18番恩山寺から19番立江寺へと抜ける遍路も通る車道は
里山の面影が残るゆるやかな峠越え。
春の草花を見ながらのどかな小径をたどる遍路。




峠を下りる途中で眼前に飛び込んでくるのは
「老いてなお仲むつまじくきそいざき」と記された樹齢百年の夫婦桜。



肉体は足し算をしていくけれど失われていくものもあり
足し算がおかしくなって編集ミスを起こす場合もあり。
時間の経過とともにエントロピーは増大していくけれど
経験から導かれる結論は収斂されていく。
それを円熟とか老化とか呼んでいるけれど。


樹齢百年の桜が語り掛けるのは
老いて(置いて)いくことを感傷を交えず直視せよと。
そしてそこから立ちのぼる感情を味わえと。
小松島市立江町からひとやま越えれば羽ノ浦町岩脇地区。

かつては葦が生え繁り河童が出ると言い聞かせて
子どもを近づけなかったどんがん淵も
いまは岩脇公園として整備されている。






どんがん淵からあふれた水は那賀川へと流れ落ち
やがて9キロメートル先で紀伊水道へと。
その水は蒸発して山へ登っていく。
水の輪廻 生老病死、
めぐる季節、ただこの春を愛でれば。
【山、川、海、山野草の最新記事】
- 今週のらんまんから〜ムラサキカタバミ〜
- 避暑地の選択 南四国なら 川
- 渚と読書
- 深い杉木立に包まれた第20番札所 鶴林寺..
- 大河が蕩蕩と押し流す鎮め(吉野川 川島町..
- 今週のらんまんから〜ツチトリモチ〜
- 見上げるパラグライダーと夏の雲
- 植物図鑑を持って夏の渓流に出かけよう(夏..
- 近所の森に出かけて昆虫を見よう(夏休み特..
- 高原に雲が沸き立つ(夏休み特集その3)
- 渚に行こう 波間に憩う
- 今週のらんまんから ノジギク
- 夏が来れば思い出す 郷愁のかなたの黒沢湿..
- 今週のらんまんから キレンゲショウマ
- 棚田の夏 赤松川流域の里山を歩く(夏休み..
- 河畔のタキユリ(カノコユリ)と庭のカサブ..
- 今週のらんまんから ヤッコソウ
- 阿南市福井町辺川の棚田
- 何度でも幾度でも田園を走るJR牟岐線のロ..
- 田井ノ浜臨時駅最後の夏 牟岐線の廃止は止..