2015年06月11日

そばとウイスキー つくる人の心を感じて


そばは、食べ飽きないから毎日でも食べたい。
うどんやラーメンだとそうはいかない。
(嗜好というよりは人間の生理的な問題として)

そばは、食品として完璧に近い。
良質のタンパク質を含み、ビタミンB1が豊富。
肝臓の機能を高めるコリン、
血圧を下げるルチン、食物繊維が多く
動脈硬化を防ぐ作用と腸内環境を調えるなど
まさに生活習慣病に対抗する食品である。

痩せた土地に育つそばは農作物としても利用価値が高い。
続日本紀に記述があるように、
日本人が長い年月をかけてそばを育て
そばは、日本人の生命を支えてきたといっても過言ではないだろう。

そばの栄養や機能性の秘密は、胚芽を食べることにある。
(だから玄米を信奉する人も少なくないのだ)
ただし、胚芽の部分には
農薬や放射能が溜まりやすいのではと推測する。

実は、そばの魅力に目覚めたのは大人になってからだ。
もともと関西にはそば文化ががないし、
地元では良質のそばにありつけなかったこともある。

そうめんのおいしさを知ったのも大人になってから。
子どもの頃は、そうめんは嫌いな食べ物の筆頭であった。
というのも、
家では大勢の家族に供するため
大量に茹でた素麺を冷蔵庫にしまっておき
実際に食べる頃には、
麺がからみあい、乾燥してぱさぱさになり
さっぱりおいしくなかったから。

そうめんといえば、どれも同じと思っている人は少なくないだろう。
うちもスーパーで買っていたが、これもそうめん嫌いになった要因。
ところがあるとき、アウトドアのイベントで
河原でそうめんをふるまうことがあって
協賛いただいた製麺所があった。
半田そうめんの産地の家族経営の小さな製麺所である。
この製麺所のそうめんが開眼させた。

半田そうめんは、太めの麺が特徴で「冷や麦」に分類される。
麺ののど越しという点では、細い麺よりも太い麺がおいしい。
そうめんの製法はどこも似たようなものだが
意外にも製麺所の違いは大きい。

数年後、かつてお世話になった製麺所を訪問する機会があった。
社長(イベントに協力いただいたのは社長のご子息)とお話しをするうち、
製麺を始めて今日までの
天候と調合が記されたノートの束を見せていただいたことがあった。
素材の力は毎日違うので微調整が必要。
びっしりと書き込まれた日々の営みが
この風味をつくっていることがわかった。

有名な産地だからおいしいとは限らない。
玉石混淆のインターネットの評判やマーケティングの仕掛けのなかから
ホンモノを見つける楽しみがある。
(賞を取ったなどはマスコミへの仕掛けと思って自分の舌で判断する)

この製麺所、本田麺というブランドでそのおいしさを世に問うている。
なめらかなのど越し、小麦の甘みが素敵だ。
稲庭うどんに負けていない。
その可能性に気付いた人が、
本田麺との共同開発による手延べつけ麺として提供している。
(Channel R55)
まずは、こちらで召し上がってみてはいかがだろう。
(6月9日の四国放送でも放映されたらしい)
DSXE2859-1.jpg

本田麺は、徳島空港で求めるか、インターネットを含む通販を利用するかである。
本田さんは、一家を挙げて地道にコツコツ夢に邁進されている。
叶うといいなといつも願っている。
http://www.hondamen.jp/

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そばの話に戻そう。
若い頃からおいしいそばを心おきなく食べられる店に出会っていれば
と悔やまれるが、
ここでも名店=おいしいとは限らないことを知った。

仮に、そばがうまければそれでよしなのだろうか。
(そんな店に限っておいしさを感じない)

日本有数の高いそば粉を使っているとのうんちくの店に行ってみたが
箸を数回運んだだけで止めたくなった。
また、東京の老舗であっても、ぼくの舌はコスト優先を感じた。
(というより、魂が見えなかった)

名店とはもっとさりげない存在。
うんちくをたれることはない。
こだわりを並べることもない。
(食べればわかることを説明しないと伝えられないのは?)
客の食べ方を干渉しない。
笑顔やおもてなしの心、食べてもらえる歓びが伝わってきて
こちらはいただける歓びをお返しする。

