2016年07月24日

国道55号線は「Pineapple」の季節 胸がつんと鳴る夏の日


室戸岬へと伸びる国道55号線、
パイナップルをめぐる季節は何度もやって来る。

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(南阿波サンラインの下りの直線。この次のカーブをどのようにトレースする?)

夏を迎えようとする1982年5月21日、
松田聖子の5枚目のアルバム「Pineapple」が発売された。
帯には、”シュロの香り、南風 いま、ココナツ色の気分”
ジャケットは、甘酸っぱい黄色の背景に
彼女の顔がいっぱいに映し出されたもの。

松田聖子 Pineapple(パイナップル)楽曲
01 P・R・E・S・E・N・T 
 作詞:松本隆/作曲:来生たかお/編曲:大村雅朗
02 パイナップル・アイランド
 作詞:松本隆/作曲:原田真二/編曲:大村雅朗
03 ひまわりの丘
 作詞:松本隆/作曲:来生たかお/編曲:船山基紀
04 LOVE SONG
 作詞:松本隆/作曲:財津和夫/編曲:瀬尾一三
05 渚のバルコニー
 作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂/編曲:松任谷正隆
06 ピンクのスクーター
 作詞:松本隆/作曲:原田真二/編曲:大村雅朗
07 レモネードの夏
 作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂/編曲:新川博
08 赤いスイートピー
 作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂/編曲:松任谷正隆
09 水色の朝
 作詞:松本隆/作曲:財津和夫/編曲:大村雅朗
10 SUNSET BEACH
 作詞:松本隆/作曲:来生たかお/編曲:大村雅朗


デビュー当時、特に「裸足の季節」では
全力疾走で弾ける声が衝動を抑えきれず、
(100メートル走なのに200メートル走ってしまったかのように)
その音楽はマイクに収まらなかったが、ぼくらの心に届いた。
2曲目の「青い珊瑚礁」では
ハイトーンに添えられた甘いささやきが魅了した。
そして5枚目のパイナップルでは、
松本隆が二十歳の松田聖子の地平線を広げつつ
パイナップルという世界観に凝縮して見せた。

1曲目の躍動するリズムの刻み、浮かび上がる声が
夏という舞台装置を調える。
ふっと息を抜くところの表情がまばゆい。
伸ばした音がふわりと着地する直前の声のわずかな裏返り、
跳躍する音程を追いかけて伸びる間合い。
うまく歌おう、という意識よりも(音程を決めるよりも)
移りゆくときの流れに身を任せてみたの、と言いたげに。
(様式化された見栄を切る美空ひばり型ではなく、楽曲にのめり込みながらも、次のフレーズで別人のような表情を見せる、どこか醒めた目を持つちあきなおみ型に近い)

松本隆の世界観をミュージシャンがかたちにすれば、
水を得た魚のように泳ぐ人魚姫、聖子。
バンドやコーラスとのからみと声の浮き上がりのバランス。
アナログのマスターサウンド版を持っているが、
録音もプロの仕事だ。
(A面は朝、B面は昼下がりに聴きたい)
これだけの条件が揃った希有なアルバムであり、
(ハイレゾやSA-CDで聴いても愉しいと思うよ)
大滝詠一などと並んで日本のポップスの3本の指に入るアルバムと思っている。
(陳腐だけど、無人島に持っていく10枚のひとつ。残りの9枚はいつか)

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(北の脇)

人はなぜ、夏の日射しに憧れながら夏の翳りを感じるのか。
甘酸っぱいときめきは、まぶしさのせいであり、
若さがのめり込む衝動の裏には、ためいきの煩悶がある。

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(北の脇への森の散策路)

みずみずしい夏の朝に始まり
黄昏に漂う余韻で締めくくる。
夏に漂う若さの刹那を切なくうたう―。
これがパイナップルだ。
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(南阿波サンライン展望台の夕暮れ)

さらりと聞き流せば、さわやか。
入り込めば、さらにさらに深い泉へと誘ってくれる。
それはあなたしだい(聴く度に新たな発見があるのですよ、いまだに)。

朝焼けの海を、自転車で室戸岬に向かいながら
あのとき耳にこだましていたあの楽曲と、
波間に燦爛していた光を思い出す。

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(岬まで信号のない道は”空と海”をたどる旅)

室戸岬へと伸びる国道55号線、
パイナップルをめぐる季節は今年もやって来た。
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(田井ノ浜のハマボウ)

追記

もっとも音が良いのはステレオサウンドから発売されたSA-CD(廃盤。残念だけれど)
http://store.stereosound.co.jp/products/detail.php?product_id=2013

ネットワークプレイヤーを持っている人はハイレゾ音源
http://mora.jp/package/43000001/4582290406558/

CDプレーヤーならBlu-spec CD2(入手できる)
Pineapple


posted by 平井 吉信 at 14:50| Comment(0) | 音楽
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