空海が虚空蔵求聞持法の修行を行った場所。
ジオパーク、海洋深層水として地球のエネルギーが充ちる場所。
星野リゾートやイルカなどの観光資源に恵まれながら
観光地として俗化されていない場所。
数日滞在しても飽きない場所。
四国に住んでいる人間にとって
室戸は充ち満ちるエネルギーを浴びに行く場所。
室戸岬は別格と思っている。
高知県に入ると湖のようにおだやかな白浜海岸。
そして、サーフィンのメッカ、生見海岸。
この日は凪ぎだけれど、おだやかな冬日に波間に浮かぶ。
(あとでわかったことだけれど、このなかに知人がいるらしい)


岬をめざして55号線をひたすら南下。
音楽は小野リサで。

日沖ー丸山海岸のジオパークは港と一体となっている。

室戸ケープをエスケープして室津港へ。
停泊する漁船が春の兆しの陽光を浴びている。

絵になる港の景色を愛する男に振られたのは
「カモメが飛んだ日」だったか。
港の最奥で遊ぶ子どもが印象的。

その周辺で数店舗が名物キンメ丼を提供している。
丼はどこも共通の1,600円(8%税込)。
(金目鯛の照り焼きと海の魚のさしみ、キンメの吸い物、漬物のセットで、最後はキンメの出汁で茶漬けにして食べる)

室津港の正面奥に小高い小山があって
そこに第25番札所の津照寺(しんしょうじ)がある。

おとぎの国から出てきた色彩が南国の太陽に映える。
港を見下ろしながら急な石畳を上がっていく。

ご本尊は地蔵菩薩のようだ。
おんかかかびさんまえいそわか。
(家の法事では自分が読経しているので)。

初めて訪れた寺だが、
港のすぐそばなのに標高があり、
集落の人々を見守る本尊のようにも見えた。

続いて室戸岬灯台と第24番の最御崎寺へ。
海岸性照葉樹の森をくぐり抜けて視界が開けた。



これは!
土佐湾の海原に散乱する光の帯の見事さ。
(X-E2の電子シャッターが捉えたきめ細かい光の微粒子の散乱)

恋人の聖地と銘打っているだけに
若いのも熟年のもカップルが次々とやってきて写真を撮っていく。
おいら岬の灯台守は妻とふたりで…
休日というのに最御崎寺は静かだ。
寺というよりも神社のように清らかで
凛とした光の柱が境内に立ちこめる。


ご本尊は虚空蔵菩薩。
(ぼくの守護仏も)

そのサンスクリット語(真言)を百万遍唱える修行を百日で行うのが
若き日の空海の岬での修行。
宵の明星が飛び込んできて成就したという。
学問の人でありながら実践の人、空海にあやかって
空と海、soratoumi.comのドメインを取得したのは10数年前だったか。
ご住職が時間をかけて無心に灰をならしていらっしゃる。

このすがすがしさは、人がつくりだしている。

敷地の一角に空海のクワズイモの伝説がある。
そのたたずまいが浄土のようにも思えるのだ。

無意識界への入口が日常の刹那で口を開けている



ヤッコソウは枯れかけていたが、
モラエスが愛でた黄花亜麻。和田乃屋(徳島市)の本店の庭で見かけて以来だ。

岬のエネルギーは人も自然も浄化する。
そのことを空海は識っていたのだろう。
帰りがけ、ふと見上げた森の上空に
(照葉樹の森の樹幹や葉の照りを追いかけていたから)
虹をまとったオーラが浮かんでいた(彩雲か)。

しかし雲は見えない。色だけが見えている。
数秒で消えてしまった。
猫のない笑いのよう。
カメラで連写したのに写っているのは2コマだけ。
それも2コマ目では消えかけている。
付近に水蒸気やスプリンクラーなどの人工的な噴霧はない。
快晴の昼間で雲が見当たらない。
そのような条件で彩雲は発生するのだろうか。
吉兆なのか、地震の前兆なのか、
科学で説明しうるのか、できないのか。
※ 撮影日時は、2016年2月11日 15時44分39秒(±1秒程度)、最御崎寺からほぼ天頂方向
ニコンD7000+AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VRで撮影
室戸へ来てジオパークと海岸を見ないのは
東京へ行って東京タワーを見ないようなもの。
潮だまりへ降りていくと
ひなたぼっこがこぼれる。
岬を背にジオパーク。
斜めの光が潮だまりに落としたもの。


打ち上げられた珊瑚には生物の痕跡
持って帰ることはできなくても
光に焼き付ける。

室戸岬には年中花が絶えることはない。
けれど、いまの時期はシオギクが終わり
ルリハコベには早い。
1年でもっとも花が少ない時期だが、
春の花に彩られる岬はもうそこまで来ている。


朝ゆっくり起きて室戸へ出かけて
ゆったりと過ごして夕飯の時間までに帰る。
そんな日もある室戸遊び。
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