






(フジX-T2+XF35mmF1.4 R、XF14mmF2.8 R、フジX-E2+XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS。いずれも手持ち)
あかり障子とふすまで区切られた空間がある。
障子の和紙がすずろに明るい。
紙一枚で隔てた「向こう」と「こちら」は
ことさらに区切られてはいない。
けれども、幾重にも空気を閉じ込めた和紙のとばりは
光をはんなりと宿し、
そのときの風に移ろい、
水気を調えながら、
そこはかとなく気配を映し出している。
床の間があり、茶の間が寝間にも広間にもなる
融通無碍の空間、日本家屋。
まず柱を立て、屋根を造って全体が見えた後、
それを分割して「間取り」をする日本家屋は、
ふすまを自由につけ外すことによって、
ひとつの部屋を多目的に使うことができる。
間取りとは、部屋をつくることであると同時に、
時間に応じて間をしつらえることである。
建具で仕切り方を変えるだけで、
晴れの日と普段のくらしが入れ替わる。
障子を開けると、縁側が見え、
外の空気が人の気配を伺いながら入ってくる。
それからなじみの顔が縁側に現れる。
四季を取り込み、人を取り込む間取り。
障子やふすま、雨戸といった建具がその微妙な仲立ちをする。
隔てながらつないでいる不思議なやりとり。
夕暮れ時、表で遊んでいた子どもは、
ふと気づいてひとりふたりと消えていく。
昼でも夜でもない時刻、河童に喰われぬうちに家に走って帰る。
玄関戸を開けると、
夕げの支度が整ったことを知らせるおつゆの香りが漂っている。
生活様式の変化、洋風化に伴い失ってしまったのは、
家族のつながり、自然との無意識のやりとりかもしれない。
この藍染めの空間展示は
あちらとこちらを分けつつも
はんなりと互いを映す。
足元が見えないほどの暗がりに
光源からの光の粒子もしくは波が
藍染めの布をたゆたう。
時間が揺らぎ
空間があいまいになる。
ブライアン・イーノの環境音楽のような効果音もいい。
あなたもはんなりと漂うときの微粒子になってみる―。
ローランド・リケッツ監修による標記イベントは
2018年1月28日まで(無料)。
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/kyoiku/bunka/5009667
(無味乾燥のプロジェクションマッピングよりずっといい。個人的なつながりの音楽関係者に使途不明のお金をつぎ込んだのは誰の判断? その反面、図書館や通常の文化振興予算を大幅に削減したのは誰の判断? このままうやむやになるか、引責して辞めてしまっても真相はわからない。多くの指標で全国最下位に近い現状でマスコミ受けするパフォーマンスではなくもっと地に足の付いた県政を)
タグ:藍染め
【徳島の最新記事】
- 線路は続く 風が走り抜ける田園を
- JR牟岐線 田野川鉄橋を渡る上りのワンマ..
- 知事選に寄せてその2 課題解決力ではなく..
- 知事選に寄せて
- 吉野川大橋の下 雨が上がって弁当と散歩(..
- 悠久の石庭 徳島にこんな場所があったのか..
- 港町の夕暮れ 夏の入道雲やちぎれ雲は劇的..
- 春のうららの鶴林寺 深山幽谷の趣のまま
- 徳島には豊かなものがありすぎて
- 年末年始の神社訪問
- 狸はいまも そしてこれからも 阿波の狸の..
- 藍よしのがわトロッコとの遭遇(徳島駅)
- やまびこ打線の池田高校 ノーサインの富岡..
- 祖谷(東祖谷)の奥深さ 時を経ても縁は切..
- 海に沈む太陽を眺める気分の川辺の光景 吉..
- 紀貫之が遊星を眺めたらなんというだろう
- 神山へ連れ出す
- 小松島市長選 何を求める 何ができる 思..
- 阿南市加茂谷地区は移住者の隠れた魅力の地..
- 若葉の頃を思い出す桜 牛岐城(阿南市富岡..