徳島県内に理想の店を見つけた。
田園の真っ直中にあって広い駐車場を備える。
およそ、そばの名店の雰囲気をまとっていない。
その店では、
地下深くから汲み上げた吉野川の伏流水をふんだんに使っている。
実は、そばを茹でるのに大量の良質の水を必要とする。
(都心の名店のそばがおいしくないのは水の利がないから)
DSCF4707as.jpg

そば粉は国産なのは言うまでもないが
高価な設備で残留農薬及び放射能検査を行っている。
(そばは胚芽を食べるのでこれは重要だ)。

しかもここはバリアフリー。それもかたちだけでない。
車椅子を店内にいれることを前提としている。
だから,いつ行っても車椅子のお客様がそばを楽しんでいる。
(通路が広いということは、快適な店内を約束するが、客席数が減少する。あえてそれをやっている)

営業時間は昼のみ。
風味の良い出汁は作り置きはできない。
そばは素材に力があり濃厚な甘みが感じられる。
バランスを取るために、濃厚な出汁が使われているが
コクはあっても後味は澄んでいてそばの香りを邪魔しない。
出汁に使っている食材にもコストの概念がないかのようだ。
社長自らがが毎日食べられるものをと心を砕いているからだろう。
http://www.jikishin-an.com/

観光客相手のそばのレストランのような構えであるが
さりげないホンモノは人の心になにかを残す。
だからこの店にお客が絶えることはない。
お店では良質のそば原料をつかったお菓子も計画中とのことで
(すでに販売されている自家製そばぼーろもおいしい)
http://item.rakuten.co.jp/jikishin-an/c/0000000258/

このお店のことだから、きっとレベルの高いものを手頃な価格で出してくるはず。
目が離せない。

こちらは石鎚山の自噴水「うちぬき」を使っている西条の甲(きのえ)。
西条に出張の際は必ず立ち寄っている。
DSCF5821.jpg
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マッサンの人気でウイスキーが売れている。
いま年代もののウイスキーは
まったく売れなかった時代に仕込んだもの。
だから量が少ない。そのため原酒が枯渇する怖れがある。
円安や大麦の産地の収穫が不安定などの要因もあり
メーカーでは値上げを行ったばかり。

ぼくは、10数年前からニッカの竹鶴12年をひいきにしてきた。
2千円前後ながら、余市と宮城峡の個性あるモルトをバッティングしながら
麦の果実の甘さ、豊潤さ(宮城峡)と
舌を刻むような彫りの深い風味(余市)の饗宴。
(竹鶴12年は、数年前に販売中止となっている)。
酒飲みではないので、山崎12年なども含めて2〜3年かけて味わっていた。

ニッカでは、看板である余市、宮城峡のシングルモルトが販売中止になる、
との噂が聞こえてきた。
国産、スコッチとかの範疇を超えて
自分の舌で比べてみると
世界水準でニッカのウイスキーの良さが際立っていると感じられた。

ふと仕事の帰りに、近所の酒店に立ち寄ってみると、
余市15年、12年、10年、宮城峡15年、12年、竹鶴21年、17年が
きら星のごとく並んでいるではないか。
いまやネットではプレミアム価格が付けられているものを、
(こういうものを買っては増長させてしまうだろう)
父の日特集ということで、お店の努力で確保した在庫を
一斉放出されたのだろう。
しかも値札は正価である。感謝したい。

これは一人でも多くの方が分かち合うべきもので
買い占めや転売はもってのほか。
今後10年はニッカの年代物はいただけないだろう。
そう考えて、宮城峡12年と竹鶴17年を1本ずついただいた。
(宮城峡はまだ味わったことがないため。竹鶴17年は世界一のブレンデッドウイスキーと思うから)
DSXE1691s.jpg

普段は、スーパーニッカ復刻版やブラックニッカリッチブレンドで良しとして
特別うれしいときに年代物を開栓しよう。
そして、10年をかけていただこう。

グルメは要らない、ブームにも関心はない。
ただ、その後ろにある目には見えない大切なもの。
作り手の心を観じながら生きていたい。

富貴晴美のマッサン -メインテーマ- はいい。
立ち向かう心の葛藤と涙の向こうの歓びをうたうから。
未来は明るいと信じている。
あきらめないよ。そうしないとね。
https://www.youtube.com/watch?v=4MPbK_gph_4





posted by 平井 吉信 at 22:49| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ
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