南四国は滞在して良さがわかる。
徳島から入って国道55号線を南に下り、
南阿波サンラインを経由して
室戸岬へ南下していく海岸線こそ、日本の白眉ではないだろうか。
室戸だけでも2泊3日は必要だけど、
岬を折り返して高知方面へ向かうと
やがて北川村への分岐がある。
モネの庭マルモッタンは近い。
モネの庭マルモッタンのコンセプトや由来はこちら。
http://www.kjmonet.jp/about_01.html
小さな日本の田舎がモネの庭をつくる?


冬を除いて花が咲いている庭園、というのはどこでもあるけれど
モネの庭というのは、
フランスのモネの庭の関係者から認められたもの。
しかもここは散策する楽しみがある。
一度来るとときの経つのを忘れるほどで
この日も弁当を持っていって半日ほど楽しめた。

台風11号が南四国を直撃し、訪問日はその2日後。
今回の台風は室戸岬に上陸したことからまさに台風の通り道。
高知、徳島では農作物や家屋に被害が甚大で
浸水した家屋や倒れた樹木も少なくなかった。
モネの庭は樹木と無数の山野草がある。
花は散り、草花はなぎ倒され、樹木の葉がちぎれて
園内は修羅場だろうと考えた。
ところが…。
信じられない光景が広がっていた。
倒れた草花はあったとしても、ごく一部。
言われてみなければ誰も台風の痕跡に気付かないほど。
一つひとつの草花をいのちとして扱うために
身体を張って風雨を防いだのでは?と思えた神業。

この庭には、フランスの思いも
日本にモネの庭を再現しようとした人々の思いも
それを楽しみに応援、来訪する人々の思いが詰まっている。


花に囲まれて夢のような時間を過ごす。
ユリはこのブログでも紹介しているタキユリの近種カノコユリ。

緑に塗られた木の橋に辿り着くと最初の印象派が現れる。


モネの模写と風景を対比させるためキャンバスが点在している。



池にかかる橋の上にはバラの橋梁。
こんな木陰に椅子を置いて本を読んでみたい。
人生ってそんな時間をつくるためにあるんでしょう―。

橋の上から眺めた池の全景。
スイレンを浮かべながら色彩が明滅する美に般若心経の無常観さえ漂う。

かたちあるものは滅びる。
とらわれを捨てて、花の色彩さえ透明になって
心の目で観る庭の非日常感。

その奥に確かに在るもの。
在るがゆえに美しく、美しいがゆえに存在しない。
来訪者の賑やかな歓声で日常に戻ると、
真夏の太陽の下、庭の花たちの饗宴。


フランスの庭園に日本の夏の足音。

庭だけでなく散策の小径がいい。
そこかしこに光が落ちていて
人の見知らぬ間に小人と妖精が歩くのだろう。

小径もまた夏の叙情

青いスイレンは熱帯の植物。
モネはアフリカ原産の青いスイレンをフランスで咲かせることを夢見た。
しかし、その願いは叶わなかった。
ここ南四国の高知で青いスイレンが開花する。



アフリカから南四国へとかけた夢をフランスのモネの魂に返す。
それは水面に映る睡蓮の極楽浄土。

台風で傷ついた羽とからだを投げ出すように
カノコユリの間を翔ぶ。
ぼくはここに生きている!と声が聞こえた。

蝶が舞い、トンボが横切り、蜂がうなる。
その鱗粉のきらめき、葉音のときめき。



蜂を引き連れてどこへいく?

太陽にきらめく紺色の燐







自らの可能性を信じていま咲き誇る花も、
散る前に最後の輝きを放とうとする刹那の花も、
すでに散って舞台から去った名残の花も、


みんな愛されたのだから。
人は誰だって愛されるのだから。
花は庭に、花は心に。
(このブログもそうなりたいのだ)

花に魂を奪われた人は花を愛でる。
守られた花は魂となって夏の太陽に溶けていく。
そのやりとりを感じられたら―。
ここはモネの庭 マルモッタン。
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