仕事で大歩危近辺に出かけた夕刻、
台風の影響で増水していた吉野川大歩危峡。
そこから支流の藤川谷へ入ってみた。

「なにかようかい?」と
藤川谷に現れた妖怪たち。
薄暗くなる時刻に、子どもが見れば泣きながら駆け出しそう。
けれど、夜中に墓地に行くあの夏休みの冒険に似て
怖いから見たいとも見たくないとも。














朽ちた骨がガリガリと音を立てて動きそうな妖怪、
ぼうと浮かび上がる妖艶な存在感、
厳しさをたたえて凛とたたずむ気品、
笑いを誘う苦みばしった諧謔、
生活の苦しみを背負う諦念の表情。
それらは土から、藪のなかから、水から抜け出して眼前にいる。
けれどもかつてここで息づいていた、
そしてこれからもここで生きていく魂を埋めた作品。

伝説の妖怪を
空間が割れたような衝撃で蘇らせた
上名の集落の人々の想像力と創造性に目を見張る。
それを伝えたくて。



児啼爺はこの地区に伝承されている妖怪である。
【追記】
祖谷地区の食材として祖谷そばはご存知だろうか?
祖谷山(旧西祖谷山村、旧東祖谷山村)でいただくことができるが、
古民家を移築したこの店では
東祖谷の蕎麦打ち名人の麺を提供している。




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