春の色、那賀川下流編から半月が流れて
中流へと遡ってきた。
季節も山へ向かって駆け上がっていく。
ここも水量は多く流れは早い。
春を迎えることを心待ちにしている。
まるで初めて春に出会うように。
季節がめぐること、それは地球がめぐること。
血がめぐること、それはいのちがめぐること。

木々や草花が次々と芽吹いていく。
期待と不安が入り交じる人の春。
清い流れも濁った流れも人の世ゆえ。
矛盾を抱えて生きていくのが人だから
歓びが多いほど無常もまた然り。
無常であるから歓びも輝いて見える。
そのことを教えてくれるのが、春なのだ。

いつもの河原をたどってみる。
山からの小さな流れ込みが本流に流れ込み
砂と岩がつくる生態系の妙。
ここは、那賀川が生み出した奇跡の場所。
陽光とそよ風が瀬音をきらめかす。
弁当を持ってピクニックに来ている男女を見た。
テーブルのような岩に腰掛けて
彼女の手作りの料理が並べられ
おいしいお茶でのどを潤している。
春を駆け足で知らせに来たオオイヌノフグリのときめき

岩に這いつくばるスミレがいい




浅瀬に集まっておとなになる日を感じるオタマジャクシ

最初のオキナグサはいつもの場所にあった。
でも100人中95人はこの花に気付かない。
数年前のように花があちこちにあるという感じではない。
それでもあるところにはある。
それも千手観音のような盛りつけで。





両手を広げて存在感を示す子どものように

産毛が西に傾いた太陽に照らされてまさにオキナ。
やがて白髪のオキナグサに変わってしまう。
人の世のように。

竹取の翁の「かぐや姫の物語」は日本人の世界観を表出している。
諦念を覚えて人は執着を放つことができる。
月の衣を着ることは
地上の記憶を失うことを意味するが
自ら切り放せたとき、魂の存在が見えてくる。
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