連休といえども休みの感覚はないけれど
それでもどこかへ行ってみようと考えた2015年秋。
遠出する気はないけれど、
さりとていつもの場所とは違うところ。
そんな状況で思い浮かんだのは
四国カルスト。
愛媛県・高知県境にまたがる石灰岩の高原地形は
四国に類のないもの。
これまで晴天に恵まれたことがなかったのだ。
自宅を抜け出したのは深夜。
4時間弱かかるとして途中が仮眠が必要。
川沿いの静かな場所として、道の駅633美の里を選んだ。
東四国からは大豊I.Cで降りて一般道を抜けて国道33号に合流し
そこから天狗高原もしくは地芳峠をめざす。
(予想していたことだけど)
離合が(ドライバーの判断と技術によっては)困難であった。
ときに右側にクルマを手向けて交わしたり
下がる下がらないの判断、
後続車の止め位置などを総合的に見極めて
どのようにクルマを動かすかを判断すること。
(ステアリング操作と車幅感覚の活用など技術面もあるが)
山道に不慣れだと周囲に迷惑をかける。
(免許所得後の離合の実施研修はビジネス機会になり得るのでは?)
漢和及第(閑話休題のいつもの誤用)
銀連休は晴れが続くと頭の隅にあったのだけれど、
山間部に差し掛かるとぱらりぱらり。
朝になれば晴れるとみて道の駅駐車場で仮眠に就く。
睡眠時間2時間少々で朝が来た。
普段とそう変わらないともいえるけど
窮屈な車内の仮眠では熟睡は難しい。
起きて簡単な朝食をつくる。
ここの道の駅でお世話になったので
帰りに買い物をすることにして出発。
仁淀川支流・安居渓谷の分岐を過ぎて土居川と合流し、
池川町を下っていく。
まちなか(商店街)の横を清流が流れる四国の郡上八幡のような場所。


茶畑と沈下橋、
そして、高知ではシャクリと呼ばれる
箱めがねで水中を見てアユをかける漁法も見ることができた。
ここの風景が、鎌井田地区と並んで
仁淀川流域でも特に好きな場所。
しばらく風に吹かれてみる。

国道33号から四国カルスト分岐へ。
天狗荘へと登る道、地芳峠への440号線、大野ヶ原への最短36号線がある。
前2ルートは問題ないが、36号線は離合が不慣れな人は避けよう。
(Google地図では太く描かれているので誤解しやすい)
36号からカルストを見上げる大野ヶ原の盆地に到着。
酪農の草原が広がる牧歌的な風景。

これから天狗高原へと足を伸ばそうと。
しかし…
カルストへ上がると下界では想像できない風雨で
姫鶴平に着く頃には視界が5メートルとなった。
ヘッドライトがなければ、止まっている車にぶつかりそうなほど。
傘を差してみたが、飛ばされそう。
濡れた服のまま車内へ戻るとガラスが曇る。
次々と上がってきたクルマが離合できずに
何度か停渋滞をつくる。
天狗高原までたどり着けないと判断して大野ヶ原へ降りることとした。
そんな合間でも
風雨の落ち着くときに周辺の景色と山野草を拾ってみた。
見たことのないかれんな花が沢沿いに群生。
紫から白に至るまで花の色が違う。
雨の中、小さなぼんぼりが灯っているようにも見える。
ハガクレツリフネの一種ではないだろうか。




四国カルストは1,000メートルを超え、
山頂部は1,400メートルに達する高地なので
植生も標高に準じる。
雨に打たれて雫を宿した姿はけなげで凛々しくもある。
あなたの名前はもしかして、シコクフウロですか?


赤いシロツメグサがある。青い赤鬼と同じように変な日本語である。

星のかたちをした山野草。
純白に黄緑のアクセントで、
雨に打たれて灰色の空に花弁をひらく。
雲間からこぼれた雨を受けて
風に耐えている。
シノノメソウと思ったが、
かの有名なアケボノソウではないだろうか。
初めてこの花を見た人の感動は深い。
なぜなら、花弁が空間に浮かぶ星夜のような光景は
地上では稀だから。
そっと見守れば観光資源になり得るけれど、
ほとんどの人はその存在に気付かない。


上の2枚はX20。
センサーサイズの小さなこの機種がもっとも活き活きと山野草の姿を映し出す
うなぎのような造形がつらなる紫の花
手元の図鑑ではセキヤノアキチョウジに似ている。
楽器のようなかたちを楽しむのなら
ルーペがあればいい。
(→ アキチョウジではないかとご指摘をいただきました)

ここからはX20


シコクフウロもX20で

霧が晴れたら牛がいた。
群れのなかでもっとも好奇心が旺盛な個体が人間観察を行っている。

小さな牧場は有料で見学できるが、
それよりも前景の花に目を留めた。

濃厚なチーズケーキをいただいた。
時間は2時間待ちとのことで、この日は11時半に品切れだったとか。


土居川に架かる橋に建物が付いている。
鉄橋を渡る汽車のようにも見えるが、実は建物。
四国では愛媛にも建物付の橋がある(内子だったか)。
(土木遺産が好きな人にとってたまらない造形と工法だろう)
ここは市場も開かれる。
男と女の出逢いは市場から。
そんな時代がこの地球上のどこかにあったかも。
市場にはどんなドラマが詰まっているのだろう。
心のレンズで繙いてみたい。

川口橋については↓
http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/195849
http://ameblo.jp/sup2410/entry-11237389748.html
里の秋を感じてはクルマを止め。


道の駅633美の里で地元の茶葉を買い込む。


クマ笹茶は、道の駅土佐さめうらで。
手作りのカボチャパイとサツマイモパイ(ともに150円)
吉野川支流の地蔵寺川にかかる木橋。
ここをわたって集落の人が集まる。

駆け足のクルマの旅であっても
南四国は山紫水明から高原までの遷移と山里の暮らしを垣間見た。
その翌日、南四国は大雨に遭遇した。
人は川から離れて生きるよりも、
川とうまく付き合う暮らしを選んだそのときから、
恵みと災いをもたらす存在に畏敬の念を持っている。
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