2014年11月02日

トルコ行進曲の聞き比べ モーツァルトは燃え立つ火です 


音楽は生活そのものになっている。
音楽のない一日など考えられない。
おいしいコーヒーや紅茶とチョコレート、焼酎とちくわ、
ウィスキーとチーズなどが添えてあってもいいし
薫風の五月に
窓を開けてまどろみつつ雲を眺めながらの
ベートーヴェンのピアノソナタなどもいい。
例えば、ピアノソナタ第15番 ニ長調「田園」Op.28 第1楽章など。
(まるでいかめしくなく、弾む愉悦感と薫風のような詩情は現代人の心に届くはず)

聴く音楽の幅は広いので本人はジャンル(先入観)を意識していない。
歌謡曲やニューミュージック、フォーク・ロックはYouTubeから発掘する。
手持ちのCDでよく聴くのは、松田聖子、ちあきなおみ、小柳ルミ子、キャンディーズなど。

好きな作曲家は、古からでは、モーツァルト、ベートーヴェン。
この二人は特別な存在でベートーヴェンについては
若い頃からスコアを眺めたり文献を繙いたりと生涯の研究テーマ。
耳のごちそうとして、シューベルト、ブルックナー。
もっとも聞いているのはフランスものかも。
(フォーレ、ドビュッシー、ラヴェル)。

変わり種では、ギターの作曲を行ったソルやヴィラ・ロボス、
オペラでは、プッチーニを筆頭に、レハールなど、
現代では、武満徹や吉松隆、
曲によっては、マーラー(第9の1楽章)、ショスタコーヴィチ(第15)。

もちろんジャズも。寝る前のキースのケルンコンサートや
ビル・エヴァンスは愛聴盤。

ラテンやボサノバは午後のひとときに欠かせない。

民族音楽に惹かれて南太平洋で一ヶ月過ごしたこともある。
http://soratoumi2.sblo.jp/article/97208434.html
南西諸島、とりわけ八重山の音楽は心の糧でもある思い出のたまて箱。


NHKの特番(銀河宇宙オデッセイ、地球大進化、生命40億年はるかな旅、神の数式、篤姫などのサントラ)、アニメのサントラ(羽田健太郎は良かった)、ときにはボカロ作品なども。

変わり種では、雅楽や神社の神楽(4枚組のCDは宝物)、
リズムという概念のない邦楽の宇宙に浸る心地よさ。

なかでもおすすめは「日本古代歌謡の世界」。
神様が好きな人は決して後悔しない音楽。
(出会わなかったこと後悔することはあっても)
日本古代歌謡の世界


さて、モーツァルトに話を。
(遠廻りしたかも)
誰もが知っているモーツァルトのトルコ行進曲は、
ピアノソナタ K331の第3楽章。
ぼくが持っているのは、リリー・クラウスの1954年録音。
シャンデリゼ劇場を愛して止まなかった
名エンジニアのアンドレ・シャルランの名録音。
ワンポイント録音で、モノラルながら現在のデジタル録音が失ったものが閉じ込められている。
ピアノを打鍵したときのアタックとそのあとにまとわりつくコロンという響きの清楚で心地よさ。

リリー・クラウス モーツァルトピアノソナタ

トルコ行進曲の聞き比べができるYouTubeのリストがある。
https://www.youtube.com/watch?v=2y6OMn8O-fI&list=PLoVQukp35B67aeuZQ-wEXCZj7wYO48fPG

グールド。個性的であろうとする演奏なのか、個性を超越した表現なのか
https://www.youtube.com/watch?v=x4TRZjbhxmw&list=PLoVQukp35B67aeuZQ-wEXCZj7wYO48fPG&index=8

その前にこれを見てみる。
グールド本人による弾き方の解説。
http://www.youtube.com/watch?v=i8dSdoGQKXE

風変わりで効果をねらった演奏と捉えるか、
内面の小宇宙の光を見るか。

作曲者はその曲の世界観を持つ。
演奏者は同じ精神に立ってその世界観を再現しようとする。
しかし作曲者とて神ではない。
作曲者も演奏者も新しい光を当ててみたいと考えるのは同じ。
作品の精神は尊重して、かたちにはとらわれず―。

グールドのトルコ行進曲は成功例と思う。
クラウスのトルコ行進曲のタタッとせき立てるリズム、
生命力があふれながらも小粋で洒脱で古典の枠を踏み外していない。
表情豊かで端正な演奏だけど、
風のように駆け抜けてニュアンスがスピーカーからこぼれ落ちる。
モーツァルトがいまにも飛び出してきそう。
(YouTubeの聞き比べのなかにクラウスより魅力的な演奏はあるだろうか?)

K331は第1楽章が好きで、小学生でも弾けそうな主題のなかに
すでに人間の感情があふれている。
感情があふれるように一瞬スキップを踏むように駈けだす瞬間、
涙を溜めながらも前を向いて凛々しく歩こうとする。
(だから、なよなよと演奏してほしくない)

ライオンのイメージCMとも重なる。
ライオンの企業広告 働く女性への応援歌篇
http://www.youtube.com/watch?v=azAYaMy7Zrg
(このCMはいいな。登場する女性たちが魅力的。相棒に似ている人もいる)


リリー・クラウスは第二次大戦の最中、ジャワで日本軍に抑留されている。
(ハンガリー人なのに)
それなのに、戦後、日本の戦災孤児を引き取ったとの話もある。
魂の芸術家と呼びたいリリーの生涯を
NHKのディレクターが長年追い求めて一冊の本にまとめた。
この本の表紙のリリーは凛として女優にも優る。
リリー、モーツァルトを弾いて下さい

モーツァルトは全宇宙であり、燃え立つ火です――リリー・クラウス。




posted by 平井 吉信 at 12:33| Comment(0) | 音楽
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