勝浦川が横瀬で向きを変えて上勝へと向かう辺りを
横瀬立川という。
地元の人は横瀬立川のアユは日本一と自慢していたと聞いた。
「日本一のアユ」は確かにご当地自慢でどこの川にもあるもの。
日本一かどうかは別にしておいしいアユが採れたのは事実だが、
それも上流に正木ダムができるまでの話。
ダムができて洪水調節により下流は大水に見舞われにくくなった。
そのことが河原に多くの植物が生えることとなった。
一見自然度が高くなったように見えるが
河原の生態系は変わってしまうばかりか
洪水時に流れにくくなる(粗度係数 が高くなる)。
ダムによって水質及び流量が減少したことが大きい。
小学校の頃、父に連れていってもらった横瀬立川では
勝浦川の水は対岸まで見通せるほど澄み切り
(飲めるのではないかと思った)
深山幽谷に猿の叫び声を聞きながら
冷たい水で唇を紫にしながら早い流れに逆らって泳いだ。
あの横瀬立川。
なぜか、あの頃をふと思い出して出かけた昼下がり。

台風の影響で水量は多く濁り気味であったが
勝浦川の上流から中流へ遷移する人里離れた渓谷地形は
往時の風情をとどめている。
そして南岸の途は支流の立川(たづかわ)へと分け入っていく。
ほどなく進むと、巨大な動物が立ちすくんでいるのが見えた。
怖い物見たさの好奇心は子どもの頃から。
車を遠くに止めて気配を消しておそるおそる進んでいく。
いた!
正面にすばやく回り込んで写真を撮影。
気付かれたようだ。


思い出した。
この辺りでは1994年に
白亜紀前期に属するイグアノドンの歯の化石が発見されている。
その他古生代の化石が産出することで知られ
マニアが発掘に訪れている化石の聖地でもある。



その生き残りがいたのだ。
これはスクープだ。
恐怖を忘れてすばやく撮影して車に戻る。
恐竜を祀った神社もある。

次に出くわしたのはイナゴだ。

立川渓谷の沢と本流が合流する地点はなんだか涼しげ。


道ばたの山野草にも目が留まる。

小さな潜水橋には流木がかかっている。
そこを渡ると民家がある。
訪れた人に幸福をもたらすという
遠野物語のマヨヒガとはこのような家ではないか。


(ここまでX-E2+XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS、XF14mmF2.8 R)
しその仲間の小さな山野草を
フジX20は近寄っていとも簡単に撮影してしまう。



立川はいよいよ深く分け入っていく。

水のしたたる崖には沢の宝石とも呼ばれる
イワタバコが群生。
宇宙に浮かぶ涼しい一つ目のようだ。


(ここまでX-E2)
(ここからD7000+AF-S 70-200mm f/4G ED VR)





せみしぐれ 立川は遠くなりにけり―。
恐竜の里をはじめ、勝浦町の観光資源
http://www.town.katsuura.lg.jp/docs/2010112900011/
観光マップ
http://www.town.katsuura.lg.jp/docs/2010111700698/files/kankou_map.pdf
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