2018年01月30日

ばらの騎士 爛熟したヨーロッパの宝石箱 そしていまを生きる人のために


ばらつながりでというわけではないけれど、
リヒャルト・シュトラウスの楽劇「ばらの騎士」。

人によってはモーツァルト以来、最高のオペラと評する人も少なくない。
爛熟したヨーロッパの落日を前にしてまばゆい残光に包まれる感さえする。
舞台は18世紀近辺のウイーンとされる。

ぼくが好きなのは、プッチーニの「蝶々夫人」。
ただし蝶々さんが新居をめざして長崎の丘を登っている場面から
愛の初夜を迎える第一幕しか聴かない。
(「ある晴れた日に」のアリアは有名だけど、不幸な蝶々さんの哀しみはたとえ音楽といえども聴きたくない。幸福の絶頂のまま音楽も終わらせてあげたいと思うから)
夢のようなフレーニのピアニシモと
日本情緒をたたえた旋律の盛り付けが耳のごちそう。
五月の日曜の晴れた朝に、
窓を開けはなって風を感じつつ聴く幸福感は何物にも代えがたい。

といってもぼくはオペラ通ではない。
CDを持っているのは、モーツァルトの「魔笛」、「フィガロの結婚」、
プッチーニでは「蝶々夫人」のほかに「ラ・ボエーム」。
ヴェルディでは「椿姫」。
オペレッタではレハールの「メリー・ウイドウ」。
そして「ばらの騎士」ぐらい。

ときは中世のウイーン。
(筋書きは誰が説明しても同じだからウィキペディア(Wikipedia)でも)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B0%E3%82%89%E3%81%AE%E9%A8%8E%E5%A3%AB

始めてこの楽劇に接する人でも
この三重奏(第三幕)を聴いてみたら何かを感じるはず。
日本語の歌詞対訳がついている6分少々の場面。
https://www.youtube.com/watch?v=9Qzcnd0pLvg

戸惑いながらためらいながらも高まりを抑えきれない若いふたり。
シュワルツコップ演じる元帥夫人の気品と自らに言い聞かせるような独白。
そして若いふたりを導くように身を引いていく。
憧れと諦念と戸惑いが織りなす三重奏が夢のように展開される。

ゾフィーのテーマの木管を、
オーケストラが包み込むと夕映えのような至福のとき。
予備知識は要らない。ただ音楽に身を任せてみて。

これでもっと聴きたくなったら
第二幕全体(対訳付)へ。
https://www.youtube.com/watch?v=JqUK1NyKYrE

時間のない人は5分過ぎのばらの騎士オクタヴィアンの登場する場面、
銀のばらの献呈の場面へ。
(チェレスタとハーブが銀のばらを描いているとされる)

そして8分からこのオペラでもっとも美しい時間が宝石のようにあふれだす。
10代の若いふたりが惹かれあう。
そこに理性も筋書きもない。なるようにしてなっていく。
ばらの騎士(結婚の使者としてばらを持参した若者)が花嫁を
花嫁がばらの騎士を。
それは自然の摂理のようで、それは必然のようでもあり。

…もっと語りたいけどやめておく。
DSFT7856-1_Fotor.jpg

人生はそんな場面にいつ遭遇するかわからない。
生きるって、どれだけ深く感動できるか。
生きることが輝いて見えるから。


追記
ぼくが持っているカラヤン/フィルハーモニアはAmazonで2万円近い価格設定の業者がいる。
輸入盤なら3枚組で1000円少々で買える(日本語対訳は付いていない)。
HMVで買うのが良い。
http://www.hmv.co.jp/artist_%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%80%81%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%EF%BC%881864-1949%EF%BC%89_000000000019384/item_%E3%80%8E%E3%81%B0%E3%82%89%E3%81%AE%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%8F%E5%85%A8%E6%9B%B2%E3%80%80%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%A4%E3%83%B3%EF%BC%86%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%AE%A1%E3%80%81%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%84%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%81%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%92%E3%80%81%E4%BB%96%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%99%EF%BC%95%EF%BC%96%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%AA%EF%BC%89%EF%BC%88%EF%BC%93%EF%BC%A3%EF%BC%A4%EF%BC%89_3666118

http://www.hmv.co.jp/artist_%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%80%81%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%EF%BC%881864-1949%EF%BC%89_000000000019384/item_%E3%80%8E%E3%81%B0%E3%82%89%E3%81%AE%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%8F%E5%85%A8%E6%9B%B2%E3%80%80%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%A4%E3%83%B3%EF%BC%86%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%AE%A1%E3%80%81%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%84%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97%E3%80%81%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%92%E3%80%81%E4%BB%96%EF%BC%881956%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%AA%EF%BC%89%EF%BC%883CD%EF%BC%89_8163750

Amazonでも見つかるが日本語入力ではここに辿り着かない(輸入盤なので日本語対訳は付いていない)


Amazonならカルロス・クライバー/ウイーンのDVDがおすすめ


さらに追記
入門用として良いCDがあった。
カラヤンとウィーンフィルによる1984年の新版
抜粋盤なので聞きどころを抜粋して1枚、千円台に納めている。
しかも日本語の対訳付。
おすすめしているのはカラヤンとフィルハーモニアの旧盤(1956年だが演奏が良く音もまったく問題なしで世評の高いもの)だけど
録音が新しいこちらも演奏と歌手は悪くない。




タグ:2018
posted by 平井 吉信 at 23:12| Comment(0) | 音楽
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