友人が海部郡の下灘方面に異動になった。
(本人は喜んでいる)
毎朝、自宅を6時過ぎの下り普通列車に乗って
南へ向けて下っていくという。
車で行けば1時間少々で行けるはずだが、
阿南から南の牟岐線の経営が厳しいと思って
わざわざ汽車通勤(徳島県内には電車は走っていない)しているのだとか。
山をすり抜け川を渡り、朝日にきらめく海辺を走るローカル線がたまらないという。
彼は日曜でも(別に出勤する必要はないのだが)仕事を覚えたいので、と通勤している。
(仕事中毒ではない。むしろその逆である。責任感からかそうしているのだろう)
不平不満とは対極の生き方をしている男である。
実はぼくもJR四国をなるべく使おうとして
年間数十万円(四捨五入すれば桁が変わる)を投資している。
しかし切符を買うのはいつも駅で現金だけ。
ここはなんとかならないかとも思うのだが。
(これだけ乗ってもJRは得意客?を峻別する方法がない。これがホテルだと、利用履歴で部屋をアップグレードしてくれるなど便宜を図ってくれるのだけれど)
そのJR牟岐線の桑野駅を過ぎると、山間部と里山を縫うように走って行く。
この1両の列車が水を張ったばかりの田に映える。

まっすぐの線路、そこを横切る里の道。


あぜのタンポポやムラサキゴケを見ていると…。

踏切脇を見るとシマヘビが出ている。
もうそんな季節なのだ。


この後、牟岐線は幾多のトンネルを抜けつつ由岐方面の海沿いを走るが、
国道55号線は内陸を走って日和佐に至る(いまだに美波町とは呼びにくい。県内の人には美波町では通じないことが多い。やはり日和佐だ)。
その55号も自動車道ができて
旧道は車がほとんど通らなくなった。
そのため、コーナリングを楽しむバイクツーリングをときどき見かける。
日和佐のまちに入る前に大戸の集落がある。
この里山をライツミノルタ+ロッコール40oにフジクロームを入れて撮影に通ったもの。
(この画角は好きなのだ)
集落を流れるのは日和佐川の支流、北河内谷川。
樹木のトンネルをくぐった水が取水の段差を越えて落ちていき、
杉林を抜けて蛇行しながら下っていく。


集落の入口にある神社の境内は影となって涼しい。

しかし地面を見ると
ゲンゲなどの春の山野草が一面に分布している。
特に気を引く風景ではないはずなのにそこに釘付けとなった。












沢から水を引いて順繰りに棚田に落としていく。
水を入れたばかりの田にはさっそくトンボが産卵にやってきた。

条件の良い茎なのだろう。2組のカップルが混線ぎみだ。

ペアが入れ替わらないかと心配になるが
今度は左右対称だ。
互いに比べ合っているようにも見える。

1組が離れた場所に止まって混線終了。



やれやれ落ち着いて産卵ができる、と声が聞こえてきそう。
(日和佐川へ続く)
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