18番恩山寺から19番立江寺へと抜ける遍路も通る車道は
里山の面影が残るゆるやかな峠越え。
春の草花を見ながらのどかな小径をたどる遍路。




峠を下りる途中で眼前に飛び込んでくるのは
「老いてなお仲むつまじくきそいざき」と記された樹齢百年の夫婦桜。



肉体は足し算をしていくけれど失われていくものもあり
足し算がおかしくなって編集ミスを起こす場合もあり。
時間の経過とともにエントロピーは増大していくけれど
経験から導かれる結論は収斂されていく。
それを円熟とか老化とか呼んでいるけれど。


樹齢百年の桜が語り掛けるのは
老いて(置いて)いくことを感傷を交えず直視せよと。
そしてそこから立ちのぼる感情を味わえと。
小松島市立江町からひとやま越えれば羽ノ浦町岩脇地区。

かつては葦が生え繁り河童が出ると言い聞かせて
子どもを近づけなかったどんがん淵も
いまは岩脇公園として整備されている。






どんがん淵からあふれた水は那賀川へと流れ落ち
やがて9キロメートル先で紀伊水道へと。
その水は蒸発して山へ登っていく。
水の輪廻 生老病死、
めぐる季節、ただこの春を愛でれば。
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