2016年09月19日

まだ知らない食の作り手がいることを知って欲しい 徳島の人に(とくしま特選ブランドの可能性)


雨の三連休、県外からの観光客の集まり具合が気になって
阿波おどり会館の物産館「あるでよ徳島」に立ち寄ってみた。
http://tokushima-bussan.com/
ここには、徳島の特産品が集まっている。
他には、徳島阿波おどり空港の3階ショップ、
http://www.tokushima-airport.co.jp/facilities/
松茂のとくとくターミナルなど。
http://toku-toku.com/
それぞれ徳島駅、飛行機、高速バスとそれぞれ公共交通空港の結節点にある。

なかでも阿波おどり会館は、阿波おどりを見られることと相まって
連休中は賑わっていた。
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入口から売場へ向かおうとすると試食が行われている。
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奥には「とくしま特選ブランド」のコーナーがあった。
専門家などの試食などによって選ばれた県内を代表する逸品で
どれをとっても失望する商品はない。
http://www.pref.tokushima.jp/docs/2016062900071/

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今回はこのなかから買ってみた。

鳴門っ娘(鳳月坊)
鳴門金時を使用した和菓子洋菓子はあまた出ているが、成功例は少ない。
芋を活かせば、菓子であることの必然性が薄れ、
菓子として手をこらせば鳴門金時の必然性が見えなくなる。
そんななかで、納得できたのは多くない。
・神戸アビルテの「鳴門金時パイ」。コンビニ菓子と太刀打ちできる価格でこの水準に仕上げたのは研究熱心な作り手としかいいようがない。
いもくりタルト(プレーン)(南国製菓)。芋は黄金千貫だが、イモと栗の組み合わせをタルト生地が占めている。鳴門金時パイもそうだが、やはり食感の変化がカギとなっている。
・鳴門金時お芋さぶれ「金時のさぶ」(ハタダ製菓)。職場では個装となっていること、サブレに金時風味で手頃という着眼点が独創的。焼き菓子なので日持ちする点も買いやすい。職場みやげというジャンルと自分用のおやつを両立させている。4代目社長も力が入っているようだ。

しかしこれらは徳島県外の商品である。
(県内の菓子メーカー、がんばれ!! ハレルヤイルローザはいい線を行っている)
と感じていたここ数年、
鳴門の鳳月坊から発売されたのが鳴門っ娘
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これは鳴門金時と和三盆の正攻法でつくられたもの。
金時を強引に甘さに引き寄せないのが和三盆の意味。
一歩間違うと、ホシイモになりかねないところでバランスを探った。
ほんものの芋のミニチュアのような外観も受けたが、
それはあくまで装飾的な要素(しかし視覚に訴求する)。
そのイモの皮の部分が食味を引き締めている。
砂糖や蜜の甘さに逃げなかったところが立派。
いま徳島でみやげを買うとしたらこれが一番だろう。
おいしい玉露か、九州のまろやかな緑茶でどうぞ。
(日本語変換が難しい名前は検索で不利というところが惜しい)
http://hohgetsubo.jp/index.html

鳴門ピクルス(花れんこん)
れんこんのピクルスか?と軽く見ない方がいい。
この完成度は細やかな仕上げと作り手の感性に裏打ちされたもの。
これだけの素材を1つの袋(瓶)に凝縮するには
一つひとつの素材を最適化したうえで全体の調和を取る作業が必要。
料亭でもこれだけのものはなかなか出せないのではないか。
食感、風味、それらの変化と組み合わせの妙は根菜たちがつくる小宇宙。
http://www.naruto-mon.jp/corp/hanarenkon/
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なお、地名のついたピクルスでは
同じく地元産の素材を用いて
ていねいに手作りしているのが四万十ピクルス
季節ごとに商品が変わっていくのが特徴。
サンリバー四万十のあるね屋(四万十市中村地区)と
道の駅よって西土佐(四万十市西土佐地区)で入手できる。

夢来(三浦醸造所)
各種マスコミに取材されながら、知る人ぞ知る醸造所。
5代目自らが作付した米を使った20分以上の濃厚な米の風味のみそは
濃厚にして旨味がぎっしり。これを受けるには野菜たっぷりの具だくさんみそが合う。
長年の研究の成果が実った今回の醤油など、
自らの家族のために安心できるおいしさを磨いたもの。
醤油をおかずにご飯が食べたくなるというとわかってもらえるかも。
杜氏の手作りゆえ、量産はできず、手に入れることは難しいもの。
見かけたときに買えるだけ幸せ。
http://miura-jozo.com/

