルパーの資格も取ることができた。

しかし裕人君の病状は少しずつ悪化、
腎機能の低下で腹膜透析を行うようになった。
退院後を見据えて施設関係者は透析管理の方法を学ぶことで
施設への受入が可能となった。

七五三を迎えた裕人君(写真)
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入学式の裕人君(写真)
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(写真は篠原さんの許可をいただいて掲載。(c)篠原実智子)

裕人君は特別支援学校の小学部へと入学。
当初は母親が付き添った授業も、
やがて裕人君はひとりで受けられるようになった。

子どもは誰もが等しく教育を受ける権利があるというが、
学校の授業や行事はかけがえのない機会である。
在宅療養のなかで家族と一緒に外へ出かけた思い出、
支援学校でのお友だちとの学びと遊びの機会は
本人にも家族にも得がたい経験となっただろう。

重症児を支えることはその家族を支えることでもある。
そのためのしくみづくりはもちろんだが、
理屈で計り知れない家族の気持ちに寄り添う意思疎通は
かたち以上に大切かもしれない。

けれど関係者の願いも届かず
裕人君は7歳の誕生日を迎えることなく天国に召された。
篠原さんは当時を振り返る。
「眠ることができず、どうやって生きていたのか不思議なくらいでした。お泊まりで預かってもらえる日があると、また1週間だけがんばろうと思える。それがないと、いつまで続くかわからない状況に絶望していたかもしれません」。

一時的に介護や育児から離れて休息やリフレッシュすることをレスパイトというが、
「私の経験を糧に重症心身障害児を受け入れる施設をつくりたいと考えるようになりました」
と篠原さんは言う。

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篠原さんは周囲が驚く行動の人である。
平成29年春に志を実現するため動き始める。
まず小松島市内に適当な土地を物色して手に入れた。
周辺は渋滞がなく道路の幅が広いのに交通量が少なく車が停めやすい。
ひのみね総合療育センターへも近い。それだけでも重症児の通所には助かる。

そして小松島商工会議所へ創業の相談に行った。
対応された経営指導員の油谷さんは
まず土地を買ったという篠原さんにあっけにとられて言葉が出なかった。
けれど篠原さんの熱意に打たれて
なんとかしてあげたいと思う気持ちで創業相談を続けた。
油谷さんのサポートを受けて篠原さんが作成した創業プランは、
11月10日に徳島県の「あったかビジネス事業計画」の認定を受けられることとなった。
http://www.pref.tokushima.lg.jp/mb/jigyoshanokata/sangyo/shokogyo/5007318
https://www.our-think.or.jp/?mode=detail&p=2229

篠原さんと行動を共にしたのは神ア麻衣子さん。
事務処理は苦手だが前進力のある篠原さんと
事務処理を緻密に行う神アさんの対照的な二人の名コンビ。

さらに元の同僚の協力が得られることになり、必要な有資格者の目処が立った。
日本公庫(国民生活事業)から融資も得られ、
親切で協力的な阿南市内の建築業者(田窪建設さん)を篠原さんが探してきて
新築の建物も平成29年暮れに完成した。

施設の目玉として篠原さんが考えたのは、
入浴サービスに力を入れること。
自宅での重症児の入浴は子どもの身体を支えながらの作業なので
腰を痛めるなどかなり大変だ。
それでも風呂に入れると血行を促進し子どもを気持ち良くさせてあげられる。

篠原さんは、子どもたちの可能性を信じている。
そして家族の暮らしをも支えたいと施設名を「ミラクルキッズ」とした。
 
事業内容:児童福祉法に基づく指定通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス)
所在地:小松島市金磯町3番89
運営者名:合同会社キセキ
施設名:ミラクルキッズ
利用対象者:重症心身障害児
運営理念:利用者及び介護者家族のQOL(生活の質)の向上

(この記事は、篠原さん本人へのヒアリングと専門知識については「小児看護」第38巻第10号=2015年9月を参考に書いている)

追記
この記事をご覧いただいている方々へ

平成30年春の開業を前に、施設は立ち止まっている。
それは必要な有資格者があと1人足りないのだ。
篠原さんたちもハローワークに募集案内を出しているのだが…。
(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士のいずれか)

上記の資格を持っている方で「ミラクルキッズ」に共感できる人は
電話をして話を聞いて欲しい。
納得されたらハローワーク経由で申し込むことができる。

ミラクルキッズ(合同会社キセキ)
電話0885−39−1550(開業前の電話対応時間:月曜から金曜の10時〜16時)
担当:篠原さん、神崎さん

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創業のビジネスプランの指導を受ける篠原さん(小松島商工会議所)
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施設は交通量の少ない広い道路に面していて車を停めやすい
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このプレートに込められた思いはミラクル(奇跡)
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カエルはミラクルキッズのアイドル。未来に向かって飛び上がるのだから。
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南向きの明るく清潔な室内
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雲が浮かぶ空をイメージした天井
色がみるみる変わっていくLED電球は子どもたちの興味を引く。
視覚など知覚への適切な刺激は大切と篠原さんたちは考えている。
奇跡を起こしてどこまでも子どもたちに飛翔して欲しいから。
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子どもたちを擬人化したような壁の動物たち
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運営がうまくいくこと、
そして子どもたちの笑顔が弾けることを願って。

2018年7月12日追記
必要な資格者が揃って7月1日から営業が認可され、2日から施設の運営が開始されました。
小松島市周辺で重症心身障害児をお持ちの方、
ご負担を軽減する意味でもご利用していただけたらとのことでした。
よかったですね。
篠原さん、神崎さん、児童発達支援管理責任者の横田さん、看護師の竹内さんをはじめ
スタッフのみなさんの明るい笑顔が印象的です。
がんばってくださいね♪

タグ:創業・起業
posted by 平井 吉信 at 16:03| Comment(0) | 徳島
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