2015年06月06日

ランチの神山 自然散策の佐那河内 中を取り持つ鮎喰川と大川原高原


ベートーヴェンが田園交響曲をつくった頃、
ウィーン近郊の谷を彷徨いながら楽想を得たとされる。

都市の近くの里山は多くの人にとって糧となる。
徳島市及び周辺に住む人にしてみれば
1時間も走れば清流も里山も行き放題、
新鮮や野菜も求め放題なのに
徳島は何もない、
との自嘲コメントがきょうもどこからささやかれていそうだ。

観光(振興)なんか止めて、
地域のありのままの
暮らしのユートピアをつくることを夢見て
その過程も含めて発信してみては?
と思ってこのブログを続けているし、実践もしている。
それは365日一生変わることはないけれど。
(地道な日々にパフォーマンスは要らない)。

さて、徳島市に住んでいる人が
半日の時間が取れるとしよう。
散策、自然観察、ドライブと食事、地元の食材の調達、川遊びと
やりたいことはたくさんあるし、
美郷、阿讃山脈の麓、上勝・勝浦、由岐日和佐、丹生谷と選択肢は多い。
そのなかでもっとも近い佐那河内村と神山町に出かけてみよう。

佐那河内は、徳島市に隣接しながら
いまでは県内唯一の村。
文化の森県立図書館から10分の距離にあって
天文台を備えた山野草の名所、大川原高原や
自然観察のできる場所が縦横無尽にある。

そこからトンネルを西に越えると神山町がある。
ダムのない清流鮎喰川がまちを貫流しながら
芸術家と住民がアート作品をつくる取り組み、
近年ではITベンダーのサテライトオフィスが進出することで注目されている。
上勝もそうだが、ひなびた山中に思いがけずカフェに出会う土地でもある。

仕事の話では
リーン・スタートアップの考えを取り入れて
いま取り組んでいる2〜3の事例で応用してみようと
構想を巡らせ仮説を構築しているところ。
仕事は精力的に取り組んでいるけれど
年に数回の怠慢も悪くないと
カフェと自然散策を描いて、まちから抜け出した午後。

きょうは山里の細い道を駆け上がったところにあるという
ピザ窯へ出かけてみた。
昼過ぎに到着したものの、
あいにく生地が売り切れてしまっていた。
それもまたそれでいい。
売り切れもまたごちそう、と気にならない。
(次に来て味わえる感動が待っているから)
運が良ければ、次回は味わえるかもと…と山を降りた。

降りたらすぐにカフェがある。
和食を中心にていねいなランチの店。
駐車場が1台だけ空いていたのでこれ幸いと入店する。
(ここから上手にはさらに数軒のカフェや食堂が。ランチのまち神山なのだ)。

自然光とほのかなタングステンの光が溶け合う店内で
ゆっくりと食べる昼食はそれだけでごちそう。
ここも感じの良いお店でいつも来ている。
(いつも分刻みの生活なので)

食後に5分ほどクルマを走らせると
鮎喰川の絶景が見えてくる。
川面を渡る初夏の風、草いきれ、虫の声、鳥のさえずり、
オーケストラのように楽器を出し入れしては合奏。
日常のなかの非日常、非日常のなかの日常。
ありふれていながら、得がたいもの。

ここで電話が鳴ったとする。
急きょ県庁で会議をすることに。
いまから半時間で行けると返事。
これは架空のできごと。それができそうなのが徳島。

多くの人が気付いていないが
徳島の良さは川にある。
多くの人が神山を訪れるのも
都市の近くでありながら
川に浸れるから。
人は水辺を求めるのは遠い祖先の記憶(DNA)なのだから。

帰りがけに少し寄り道をして
佐那河内村の大川原高原へ。
といっても風力発電と旭ヶ丸、天文台のあるあの高原ではなく
そこから少し下ったところにある池を散策してみよう。
(いまの時季は山野草はあまり咲いていないから)

信州の湖の畔のようだが
居心地がいいのは生き物たちのビオトープになっているから。
整備された散策路や自然観察路がここから上へと伸びている。
でもきょうは時間の関係で池の周辺だけにしよう。

こんなところで焼きたてのピザをいただけたらそれ以上何を求める?
DSXE1359-1.jpg

店内は山の薫風が流れている 時間はゆっくりとたゆたう
DSXE1360-1.jpg

野菜を中心とした和のテイストはいつもながら
DSXE1374-1.jpg

すぐそばの鮎喰川を眺めてみよう
DSXE1395-1.jpg

空はどこまでも青い ここは日本
DSXE1398-1.jpg

水は翡翠に沈む ダムがないから
DSXE1405-1.jpg

大川原高原だけでなく自然散策のコースも(佐那河内村)
DSXE1453-1.jpg

キャンプ場のほとりには沢から流れ出した水を溜めた池がある
DSXE1520.jpg

浅い水から深い水への遷移で生き物の多様性が確保される
DSXE1523.jpg

DSXE1539.jpg

DSXE1544-1.jpg

また来てみよう
DSXE1563.jpg




posted by 平井 吉信 at 12:21| Comment(4) | 徳島
この記事へのコメント
はじめまして!
鳴門に住んでる者です。
紹介されてたランチの店名を教えて下さい!
Posted by こうちいママ at 2017年03月02日 12:04
こうちいママさん、
お問い合わせありがとうございます。
神山で紹介しているカフェは松葉庵さんです。
http://www.matsubaan.sakura.ne.jp/

上一宮大粟神社や鮎喰川、道の駅、
神山温泉へお越しの際にいかがでしょうか。
気配りのある良いお店です。

Posted by 平井吉信 at 2017年03月02日 21:07
返信ありがとうございました!
最近佐那河内、大川原高原が気になっていまして…
東京から来ていますので、自然豊かな場所によく家族でドライブに行っています。
農家なのでなかなか休みが取れないのですが…
たまたま佐那河内で検索していて、こちらのブログがヒットしました!
文面も面白く、画像にもとても癒されるので、たまに覗きにきますね!
Posted by こうちいママ at 2017年03月03日 17:23
こうちいママさん、東京のご出身とのこと。
徳島の美点は川にあります。
川は山のミネラルを海に運んでくれます。
人々は意識せずとも
その恵みを受けて暮らしています。
(楽園は見ようとする心のなかにあると思います)
鳴門は全国でも有数の特産品や
農産物の宝庫ですね。
家業のご発展をお祈りします。
Posted by 平井吉信 at 2017年03月03日 20:59
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: