2015年10月10日

日和佐川 南国の初秋に水の楽園たたずむ


快晴の一日になった。
NHKの「さわやか自然百景」で「徳島 日和佐川」が放映される前日、
日和佐川を訪れた。

長さ16.3kmの川でありながら
ダムがないこと、集落が少ないこと、
海と源流域が近いことから
生き物の宝庫となっている。

自然度の高い小さな宝石箱、という点では
四国の清流の白眉だろう。
この川に魅せられて住み着いた人もいる。
川遊びの達人のも終の棲家で日和佐町に住んでいる。

アユの生息密度が高いこの川では
縄張りをつくらず群れをつくって棲んでいると番組のナレーション。
夏といえども友釣り師が入らないのも静けさを保つ原因。
ミネラル水だけが売りなのではなく
生き物を育む生態系が光っている。
今回の番組でも、
上流と下流を行き交うヒラテテナガエビの生態を取り上げている。
全国の清流で時間軸に沿って変化(劣化)していくなかで
この川は化石のように時間が止まっている。

日和佐(美波町)は、全国でも有数の自然資源がある。
海と山が近く、そこを里山として人々が暮らし、清流が流れる。
ウミガメが上陸する砂浜もあれば無人の断崖が続く海岸線もある。
ここには海岸性照葉樹の豊かな森が広がっている。
冬の南阿波サンラインの透明度は想像を絶するぐらいだ。
星がよく見えるので、
流星群の日に京阪神からのクルマで深夜に大渋滞を起こしたこともあれば
私設の天文台に口径60センチの反射赤道儀を自作した人もいる。
(一度見てみたい)

それでも地元は日和佐川を観光資源として売り出すつもりはない。
自然への負荷を考えるとそれが賢明。
売り出しても人は来ないしお金も落ちない。
大多数の人はテーマパークやSCを遊び場所と考えているのだから。

四国巡礼の薬王寺は町内でもっとも人が集まる場所。
その近くにはこれまた賑わう道の駅日和佐がある。
半農半漁という言葉をもじって、半農半ITと称して本社を移転した会社もある。

宝は自分で見つければいい。
それぞれの価値観でテーマパークを選ぶもよし、
里山を選ぶもよし。


写真は、下流から順に並べている。

ツユクサ。少年時代から何度も見とれている。初夏から秋まで長いけれど
ぼくのなかでは夏休みの花。
蝉時雨に打たれ草むらで蚊に刺されながら見ていたので。
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下流域の取水堰。上流をめざす生き物の最初の試練となる
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越えれば翡翠の静水が待っている。
日和佐川は下流でもゆるやかに蛇行する。
曲がることでやさしい表情となる。
曲がり角の内側には河原が形成され
外側では水深が深くなる(水当たりまたは水衝部という)。
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橋の欄干にいた赤とんぼ。距離30センチでも逃げないように近づいた。
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浅瀬に木陰を落とす中流域。
半ズボンを履いて網を持った少年がどこまでも歩いて行けそうな。
川底に水紋を映しながらしずしずと水は流れる。
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(まだ数キロしか行かないのに時間はどんどん経っていく。けれど、心はゆるやか)

ほとんどの人がその存在を知らない潜水橋。
数戸の民家が利用する大切な暮らしの資産。
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潜水橋のたもとに木が番人となって渡る人を見守る
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中流域はすでに山深い流れ
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日和佐川中流域の白眉はここ。
誰が名付けたかくじら岩。
夏場は子どもの飛び込み台となって
勇気と成長を試す。
(実際によじのぼればその巨きさがわかる)
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滝が流れ落ちる。山から落ちてくる滝の水は本流より冷たい。
自然がつくりだす川の庭園。
くじら岩を中心に夏は地元の少年少女の水遊び場となる。
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南国の川らしい水の色。ダムがないから川底が生きている。
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青い橋の下に降りてみる
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横たわるのは日和佐川ブルー
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さらに上流にやってきた。
静かだ。
鳥の声とせせらぎしか聞こえない静寂のとき
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萌える緑が親和性を感じて水に自らの姿を映す。
誰にも見られてはいけないのに。
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水辺に星のような花がひっそりと咲いている
たぶん、誰にも見られたことがない
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最後は動画で。






日和佐川は寡黙であるけれど
自然は饒舌に語り掛ける。
「自分の川」って、誰にとってもひとつやふたつはあるもの。
特に南四国には。
posted by 平井 吉信 at 15:10| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ
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