2017年05月21日

南四国、風のとおりみち、ミネラルの回廊、海部川


穴吹川とか仁淀川が水質日本一となったことについて
異論を挟むのではないけれど
一級河川(国土交通省の管理)のなかで、という注釈付である。
それより水質の良い川は全国どこにでもある。
人家のない上流域ではどこの河川も水質は良好なはずだが、
水質を測定する基準点での測定結果ということ。
でも、川は水質だけでその価値は判断できない。
(世の中、1番をめざすことに価値があることもあるけれど、順位よりも大切なこともある)

流域に雨が多いこと、
流域に人口が少ないこと、
流域の森が広葉樹、もしくは混交林を中心に管理されていること。
(地元の森林組合や林業家のご尽力)
そのためミネラルの循環=生態系の連鎖が途切れていないこと。
その結果、人々の暮らし(風土)が川と密接に結び付いていること。
つまり川は水質だけで決まらない。
水質が良いのは当然としてそれだけではないということ。

地球上でこの定義を満たす川があるとしたら、
温帯モンスーンの川文化がある地域、
そうなると日本、
それも南四国、次いで南紀しかないだろう。
(屋久島の川は美しいが生態系という視点ではどうだろう。花崗岩の岩盤を流れる渓谷がそのまま海に流れ込むので生物相が豊かとは言えないだろう。屋久島の川を実際に観察した感想から)

だから、南四国の川資源は、観光や文化、風土において差別化要素となり得るし
保全のための啓発と資金を投下する価値がある。
○○ノミクスや経団連では、
一見正義に見える経済合理性や比較による横並びの発想はあっても、
異なる確度から独創的な個性を大切にする行動や考えは生まれないよね。
個性を、どうお金(経済)に結びつけるかを考え始めると
施策の迷走が始まる。
連携ってその最たるもの。
(○○連携から独創的な価値が生まれる?)
個人番号、消費増税、補助金ばらまき、共謀罪…。
その先に忍び寄る影を国民は曇りのない目で見抜かないと。
皮肉なことに、クールジャパンをもっとも喜んでいるのは日本人のようにも見える。
日本人すごい!と外国人に言わせて。
(それが震災からの復興の後押しになったならそれも否定しないけど)
ただ、本質的に存在するものにプロモーションなど要らないよ。

川の話に戻る。
先の条件をすべて満たす川は四国でもそう多くない。
ダムがなく、川がそのまま渚へ注ぐことで
山のミネラルが海へ届けられる。
ダムがあるとフルボ酸鉄が減少することは知られている。
1998年に気仙沼の畠山重篤さん(「森は海の恋人」の著者)にわざわざお願いして
主催者として徳島で講演会を開いた。
そのときに畠山さんが教えてくれた。
地元気仙沼も2011年に大津波の被害を受けたが、数年をかけて養殖筏は復元され、
いまも現役でいらっしゃることをNHKのドキュメンタリーで知った。

ミネラルは山と海をつなぐ。川はミネラルの回廊。
だから南四国の海部川と野根川に絞られる。

このところ雨らしき雨が降っていない。
川底は必ずしもよくないのではと思ったが
(大水で川底の栄養物を流すことがときには必要=川の清掃)
意外にも、この日の海部川は良かった。
誰もいない。
ひとりで水辺に立って水面を眺めている。
10分、20分、1時間、2時間…。
こんな贅沢はドバイやマリブのプールでもできない。


国道から右岸の堤防をたどると支流の母川がある。
濃密な河畔林と大きな岩の割れ目、
そこにはオオウナギが棲むと言われている。
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→ 徳島県立博物館の佐藤陽一専門学芸員の論文
http://www.museum.tokushima-ec.ed.jp/kiyo/2016/26_49-55%20Sato.pdf
母川が群を抜いてオオウナギの捕獲例目撃例が多い。
ただし河川改修工事後は確認例が激減しているらしい。
それにしても博物館、文書館、図書館、美術館などの
文化予算は削減してはならないと思う。
地球が教えてくれること、
長い時間が語り掛けてくれること、
人の営みが綴ってきた風土、
唯一無二の存在の芸術などが教えてくれるのは
過去から未来へ流れる時間を糧に、教訓にして生きること。
LEDやデジタルアートなど一過性のパフォーマンスを政策(手柄)としてアピールしても何も残らない。