本田麺(本田製麺)
今回は試食販売を行っていた。
半田の産地で独自の麺づくりを行っており、
本田麺と名付けたそうめん、うどんを出品(試食)。
なめらかでのど越しの良さは手延べ乾めんならでは。
うどんは6分ゆで仕様。生麺ではこの風味はつくれない。
(乾めんは保存性がよく、生麺と比べてもおいしさが濃縮されており、家庭に常備しておくのがおすすめ)
全国的に人気の稲庭うどんの雄、佐藤養助商店と比べても
砕ける食感が魅力の佐藤養助商店に対し
噛み応え、のど越し、小麦の旨味で異なる価値を提供している。
これまた生産量が少ないため入手が難しい。
全国でも有数の手延べ乾めんといえるのではないか。
見かけたときに買っておこう。
http://www.hondamen.jp/

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あとは、木頭村のゆず商品(きとうむらの木頭柚子しぼりなど)、
http://kitomura.jp/siyosyo/yuzusibori.html
上勝か相生の番茶(晩茶)
美郷の天野農園の梅干しは塩としそだけで引き算の妙、
同じく美郷の東野リキュール製造場の梅酒「ホーホケキョ」はまちがいなく全国トップレベル。
(研ぎ澄まされた風味で突き抜けた世界観を持つホーホケキョはネーミングが惜しいが、風味は並ぶものがないだろう。ぼくも自分で梅酒をつくるのでわかる。ただし米焼酎35度と蜂蜜、小梅でつくるので、東野さんの売価より材料費が高い。甘みを抑えた透明な風味が売り。といっても売っていないけれど)
美馬市のみまからは辛さのなかの豊潤な旨味がいい
http://www.mimakara.com/
徳島県漁連の海苔製品などがおすすめ。
http://www.tokushimagyoren.or.jp/
本ブログでもたびたび紹介している
和田乃屋本店で滝の焼き餅を味わうこともお忘れなく(館内にも実演販売を行っているが、本店の趣をぜひ味わって欲しいので。ここから歩いていける距離)。


これらを適当に組み合わせると3千円を超え、提携駐車場が無料となる。

徳島が全国一の産地である菌床シイタケで
とびきり旨いものが食べてみたいが、現時点では見当たらない。
丸浅苑のちいたけは個性が光っている)
ホダ木の材質と水分量を減らすことがカギと思うのだが、
水分は質量の水増し効果があるためか減らしにくいのだろう。
(収量と等級が市場原理だが、サイズと収量を捨てて旨味で消費者を啓発していく役割とともに先頭を走る事業所はめざしたい。料亭や弁当店と違って家庭では大きさが揃っていなくてもまったく差し支えないのだ)
しかも水分を減らすと
生シイタケとしても保存性は良くなるように思えるのだが。
さらに決定的なのは流通(消費者の手に届くまでの日数と鮮度)をいかに短縮できるか。
菌床であれ原木であれ、
冷蔵されずに(流通の段階で仲卸などで貯蔵される場合がある)
その日採れたものを食べればシイタケに対する愛が変わってくる。
シイタケは究極の健康食品でもある。定期宅配などで鮮度を確保した
新たなビジネスモデルが考えられる(アイデアを出したのでどなたでもどうぞ)。

牛肉は地域性が出にくいもので
どちらかといえば個別の生産者の個性が地域性に勝る。
牛車の風向や牛の食事、ストレス減少や運動要素など
牛の健康をとことん追い求めて
霜降りとは別の価値の牛肉を食べてみたい。
これまでの脂身旨味至上主義と異なる
立ち位置をめざしてほしい。
時代は進んでいるのに
いまだにパワー食グルメ食の立ち位置では新たな市場は開拓できない。
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何度も書いているけれど、ぼくはグルメではない。
食をつくる人のこと、その思いについて考えをめぐらし、
つくられる環境に思いをはせ、
作り手の世界観と共鳴できたものを紹介したい。
そうしたものを発掘する際に、
とくしま特選ブランドはひとつの参考となる。

自らの思いを、SNSではなく
試食、体験、会話の3種の意思疎通を通じて地道に伝えていこう。
(販促に依存する楽天の通販モデル=胴元一人勝ち=が自社のファンをつくれないように。販促費を無尽蔵に出し続けたい人は楽天で良いが、質の高いファンをつくりたい人は自社サイトで世界観を発信し、決済は決済サイトもしくは無料モールで、新着情報はSNSというのが正解。モンドセレクションなどの権威に頼るのもファンづくりを放棄している。自ら世界観を伝えてファンをつくることが唯一の持続的なビジネスモデル)

阿波おどり会館(3千円以上で1時間提携P無料)、
徳島阿波おどり空港(1時間以内はP無料)とも
単なる県産品の寄せ集めというだけでなく、
それぞれ逸品を独自に発掘し
それらに光を当てようとしている。
観光客向けと思わないよう(ここでしか買えない県内の良い品が多い)、
県内の人こそ県内の商品を買ってみたら?



posted by 平井 吉信 at 00:45| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ
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