2016年08月18日

鳴門 島田島の古代ハス そして睡蓮のあるカフェへ


ハスは不思議である。
泥のなかから穢れなき花を咲かせる存在は
いにしえから清浄な悟りの象徴とされてきた。
およそこの世の造形でこれほど造花感(変な日本語)のある花はほかにない。
ホンモノなのにつくりものにように見えてしまう。
清らかでありながら滑稽さを秘め、潔らかでありながら媚態を感じさせる。

仕事の合間を見計らって
鳴門の島田島(しまだじま)へ渡ってみた。
この島の北の湿原に
地元の人々が古代ハスを蘇らせたというニュースを思い出したのだ。

国道11号線から、かつて有料道路であった鳴門スカイラインへ。
この道路は西日本でも有数の海岸美を堪能できる。
海沿いを走っていた道路がいつのまにか高度を上げると
小鳴門海峡を渡る(小鳴門新橋)。
クルマを手前に停めて海峡を見下ろすと、
瀬戸町北泊の漁村が海峡沿いに見える。
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しかも、海面が動いている、
つまり海が流れている。
大河のほとりの浮島のような集落。
(こんな風景は実にスタジオジブリ向きだと思う)

紫外線が降り注ぐ空と海に、白い航跡が線を引いていく。
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スカイラインから島田島に降りていく。
島の北端の古代ハスへと導く看板が随所にあってわかりやすい。
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ここから入っていく
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ところが…
もう花は終わっていた。
(8月上旬ぐらいが旬だろうか)

シャワーヘッドとETを掛け合わせたようなデザイン。
爆発する自然は、岡本太郎というべきか。
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これから咲くつぼみが畦に一輪だけ。
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湿地にはガマの穂
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ここの里山は、人が手を離すと
たちまち征服されてしまいそうな濃厚な自然。
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むせかえる熱気がうれしい。ぼくはこの暑さが大好き。
見上げた空の高さ、太陽からの贈り物のあたたかさ。
照りつける日射しの力強い生命賛歌がうれしくて
自宅でエアコンも使わない(取り外してしまったのだから)。
水分も取り過ぎないようにしているので夏バテしないんだよ。
(暑いというのは意識が観測すること。ここ数日は扇風機を32段階の最微弱風で使うことはあった)
その扇風機とはトヨトミ製のDC扇風機。
直流駆動なので電気代を食わないし子どもがいても安全設計だし、
耳の良い人が音楽を聴いても邪魔にならない静かさ。
机に向けても書類が飛ばない、身体に当てても疲れないと良いことづくめ。
しかも1万円前後。
機種を知りたい人はこちら。
http://amzn.to/2bl52Sn

穂が実った田がパッチワークのように。
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紫の花の穂が稲穂と対照をなす
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よく見るとカマキリが潜んでいる
(目の中心はこちらを見ている)
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ハスが見られなかった、と思いつつ引き返していると
まだ花が咲いている湿地があった。
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ハスの台座に仏様が座っている姿が見えるような気がした
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夏の日射しが照りつけると、
そこに花が咲いていることを気付かせてくれる。
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島田島の北端にある大島田地区には
自然度が高い里山(湿原と田畑)が広がっている。
小鳴門海峡側には「四国のみち」があるようだ。
この風光明媚な島は、エーゲ海に浮かぶシテール島のように「印象的」。


話題転換。
鳴門は、京阪神に住む人にとって
週末移住を果たす絶好の場所である。
(平日は京阪神でオン、週末は鳴門でオフ)
オノコロ島を通過する高速道路、高速バスで接続されている。
徳島空港にも近く、遠出も簡単。
四国内は、高松道によって香川、愛媛、岡山と結ばれ、
徳島道によって、高知、愛媛と結ばれる。
会員制高級リゾートホテルがいくつかあるのがその証し。
http://reserve.resort.co.jp/hotels../xiv/naru/index.html

