中村で仕事を終えて
赤鉄橋の上手に行ってみた。
風は冷たく、菜の花の名所はまだちらりほらりだけれど、
風に揺れる菜の花を飽きずに見ていたとある日の午前。

ここがやがて一面の菜の花になるのだけれど、
花はまだ咲き始め、山で例えるなら1合目。
河原の林が信州の森のようにも見える

春の小川はさらさら行くよ、のモデルは
現在では姿を消してしまった東京渋谷の小川だったという。
http://www.mizu.gr.jp/bunkajuku/houkoku/004_20120205_haru.html
けれど、誰の胸にもそれぞれの春の小川はある。
南四国では、こんな小川を連想する人が多いのでは?

ここが新緑に彩られる頃は
さらに瀬音高く本流は流れるだろう。

風が鎮まったとき、太陽が背中にじんわりと届く。
菜の花もぴたりととまって温もりを感じている。

春は見つけに行かないと見えてこない。
わざわざ出かけた人にほんの少し季節を先取りして魅せてくれる。
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続いて佐田の沈下橋へ。
四万十川最下流の沈下橋でもっとも長い。
屋形船は四万十川下流の風物詩。一度乗ってみたいと思いつつ。

手すりも欄干もないので、自転車が歩行者が車とすれ違うときは慎重に。

四万十川は下流に入っても流域に人家は少なく道幅も狭い。
陽光に踊る水辺の河畔林。


三里の沈下橋。

勝間の沈下橋。

南四国にはこのような沈下橋(ちんかばし=高知県での呼び名)、
潜水橋(せんすいきょう=徳島県での呼び名。いずれも同じ構造の橋)が点在する。
橋は恰好の飛び込み台となる。口屋内や岩間ではよく見られた。
対岸とを最短距離で結ぶため、
工費が安く工期も短くて済む。
渡る人にとっては距離が短くて済む。
環境に与える影響も少ない。
なにより大水のときに潜ることで流されることを防ぐとともに
上流のせきあげを軽減する。
いわば災害対策でもある。
大水のときは沈下橋のはるか上(10メートル以上)を水が流れることもある。

四万十川ならではの穿入蛇行(せんにゅうだこう)。
1983年のNHK「日本最後の清流」が代名詞になった。
人はなぜ、日本の桃源郷、四万十川に憧れるのか。

それは、水は流れたいように自由に流れているから。
それでいて、山裾の岩盤に当たればくるりと向きを変える。
奔放でありながらも身を任せるときは任せる融通無碍。
過疎地であっても洪水常襲地帯であっても
四万十川はいつも四万十川として
自らがそうであるように人々を受け容れる。
そのあるがままの包容力に惹かれるのだ。
大河の下流でありながら平野がなく
山裾を満々と湛えた水が洗っていく。
四万十川の魅力はカヌーで味わうのが一番。
(ぼくも自分の舟=組み立て式ファルトを持っている)

かつて江川崎から鵜ノ江まで下ったことがあった。
岩間では橋から飛び込み、口屋内では黒尊川のほとりで休んだ。
(黒尊川は四万十川の宝石とも呼ぶべき支流である)
口屋内集落に入った。
ここから人は沈下橋へ降りることができる。

しかし、老朽化が進んだ沈下橋は通行止めとなっていた。
陥没の怖れがあるという。
しかし、四万十川は変わることなく橋桁を洗って流れる。
ときは流れても時間は止まったまま。

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昼は中村まで戻り、喫茶ウォッチへ立ち寄る。
きょうは沈下橋めぐりで歩いたため
焼きカレーを注文することに決めていた。
チーズ、卵まで加わって栄養価が高い。


パラゴンとソナスファベールが置かれている。マッキンで鳴らす。
この日はパラゴンでジャズが鳴っていた。

なき店主が手塩にかけて店をつくられた。
水出しコーヒーのしくみやこのオーディオ装置、
店内の落ち着く内装と光の演出。
ここは地元の女性たちの客足が絶えることがない地元の名店。
旅の道のりは長いけれどお伴の音楽もある。
あとは、中村から南四国を北東へに上がっていくだけ。
幡多の国 2016春 晴れ時々曇り―。
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