2015年07月08日

タイムマシーンの出口にある松林 北の脇海岸


阿南市北の脇海水浴場は、徳島県南を代表する渚。
小学校時代…海水浴といえば、ここである。
学校でバスを貸し切り、浮き輪に尻を落として
夏の太陽の下、
ざぶん、どぶん、ゆらり、と波に遊んでもらう。
(波は友だちだから)
唇が紫色になったら、砂に潜り込む。
波で砂を洗い流してスイカ割りだ。
海の家では、おにぎりや焼きそばを食べる。

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とある夏休み

「行くよ」
「待って!」
松原まで走っていこう。

「口笛聞こえない?」
耳を澄ましてみる…。聞こえてくるのは松原のざわめきだけ。
「口笛?」
その音は彼女の右横30センチのところから聞こえてきた。
息をはずませた呼吸のまま、誰かが口笛を吹いている。
風がささやくように、空気をわずかに震わせていた。
「うん、聞こえる」
口笛はそのまま彼女の頬を撫でるように通りすぎると、
もうふたりの間に距離はなかった。

 国道を左へ 海に向かう真っ直ぐの道
  色づいた早稲の海 自転車ですり抜ける
   入道雲 田に風わたり せみの合唱
  そのとき松林から蝶が飛び出した
   動くものみんな 夏

学校が半日で終わった午後、自転車に乗って海水浴にやってきた。
彼女は浮輪につかまり、漂うように沖へ出ていく。
ぼくはその横を伴泳する。
水が冷たく感じられるころには、浜が小さくなっている。
見上げた空の高さと白い雲……空が視界から突然消えると、
しょっぱい感覚がした。それが二人にとって初めてのキスだった。

太陽は西へと傾いている。
さっきと同じ道なのにまるでちがう景色に思えてきて…
(きっと疲れたんだよ)
背中でこっくり──。
この道はもうすぐ黄金色に変わる。


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海開きには少し早い。
あの夏がやってきた!
夏はいまもそこにあるし
夏はこれから始まろうとしている。
おとなの衣装(分別)を脱いで
背の高い子どもに戻ろう。

思い出とは過去をあたためることだけでなく
未来への燭光であり、風を送るタイム扇風機。

空を映す鈍色(にびいろ)の海
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荒れ気味の渚から松林へ入ると
ここだけ時間が止まっている。
タイムマシーンの出口のようだ。
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世代を重ねがらも
あの日と同じような蝶が蜜を吸い、
ほほを撫でる風が松林を吹き抜ける。

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日常と非日常の接点を行き来しつつ
ヒトは生きていくことができる。
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そのような生き方、そのような土地を選ぶのは、自分。
(楽園は、それを見ようとする心のなかにある)
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さて、あなたは?

 → 北の脇の夏休み
 → 上向きの視線は人間が夏と交わした契約
posted by 平井 吉信 at 13:16| Comment(0) | 生きる
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