何より食べ物は、京阪神の比ではないだろう。
海の幸(瀬戸内海から太平洋まで)、山の幸、川の幸という点では
徳島は全国有数である。
鳴門だけ例にとっても
鳴門金時、鳴門鯛、鳴門わかめ、レンコン、梨と全国的な特産品が目白押し。
かつては塩田で賑わった浜辺だが、そのナトリウムやミネラルから派生して
世界的な点滴製造メーカーとなった企業もある。
外国人が汗を飲ませるのかと驚いたあのスポーツ飲料、
なぜか沖縄でもっとも人気のあるレトルトなレトロカレー、
というかレトロなレトルトカレーも鳴門の企業がつくっている。
http://boncurry.jp/

赤飯に砂糖をかけて食べるのも独創的だし
お好み焼きに金時豆が入っているのも常識だし
饅頭に砂糖をまぶした人気の菓子や
http://www.tokushima-kashi.com/member/%E9%B3%B4%E9%96%80%E5%A0%82/
これは菓子ではなく芋だろうと言い張る人が続出したという人気の菓子もある。
(この菓子は見かけのホンモノ感もさることながら風味絶佳の逸品)
http://hohgetsubo.jp/
年を取って四国巡礼を始めるのなら一番札所は鳴門から。
日本での第九初演の地であり、ドイツとの文化交流はもはや世紀を超える。
http://doitsukan.com/

鳴門高校は甲子園の常連である。
http://naruto-hs.tokushima-ec.ed.jp/
校歌はこちら http://naruto-hs.tokushima-ec.ed.jp/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%B4%B9%E4%BB%8B/%E6%A0%A1%E6%AD%8C/
(旋律が覚えにくいが記憶に残る校歌。和音の解決を先延ばしつつ期待感を高めて「鳴門の健児」で締めくくる)
私立のアピールの場となってしまった高校野球だが
徳島の常連高である徳島商業、池田高校などとともに公立高校である。
(地元出身選手のいない「地元」高校を応援したいですか?)

陶板で複製された実物大の「偽物」をずらりと並べた大胆な美術館は入場料も破格。
http://o-museum.or.jp/
それでも、4kmに渡って1,000点のオリジナルサイズの名画が並べられたら
見るのに数時間かかる(大抵の人は1日で見切れない)ので、入場料対楽しみを時間換算すると
最低賃金を下回るので費用対効果は悪くない。
(まだこの美術館へ行ったことがないとは恥ずかしくてここに書けない)

隠れたアピールとしては、人口6万人の小都市なのに
大学があること。高校が3つ(普通・商業・工業がいまでは2つに統合)あること。
教育と文化こそは鳴門の原動力である。
おっと、大切なものをひとつ紹介し忘れていた。
渦潮である。
http://www.uzunomichi.jp/
(鳴門をここまで紹介しておきながら鳴門市からは1グラムの塩ももらっていない)
だから、欠点もアピールしておこう。
それは、ひとことで紹介できないこと。
鳴門でひとつネガがあるとすれば、水道水がおいしくないことぐらいか。
(漢和及第=いつもの誤変換)

ウチノ海へと川のように流れ込む
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ウチノ海に浮かぶ筏
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島田島の東海岸は渚が続く。ここは南端に近い竜宮の磯
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高校野球では、鳴門高校が優勢に試合を進めているようだ。
昼食は鳴門市内でいただいた後、
藍住町の新しいカフェへ。

何とテラスに池があり、モネの愛した青いスイレンが咲いている。
(大塚国際美術館や高知のモネの庭にも咲いている)
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メールの返信を済ませるとさっそく池を観察。
なつかしのクリームソーダ。子どもに帰れる気分。
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アゲハが舞う、メダカがいる、オタマジャクシとカエルが棲んでいる。
カエルがスイレンの葉に上がってちょこんと座る。
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鳴門のハスに始まり、藍住のスイレンでひとやすみ。
この店は、お池カフェ フルール
(お人柄がよく居心地の良いお店。商売のご繁盛をお祈りします)
知り合いの建築設計士(中川俊博さん)が手がけられたと後日わかった。

暑さが醸し出すこの夏は、極楽浄土に近づいて理趣経が見えてきた。
posted by 平井 吉信 at 23:39| Comment(0) | 徳島
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