→ 鞆奥漁協
http://tomo-kuroshio.com/index.php?%CA%EC%C0%EE%A4%CE%C2%E7%A5%A6%A5%CA%A5%AE
オオウナギの写真が掲載されている

母川から分かれて再び海部川本流へ
河畔林の切れ目から水が見えると覗き込んでしまう
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上流からゴムボート(インフレータブル式のカヤック)が流れてきた。
ぼくのファルト(アルミパイプを組み立てて布をかぶせる組み立て式)は面倒でだいぶ使っていない。
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アユの解禁前なので釣り師もいない。静かな川面を滑る一日を満喫されているよう。
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この水の色は、フジX-T2の撮影したそのままの画像で見ていただいている(プロビア)。
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新緑とそれが水に落とす影の階調
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山裾を洗う中流域(樫の瀬付近)
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1時間も立ちすくんで何をしていたの?
風が収まるのを待っていたから―。
風紋があると水底が見えないから。DSFT0854.jpg

この岩から飛び込んだもの。
水深は3メートルぐらい、水位が上がると5メートルぐらいになる。
竹林を背に、淵と瀬があり、
砂と砂利はテント設営にうってつけ。
しかも水面から3メートル上がっている。
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夜が更けつつ、たき火を眺める。
カジカの声を聴きながら、ときどき水に入ってテナガエビを取る。
アユは寝ているようだが、モクズガニは夜に浅瀬に出てくる。
捕まえたら茹でて食べる。
静かに川の時間が過ぎていく。
1995年までは。

海部川を海部川ならではの存在にしているのはこの河畔林。
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河畔林に沿って風が流れ、鳥や虫も移動していく。
河畔林は風と生き物の通りみち。

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ここは南四国、風とミネラルの回廊、海部川。


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追記1 速報 ツクシイバラ 開花

ツクシイバラの前にムラサキカタバミ。田んぼのあぜの木陰で涼しげだったから
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前年は雨の日に見た。快晴よりも雨のほうが花があでやかに見える。
http://soratoumi2.sblo.jp/article/175489220.html
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DSFT0665.jpg

DSFT0641-1.jpg

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追記2 フジX-T2 フィルムシミュレーションのテスト
上から順にプロビア、アスティア、ベルビアの3枚を掲載。
フジX-T2+XF14mmF2.8 R 
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第2世代の画像処理(X-Trans CMOSU)では
色が派手でちぐはぐな印象があったアスティア、
緑や花が造花のようでしかも赤系の花の色が飽和しがちなベルビア、
やはりスタンダードと称されるプロビア以外は使えなかった。
それが第3世代(X-Trans CMOSV)では
フィルムシミュレーションが実用になった。
(余談だけれど、第2世代でベルビアを愛用しているプロカメラマンのコメントを見ると、こってりした食事ばかりされているのでしょうね、と声をかけてみたくなる(^_^;))

フジX-T2+XF35mmF1.4 R
DSFT0623.jpg

DSFT0624.jpg

DSFT0625.jpg

フィルムシミュレーションは、デジカメ時代にフィルムを交換するように
画像処理技術で色調を変化させる楽しみを提供するもの。
第2世代では、変化が大きすぎて、
どの色を信用して良いかわからないバラツキ感があった。
第3世代では、違いがあるけれども個性として受け容れられるようになった。
基本の軸がしっかりしていて、そこに微妙な個性を乗せている。
その結果、第3世代の画像処理では色彩の忠実度が増して
階調がなめらかになった。
メリハリと見ための立体感があるのは第2世代。
自然ななかにフジの記憶色が昇華されて
陰翳を伴う立体感があるのは第3世代。
フジのX-Trans CMOSは第3世代になって画像として完成した印象。

posted by 平井 吉信 at 16:06| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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