高知県佐川町は一度ゆっくりと廻ってみたいまちだった。
釣り文学で地元を舞台に名作を書き上げた森下雨村の生家がある。
森下雨村の存在を教えていただいたのは
「山釣りのロンド」という釣りエッセイを書かれている
熊谷栄三郎さんからである(当時は京都新聞の記者をされていた)。
吉野川の河原でたき火と酒を囲みながらしみじみとお話しをされていた。
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森下雨村は、探偵小説のさきがけをなした人であったが
52歳で郷里の高知県に戻り、畑を耕しながら
好きな釣りに明け暮れた人。
そんな暮らしのなかでつづった遺稿がまとめられたのが「猿猴川に死す」。
仁淀川の鎌井田集落での友釣りや、
かつて吉野川の上流部に存在した桃源郷のような場所について書かれている。
四国の川を語る上では欠かせないエッセイ。
胸がふるえるような南四国の川の実話である。
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空と海でも森下雨村について紹介
http://www.soratoumi.com/river/enko.htm
http://www.soratoumi.com/river/niyodo/index.htm
佐川町は仁淀川南岸の柳瀬川沿いに開けたまち。
高知県西南部での仕事を充実感で終えての帰路、
須崎から33号線と仁淀川中流域に抜けるルートの途中で立ち寄ることができた。
いつも特急南風で通過する車内から見える
のどかな田園風景、
うなぎが棲んでいそうな小川、
落ち着いた旧家のたたずまいに郷愁をかき立てられていた。
さりとて佐川町だけを目当てに行くことはなく、
これまで行ったこともなかった。
ここでいつもの漢和及第(いつもの誤変換)
高知県の地名は濁らない音が多い。
南国市 → なんこくし(ややこしいが、南国土佐(なんごくとさ)の南国(なんこく)である)
須崎市 → すさきし(すざきの鍋焼きラーメンではなく、すさきの鍋焼きラーメン)
佐川町 → さかわちょう(このまちでは運送屋だけが、さがわ、と濁る)
江川崎 → 四万十川の屈曲点にある日本一暑いまちとして知られる。えがわさき、えかわざき、ではなく、えかわさき。川は濁らないので地名も誇りを持って濁らない)
その佐川町内の494号線の山中を通過していて
ナビに見慣れぬ地名が見えた。
「ナウマンカルスト…?」
この名称からどんな光景が想像されるだろうか?
ナウマン象の化石が発掘されたカルスト地形―。
おおかたそんなところだろう。
よし、確かめよう(予備知識はなかった)。
ところが国道から近そうに見えて
道中がナビに表示されない。
山の裏側に迂回して線路沿いから近づけると推察して
右折を2回して線路沿いを進む。
(このあたりから斗賀野駅までの田園風景がいい)
線路にナツズイセンが夏の日射しに勢いよく咲いていた。

さらに進むと、マンモスのキバをかたどった公園があった。
ここから行くのだなと見当を付けて、クルマを停める許可をいただいて
公園から山中へ入る散策路を探したけれど見つからない。
ふと建物から出てこられた女性にお尋ねしたところ、
「入口がわかりにくいから看板を建て替えするよう○○に要望を出したんだけど」
と答えられてわざわざ入口までご案内いただいた。
(ありがとうございます)

真夏でもあり、訪れる人はいないという雰囲気をまとっている。

マムシがいそうな匂いがするので注意して進む。
無数のハグロトンボが道を開けるように飛び立つ。
(胴体が緑がオス、黒がメス)


足元に注意しながら視界が開けた。
こんな場所である。


高台の展望台から西を見下ろすと
マンモスの親子の像が置かれている。

石灰岩を覆う夏草のため、
カルストの内部に入っていけそうにない。
(マムシが生息しているだろう)

入口から5メートルぐらいに朱色の花が見えたので
草を踏み分けて近寄ってみた。
キツネノカミソリのようである。

きょうはフジX-E2とニコンD7200のツートップ。
デビューしたばかりのニコンが捉えた映像の鮮鋭さに驚いた。
JPEGそのままである。



チョウやトンボを見ながら公園へ戻った。
気温は32度ぐらい。
クルマをさらに北の仁淀川をめざして進む。
行きたいのは森下雨村のエッセイにもかかれていた
鎌井田地区と浅尾の潜水橋。
仁淀川の白眉であるばかりか、南四国の川のエッセンスがここにはある。
2011年に撮影した画像を並べておこう。



(横倉山自然の森博物館へ続く)
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