きっかけは、2013年6月の徳島新聞の記事に遡る。
「母川流域が希少野生種のバラ『ツクシイバラ』の全国指折りの群生地であることが、専門家によって確認された」とある。
大きな桃色の花弁と紅の縁取りを持った愛嬌あるはなやかさ。
しかも野生のバラ。
しかし、イバラとして河原の雑草駆除の際に刈り取られてしまうこともあるという。
そこで、毎年この季節になると、母川流域をくまなく探し続けた。
http://soratoumi2.sblo.jp/article/56492825.html
http://soratoumi2.sblo.jp/article/69158034.html
http://soratoumi2.sblo.jp/article/96850608.html
虫除けスプレーで蚊・ダニ対策、ビニール系の素材の服に身を固めて
河川敷の藪を探し歩いた。
華やかさをふりまく姿態から見つけにくい花ではないはず。
過去の経験から今年度も期待できないと考えて
特に予定は入れていなかった。
けれど、家人から「おいしい魚」が食べたいとの要望があり、
甲浦や室戸の地魚が安価に出回る海陽町のスーパーや鮮魚店を廻ることになった「ついで」に
花を探してみることにした。
ところが…。
ぽつりぽつりと空から落ちてくる。
午後からは大雨になるかもと道を急ぐ。
現地に着くと、これまで探していた場所を入念に探す。
雨に煙る母川のせりわり岩の付近(オオウナギの生息地)

雨を待ちわびた植物、木々の芽、そして虫たちも







食べられる木の実、野いちご


秋が楽しみなアケビの群生


濃密な河畔林の森 ここに分け入るのは勇気と装備が必要

もしかしたらこれがそうか?(専門家の鑑定に委ねたい)

これがその花か? 雰囲気が違うような?
希少種であろうとなかろうと
雨を宿して楚々として美しい花に声をかけずにはいられない

湧き水を集めて悠然と河畔林を洗う母川の流れは
四国でも似たような川が見当たらない希少な特性。
オオウナギやホタルだけではない生態系の価値に地元は気付いて欲しい。



傘を差していても湿潤な霧雨で身体が冷えてきた。
みずみずしい自然に触れていると、心がどんどん晴れやかになっていく。
今年(2016年)もツクシイバラが見当たらなかったけれど満足した。
帰ろう。
時計を見ると、飲食店の昼の時間も終わっている。
魚を買って阿南あたりでなにかを食べようかと。
それなのに、いましばらく河川敷を探していると…。(続く)
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遠めにちらりと見えたあでやかな色彩

慎重に近づいていくと

もしかして、これがその花?


あでやかで


雨の中、むせかえるような花たちの息づかい(匂い)

(ここまでがフジX-E2+XF35mmF1.4)
(ここからがニコンD7000+AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G)
妖艶でいて

田舎娘の笑顔のような屈託のなさ


赤い茎が特徴

花びらは雨をどう感じている?



4年の歳月をかけてようやくたどりついた




追記
海陽町としては、その稀少な生態を守りつつ、保全と観光の両立をめざしたい。
放置すると、日本有数の群落地なのに善意の草刈りか河川整備か盗掘かで消えてしまいかねない。
・まずは表示を行い柵などで囲い、周辺には太陽光発電式の監視カメラを付ける。
・アクセスのサポート(駐車場や生息地への手すりや階段など)を適宜行う。
・海部川清流保全条例を、海部川生態系保全条例としてアップグレード。
・地元の学校も巻き込んで生態系の意義の啓発と保護活動を行う。
・全国からツクシイバラを見に来る人たちのために、観光ボランティア(生態系保全の啓発)や地元の監視ボランティアを育成、配置(きっとそうなる。第一級の観光資源なのだから)。
その意識の高さが、この地を宝物にするとともに
観光と生態系保全に資するのではないだろうか。
どこにでもあるB級グルメではなく、
地域特性を活かした地域戦略として取り組みたい。
地方創世の補助金も活用できるソフト事業かもしれない。
→ 南阿波海部の新しい波〜エコツーリズムによる地域づくり(1999年)
蛇足
母川の近くのスーパーを覗いたら
室津漁港で水揚げされたウルメイワシ(4尾入198円)とスルメイカ(2枚 248円)があった。
鮮度が高いのは一目でわかった。
ウルメイワシは、室戸で今朝上がったばかりだろう。
そこで、さしみと塩焼きにした。
スルメイカは、身と内臓で塩からをつくろうとしたのだけれど
眼を離したすきに、煮付けになっていた。
それもまたよし、野菜と魚介に恵まれた徳島の豊かな食生活のひとこま。
蛇足の追記
で、遅い昼食は阿南でこれ。
時間的に空いている店がないのでモスバーガーでした。

それもまたあり、徳島のくらし。
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