2015年04月12日

観光地を体験する 屋島編

子どもが小さい頃は、親は遊べる施設がある有名な観光地へと連れて行く。
三角窓の付いた小さなパブリカで妹たちとともに行ったのが屋島。
展望台から皿を投げた記憶がある。

屋島は高松市の東に位置する台地で
崖に囲まれながらも頂上は平たい。

屋島も四国の他の有名な観光地と同様、
子どもの頃に一度行ったら、
もうそれで十分という位置づけだった。

観光関連の会議などでは四国の観光地はPRが不十分、情報発信ができていないなどと、マスコミも含めてたびたび指摘がなされるが、それが本質だろうか? むしろ、口コミしてもらえるおもてなしをつくることに力点を置くべきではないだろうか(来てもらうための発信ではなく、来てもらった人の心をつなぐ努力)。効果はないとわかっていても発注主の意向で電車の宙づりポスターや、インパクトはあっても来訪につながらない動画制作などに多額の予算が使われる現状に、受託する広告代理店も内心は複雑だろう。


しかし、著名な観光地のその後の展開に期待するとともに
既存ストックを再活用する視点があるのでは?と感じて
急きょ思い立って午後から出かけてみた。
往時を偲んで高速道路は使わず国道11号線を上がっていく。

高級リゾート「エクシブ」を見上げ
海産物を商う市場や老舗の飲食店が点在する
鳴門の北灘の海を駆け抜ける。
JF北灘 さかな市では、桜鯛と呼ばれるマダイの季節だが、
まだ型が小さい。
そこでマダイに比べれば味は落ちるが型の良いレンコダイを買った。
(3枚に下ろしして刺身にできるけど、鱗を取るのが手間なのでさばいてもらった)

香川県最初のまち「引田」。
世界初のブリの養殖を手がけたまちであり
和三盆や醤油などの特産品がある。

続いて、手袋のまち「白鳥」。
先日も運転用の手袋を地元のアウトレット店で購入した(値段は書けない)。

さらに、まちが続いて東讃でもっとも賑やかな「三本松」、
そして、津田の松原のある津田を過ぎる。

香川県内を中心に、
四国、山陽にはマルナカというスーパーがあるが
東讃にもマルナカはたくさん出店している。
そのなかの一店舗になぜか吸い込まれるように入って驚いた。
(理由はないけれど直感が働いた)
酒コーナーに、インターネットでも手に入らなくなっている
ニッカのウイスキーたちがずらりと並んでいるではないか。
(2015年4月時点)
「初号ブラックニッカ復刻版」「初号スーパーニッカ復刻版」、
さらに「フロム・ザ・バレル」までも―。
丹念に探すと竹鶴17年や山崎12年なども見つかるのではないか。

国道11号線は少しずつ混み始める。
大学のある志度に入るとちょっとした渋滞となった。

源平の壇ノ浦の牟礼、八栗山と庵治石の庵治を抜けると屋島である。
(道の駅 源平の里 むれは、売場の動線に工夫がある、品揃えも充実しているように見える)
ここまで来れば、栗林と高松市内は目前となる。
こうして見ると東讃には良い地域資源が揃っている。
高速道路ではすべて素通りするため
一般道を走ってみたい。

国道11号線をはさむかたちでJRと琴電志度線が併走する区間がある。
このことは国道から支線への右折がややこしく
また支線から国道へと出る車と交錯する場合もある。
(幹線道と駅が接近する利便性はあるが、解決が容易でない問題でもある)
そのせいか、高徳線は事故が頻発する路線であり
(数少ない乗車経験で数回事故に遭遇)
JR四国の空調の温度管理がうまく行っていない路線でもある。

今回は屋島に行くので
観光客向けのうどん店にも立ち寄った。
接客、気配り、味…コメントは控えたい。

それよりも屋島の峰を背景に神社のたたずまいが心に残る。
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屋島ドライブウェイ(630円)を通って屋島の台地に上がっていく。
東側は壇ノ浦や庵治を見下ろす絶景である。
まるで北欧のまちなみのようにも見える。
これだけで有料道路の価値がある。
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終点には広大な駐車場があり、台地を囲むように散策路が広がっている。
この路をすべて歩くと1時間近くはかかる(私はそれ以上かけた)。
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西を見れば、高松市内とサンポートが指呼に、
海をみれば屋島台地の先端と瀬戸内の多島海の絶景、
東は源平の世を忍びつつアリーナや採石場などがミニチュアのように美しい。
施設というと、ホテルと水族館(閉鎖されているホテルも残存しているが)、
第八十四番札所の屋島寺がある。
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さらに、みやげもの店、飲食店、工芸品店などが並ぶ山上のミニ商店街がある。
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茶屋の展望台からは、幼い頃にやった皿投げ(かわらけ投げという)ができる。
厄除けの意味があるようだ。
http://www.yashima-kanko.net/index.html
空中に的が浮かんでいる。
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小松島には金長狸がいるが
屋島には四国の総大将がおり、屋島寺の境内に鎮座している。
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桜は満開を過ぎていたが、
フランスからの団体観光客も訪れており
源平の装束のイラスト絵の看板などを見て
さかんにシャッターを切っていた。
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昭和の時代の竜宮城のようなハードとソフトは
往時は人々の夢を叶え、成長を見守ってきた。
けれど、時代の流れのなかで取り残されつつある。

いくつか改善すべき点が目に付いた。
観光地でもっとも大切な要素は2つ。
おもてなしの心であり、それを体現するのが清潔で配慮のあるトイレだと思う。
(お金を産まない要素を大切にしている観光地にはリピートされる理由がある)
その意味でトイレは要改善である。

北に広がる瀬戸内の海はのどかである。
東西のまちなみには人間社会の秩序が感じられる。
南の讃岐平野にかすむ山々もまた瀬戸内のようである。
屋島という台地の魅力は、
訪れる人の視点の置き方と、お迎えする人の心が噛み合えば
これからも色あせることはないはずである。
(わざわざ来たくなるソフトに取り組めば良いということ。それを考えるのが地元の楽しみでもあり)



posted by 平井 吉信 at 14:27| Comment(0) | まちめぐり
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