一晩中走って明け方を迎える頃、
海沿いの国道56号線に出る。
四万十川まであと少し。
ようやくここまで来た。
先に広瀬の河原で待っている仲間たちを追って
四万十川を遡ろうとしている。
カセットのビーチボーイズを巻き戻した。
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あれからときは流れて、仕事でやってきた幡多の国。
どんよりと立ちこめる雲。
高知県西部の太平洋は水平線を惜しみなく見せて
鉛色に沈み込む。

大方の海で波乗りを見た。
人と違う生き方をマイペースとはいうけれど、
視点を変えれば生きる焦りにつながる。
でも、パドルを漕ぎだして別世界にいるときは別だ。
この波を逃すと次はない―。
そんな思いで波を待っている。

白浜でわずかに日が射した。

海の色が空を映すとたちまち翡翠が現れる。


土佐佐賀の海を見下ろす展望台から公園へと歩く。
女郎蜘蛛の生息密度が濃い。
まるで銀河のようだ。

この個体は、横から見て立体的に位置する造形感覚。
自らの巣から浮かせることで軽やかな印象を残す。

海に突き出したこの展望台。
フジのクラシッククロームが捉える。
この雲と空はあの頃を思い出せる。

広瀬の河原を泳いで渡っていく。
テントを張った河原は浅いが、
対岸の岩をめざす。
流心から水衝部の岩へと水流の混ぜ込みに
気にすることなく、逆らうことなく身体をしなやかに預ける。
アユになった気分。
岩に着いたら、陸の河童となって飛び込むのだ。
水難事故があると遊泳禁止にする。
お気の毒とは思うけど、
川をもっと知っていれば、
小さい頃から身体で流れを覚えて入ればと。
(そういうぼくも川で叔父をなくしているけれど)
悲しいかな、それも人生なのだけれど、
不思議なのは、原発事故があっても原発を稼働し続けること。
(それを人生とは言わない)
海も川も変わることなく
水と光を降り注いでいる。
これからも。




公園の遊具にひかれる。
この配色、この造形、おもしろい。



水車亭を過ぎて、
四万十の米豚と仁井田米という贅沢を見せるのは
あぐり窪川のレストラン。
(米豚の甘みを活かす調理はなかなか難しそうだ)


(続く)
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