2014年07月13日

水のいのち 流れて海部川


合唱が好きな人にとってかけがえのない楽曲のひとつが
高田三郎作曲の合唱組曲「水のいのち」。
水の循環をうたいながら人の生き方を重ねたもので
日本人の感性を幾重にも映している。

第1曲の「雨」、水が生まれた山懐に連れ去られる。

第2曲「水たまり」、濁った水たまりが空を映そうとしている。
映した空は青い。
その空に憧れる小さな人間の憧れが
ピアノの音で昇華されていく。

人の心が昂ぶっていく。
自然も荒ぶる。
「川」「海」「海よ」と楽曲が高まるにつれて
女声合唱は高みをめざして舞い上がる。
心の澱が浄化し、自然と魂が同化していく。
「水のいのち」は、20代のぼくが私淑した音楽のひとつ。

水のいのち〜高田三郎女声合唱作品集〜

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海部川には10代の頃から自転車で通っている。
当時の国道193号線は舗装していない箇所さえあった記憶がある。
1995年の道路拡幅の際に消えてしまった樫の瀬の河原で
竹林のざわめきを感じつつ
テナガエビを探す。
たき火に照らされて冷えた身体を温めつつ
かじかの声に耳を澄ませていると
脳が川に同化していく。
ときおり南の銀河面に星が流れる。
濃く流れる銀河と恋のような感情。


2010年、奇しくもこの場所で姫野さんが流され、
その後下流にあった老朽化した姫能橋が撤去され
ひとつの時代に苦悩と希望を閉じ込めた魂が流れた。
叔父は10月の那賀川に流され、
義弟の父は海で逝き
それぞれ自然に還っていった。

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台風8号の過ぎたある日、支流をめざした。
源流域の森には巨大杉があり
最後の民家を過ぎると林道が始まる。
きょうは林道を歩いて行く。

右手には川、
左手には崖や滝の流れ込み。
見ようとしないひとにはまったく見えないが
見える人にとっては前へ進むのが躊躇するほど
豊かな川と森の時間。
初夏、静かに時間が流れる。

全国を旅してみると
ここにしかないものがたくさんある。
まっすぐに存在していて
尽きることがない、尽きることがない。

(特に表記しなければニコンD7000+AF-S Micro 60mm f/2.8G)
田園地帯から峠を越えれば川に近づく。
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水路の傍らにコオニユリ
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初夏の田んぼは風も吹かない。
すでに田園詩から始まっている。
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ベートーヴェンは耳が聞こえにくくなってから
自然の散策を好んだ。
そうして理想の音楽を自らの内に響かせた。

ここは自然度が高い。
道沿いの生き物や植生に歩みを緩める。

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勾配差が少ないためヨーロッパの渓谷に似ているかもしれない。
でも植生が豊かなのは温帯モンスーンの日本だから。
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水に惹かれる蛍のように
河畔林とその向こうに見える流れに引き寄せられる
ぼうと光る水底の照り返し、銀河のようにたゆたう。
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樹幹に苔や植生が付着した木々の立ち姿が凛々しい
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河畔林のすそ野を洗う。
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ここまですべてD7000+AF-S Micro 60mm f/2.8G。
風景はこれ1本で済ませることもできる。
Nikon 単焦点マイクロレンズ AF-S Micro 60mm f/2.8G ED フルサイズ対応


富士フイルムX-E2による同じ場所の画像。
ニコンと大差ないが、立体感のあるニコンに対して
やわらかい階調が持ち味。
X-E2+XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS
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ニコンでこんなふうに撮影している
XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS
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あの木陰は夏の避暑地。足を浸しながら
本を読んだり目を閉じたり。
ヒグラシの音の風景が身体に沁みてくる。
XF14mmF2.8 R(木立があるのでこのレンズでないと収まらない)
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豊かな河畔林の緑が水辺にあればこそ
XF14mmF2.8 R
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森のなかでは
シマヘビやヤマカガシをときどき見かけるけれど
マムシには遭遇していない。
XF14mmF2.8 R
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散策のあとは近くのカフェへ
Channel R55はひとにやさしい料理を
食材の本質を見極めて提供してくれる場所。
那佐湾を見渡すいつもの席で。
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料理も川もあるがままに、流れるままに。
コップの水にも出した人の思いが宿る。
きょうのテーマは水のいのちなので

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本田さん、お元気ですか?
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身体にやさしい麺料理、小麦を味わえる麺料理を研究されている。
少し歩いたので身体がミネラルを欲している。だからこのつけ麺のスープ。
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そこには目に見えない世界と精神が横たわるのだけれど。

(X-E2+XF14mmF2.8 R、XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS、XF35mmF1.4 R)


機材はこちら
FUJIFILM XFレンズ FUJINON F XF14mm F2.8 R 単焦点 広角 F XF14MM F2.8 R
FUJIFILM XFレンズ FUJINON XF35mm F1.4 R 単焦点 標準 F XF35MMF1.4 R
FUJIFILM XFレンズ FUJINONXF18-55mm F2.8-4 R OIS 標準ズーム F XF18-55MM F2.8-4 R
FUJIFILM デジタルカメラミラーレス一眼 X-E2ズームレンズキット ブラック F X-E2B/1855KIT
FUJIFILM デジタルカメラミラーレス一眼 X-E2ズームレンズキット ブラック F X-E2B/1855KIT
posted by 平井 吉信 at 22:58| Comment(0) | 生きる
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