2015年12月06日

神秘の後世山 長宗我部夫人の魂が眠る 冬でもご注意!


ときは豊臣政権が滅亡しようとする時期、
大坂方に与した長宗我部盛親(元親の四男)は京都で滅ぼされた。
そのとき土佐をめざして徳島の南まで落ち延びた夫人が
土地の者にだまし討ちされて命を落としたと伝えられる。
その後、丁重に祀られて
目の病気に効くとのご利益が知られるようになった後世神社が山頂近くにある。
このような伝説があるがため
氏子も年に2回の例大祭以外は近づかないと聞いた。
そこで、この山の山頂をめざしつつ、神社に詣るという計画を立てて
趣旨に賛同する人を「後世山探検」と称して集めたことがあった。

インターネットなどない時代、言い伝えは判明したが登山路などわからない。
そこで、この山の南面に源流を持つ北河内谷川(日和佐川の支流)の支流をめざし
ここから斜面に取り付けばなんとかなるのではないかと考えた。
林道はやがて舗装がなくなり奥へと詰めていく。
すると、犬が現れた。
この犬の後を着いていくと、岩盤が赤茶けた滝に導かれた。
「久望(くも)の赤滝」という幻の滝があるとも聞いていた。
まさにここである。
滝の周辺からのルートを開拓すべく、
沢を登ると、今度は黒い滝が見えてきた。
しかし、それ以上は前身しても山頂にたどり着けそうにないと判断して引き返した。

ちなみに、見慣れぬ人を見ると、
「着いてこい」とばかりに誘導する犬たちの名前は
エス、ケープ、ゴマという名前だった。

後世山探検隊はその後ルートを変えて合計3回出撃したが
後世山へ登る手がかりは得られない。

こうして数年が過ぎた頃、
徳島県内の山の案内本が出版され、
そのなかに後世山の登山路が記されていた。
それによれば、南東の星越峠からの尾根道のようだ。
また、南斜面からの枝尾根をたどるルートもあるかもしれない。
いずれにしても、マムシやヤマカガシが多い土地であり
5月から10月ぐらいまでは避けたほうがいい。

星越峠からのルートは距離はそこそこあるが
こう配のゆるやかな前半のアプローチで距離を稼ぎ
最後は急な尾根を辿るものの難路という感じではない。
こうして9合目辺りと思われる平坦な場所に後世山神社がある。
開けた場所で北は橘湾を望むことができる。

山頂は神社からさらに奥へ進み、初めての人にはわかりにくい尾根をとれば到着する。
標高538メートルの山頂には展望はない。

後世山への記録写真を見たい人は引き続いてどうぞ。


野いちごが豊作のようだ
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岩に挟まれた小径の緑に目を留める
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常夜灯の痕跡
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花が少ない時期、万両の朱色はなごみ
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この日見つけた数少ない花はスミレの一種
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背骨の化石のような樹木
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葉っぱの展示台かと
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晩秋を過ぎて冬となっても緑は濃い
先入観かもしれないが、昼でもこの雰囲気だから
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分岐のように見えるが、右のトラバースでいい
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背丈の低い常緑樹が密集している
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木の実を見つける
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ロープのある急登を終えると開けた場所に出る
後世神社と狛犬(忠犬國照とある)
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地図とコンパスで確認しつつ山頂へ着く。展望はきかない。
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山頂にはイナゴがいた。
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ここでおにぎりを食べていると、ザックを這い上がる小さな虫に気付いた。
ダニだった。枝に移らせて遠くへ捨てた。
すべてのダニが媒介するとは限らないが
噛まれたら日本紅斑熱/リケッチア症を発病することがある。
このことを日本で発見したのが
星越トンネルから10分のところで開業されている
(まさに地元の)馬原医院の馬原文彦医師である。
馬原先生は2012年にダニ専門の研究所を設立された。
http://www.city.anan.tokushima.jp/docs/2013022100038/files/2-5.pdf
http://www2.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/660-230

実は私の知人も約十年前に
海部郡内で噛まれたことがきっかけとなって亡くなった。
虫除けスプレーが有効で肌を露出させないこと、
藪に入らないこと。
もう12月なのでだいじょうぶかと思ったが、
山頂でもイナゴがいる低山では冬でも油断はできない。
食事は藪の近くではなく、
後世神社のような開けた場所がいいだろう。
日本紅斑熱は四国東南部だけの風土病ではなく
(地球温暖化の影響だろうか)
西日本各地で見られることがわかっている。
ダニに噛まれたことを知ったうえで
潜伏期間を過ぎて高熱が出た場合は
(高熱、紅斑、刺し口の3つに注意)
そのことを受診時に告げると生命の危機になることは少ない。
正しい知識を持って
初期に対処すれば(テトラサイクリンの投与)治療できる。
ダニに噛まれたことが患者も医師もわからないまま
対症療法を続けつつ
あらゆる可能性を想定して検査を行ううちに手遅れになってしまう。
正しい知識で向き合えば必要以上に怖れることはない。

鹿よけのネットは通過のたびに空けて
また紐をしばっておくのが決まりごと。
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紅葉の名残
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独特の赤を中心に色彩をまとった岩が多い。
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posted by 平井 吉信 at 20:20| Comment(0) | 山、川、海、山野草
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