2018年01月17日

土曜の夜は羽田に来るの/ハイファイセット、せつなくて/オフコース


赤い鳥というフォークグループが解散後に
紙ふうせんとハイファイセットの2つのグループが誕生。
(リアルタイムで赤い鳥を知っている訳ではないけれど)
紙ふうせんの話題に触れて
ハイファイセット/山本潤子に触れないわけにはいかない。

ぼくが持っているのはPasadena Park というアルバムだけ。
ハイファイセットのことも知りたいと思って1枚買ってみた。

まずはこの映像と音楽から。
https://www.youtube.com/watch?v=9rYvdzVQw1Q
♪土曜の夜は羽田に来るの
たったひとりで羽田へ来るの

初めて買った車がマリンブルーのワーゲンゴルフ(それも新車で)。
(さらにいうと現金で誰からの援助もなく。エアコンは高くて買うのが半年遅れたけれど)
この車で屋久島に出かけたり、
http://www.soratoumi.com/sakuhin/yakusima/
http://www.soratoumi.com/sakuhin/yakusima/index2.htm
あちこち出かけたけれど、
心で鳴らしていたのは「中央フリーウェイ」。
(四国に中央高速はないけれど(^^;)

ユーミンの楽曲を山本潤子がうたうと
心に引っ掛からない「音楽」になってしまうと感じることがある。
(同じことは、マンハッタン・トランスファーのシェリル・ベンティーンにもいえる。でも、その声に身を任すのは心地よいしずっと浸っていたいとも思う)

思うにユーミンは歌の情景を心に描いてうたっている。
けれど、語ろうとして語りきれないところが
かえって余韻として心に残る。
聴き手はユーミンの世界を自分に投影するけれど
歌い手からみればユーミンの曲は彼女の私小説。
誰がうたっても「お客様」になってしまう。
(とはいえ、最初にユーミンを聴いたときは、誰がほかの人が歌ってくれたら…とも思っていた)

「土曜の夜は羽田に来るの」は
楽曲の世界観を見事に描いている。
歌詞、旋律、アレンジが描く情景は
心のひだを映してやまない。
(この曲からひとつのドラマ/脚本が書けそう)
山本潤子の歌い方もこの曲そのものとしかいいようがない。
絶唱しないのに、
感情を排除してうたっているのに
引き込まれてしまう。
♪空から帰らないあなたと話すため
心配しないで 新しい愛も訪れるでしょう

この世にいない恋人に向けて呼びかける。
空にもっとも近づけると信じた羽田で
「心配しないで」と話しかける女性の耳元に
天国からの伝言がこだまする。
♪♪♪♪
(ほら、天国の彼がアレンジを借りて応えている)
せつない…
美しすぎてどうにかなってしまいそうなほど。

CDをさらに聞きこんでいくと
新たな地平線が見えてきた。
(この素のままの声の良さはタイムドメインのスピーカー、それも帯域を付加しないで単独で鳴らすとき、がもっとも伝えられるかもしれない)
「冷たい雨」の楽曲との一体感、
「ファッショナブル・ラバー」「メモランダム」のキュートな変幻自在、
「幸せになるため」の悠久に思いをはせ(まるで現代の幸福感を先取りしたような)、
「少しだけまわりみち」の軽やかな輪舞曲、
「中央フリーウェイ」はユーミンと異なる価値を提示、
「遠くからみちびいて」「海辺の避暑地」で内面を見つめる。
(何度か聴いていると1枚をスキップすることなく聴き通してしまう)

フレージング、リズムを職人的に仕上げて
日本語の発声がやわらかく自然で
ノンビブラートでうたう声の質感の高さ。
(安心して浸れる。21世紀の歌い手は技術面でもこの時代に及ばないと確信している)
受け取る人がそれぞれの世界を広げられるように
うたわれているのではと。
(いま、40代が聞ける上質のポップスってある?)

音楽の世界に浸ることは
向き合って追体験することで浄化されるということだよね。
音楽がぽっかりと空けた深淵に聴き手の思いを重ねるように。




(場面変わって)
好きな女の子と
窓の外の雪を見るともなく見ていた。
「雪が降っているね」という言葉しか見つからなかった冬休み。
(・・・・・・)
切ないといえば、
オフコースの「WE ARE」がそのときの心に響いていた。

このアルバム、最初に聴いたとき音の良さに驚いた。
こんなにドラムが抜けて弾むのか、
ハイアットやキーボードが空間を凛と響かせて。
良質の機材で感性のあるエンジニアが録音、トラックダウンしたのだろう。
音楽としてもオフコースの頂点になったのではないか。

ファンはどう思うか知らないが、
オフコースの楽曲も歌い方も感傷的に過ぎる反面、
なよっとしながら辛口の歌詞や抽象的な世界観に違和感を覚える人もいるだろう。
(ぼくも全面的に受け容れてはいない)
それはそれでいい。

でも、このアルバムの楽曲は
せつないうたを紡いで最後の余韻に浸ってしまう。
(特にB面の最後4曲)試聴先→ http://amzn.to/2mBKGLu

音楽を聴いて感傷に浸ることもいい。
ぼくにとって、あの雪の日を思い起こせる唯一の音楽だから。

音楽の力は過去完了ではなく
現在進行形として人の感情が息づいていることを教えてくれる。

タグ:2018
posted by 平井 吉信 at 00:37| Comment(0) | 音楽
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: