2023年09月15日

今週のらんまんから〜ツチトリモチ〜


物語は終盤にさしかかっている。脚本は史実を踏まえながらも、誰もが悪者にならないよう、登場人物の一人ひとりに細やかな気配りがなされている。単純に白黒を付けないのに、モノサシ(伝えたいメッセージ)はぶれていない。植物を通じて訴えているのは人の生き方。好きなことに夢中になれることの幸福感。人生に敗者はいないという伝言を受け取った方も多いだろう。近年の朝ドラで出色の脚本ではないか。

劇中では神社の木を切るという明治政府の方針に主人公はなんとかならないかと神社の森の記録を通じて抗議の意志を示そうとする。そこに明治神宮外苑再開発への隠された脚本家の意図を見る。

神社には必ずこんもりとした森がある。その森は長い年月にわたって地域固有の生態系が固定された閉鎖系となっている。神社の森には開発の手が入らないからである。
徳島でも神社の森に稀少な植物が自生している(しかもその一角だけ)という事例が多く存在する。神社の森の生態系は時間を止めたかのように脈々と遺伝子資源をつなでいる場でもある。

冬になると訪れるこの神社の裏山にツチトリモチの自生地がある。足下に気を付けて丹念に斜面を探っていくと次々と見つかる。この植物は光合成を行わず樹木に寄生してそこから養分を摂取する。ツチトリモチ科 ツチトリモチ属 ツチトリモチである。
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壽衛さんの献身的な支えがあってこその牧野である。最終週は星になる彼女とスエコザサではないかと予想しているのだが。

世の中のあらん限りやスエコ笹
(牧野富太郎)

追記(9/17)
らんまんの終わる場面が浮かんできたので記しておく。
本編では意外にも牧野さんが各地の植物愛好家たちと採集に出かける場面が出てこないので、とっておきの場面となっているのではないかと気付いた。
それは、すえさんの死後…。80代を超えた牧野は、愛好家たちと採集に出かけた山野でついうとうとしてしまう。
そこでは幸福感あふれる回想場面が走馬灯のようにめぐり、それを見守るすえさんの笑顔が浮かび上がる。ここでエンディングテーマが流れて夫婦の生涯を祝福するように幕を下ろす。
(実際どうなるのか楽しみ)

タグ:らんまん
posted by 平井 吉信 at 21:57| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月09日

見上げるパラグライダーと夏の雲


勝浦川を見ていたとき、上空に気配を感じて気付いた。
それは雲、そして3機のパラグライダー。
おそらくは勝浦フライトパークから飛び立って川を空から眺めに来たんだろう。
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子どもの頃、平泳ぎの手の格好で空中を飛ぶ夢を何度も見た。それはあまりに現実的でほんとうに飛んでいるのだと思ったけれど、壁に手を打ちつけて目が覚めた(醒めずにいてほしい)。
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あそこからこちらはどのように見えている?
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posted by 平井 吉信 at 23:05| Comment(0) | 山、川、海、山野草

植物図鑑を持って夏の渓流に出かけよう(夏休み特集その5)


2か月遅れの企画ですが、ご容赦を。
まずはお気に入りの渓流に出かけよう。森に包まれた河畔林があって高低差がないおだやかな渓流。奥入瀬のような場所が理想。
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見つかったらそこに机とイスを置いて図鑑をひもといてみよう。自分のいる場所から10メートル半径であっても図鑑で同定しないとわからない植物がたくさんあるはず。こんなときに持ち出すのは、ヤマケイハンディシリーズ「野に咲く花」「山に咲く花」の2種類がいいかも。そして、食べ物と飲み物があればなお良し。
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さっそく足下に宝物を見つけた。白い綿毛が動いていく。貴公子のような芋虫。
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そのときはわからなかったけど、帰宅して調べたらリンゴドクガの幼虫のよう。ドクガの幼虫は要注意だが、リンゴドクガには毒はないそう。掌の上に載せる人もいるぐらいなので。

こちらはハラビロトンボのよう
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森に囲まれた水辺は陸上の生物にとっては特別な場所だったんだろうね。ホモ・サピエンスにとっても。それにしても自然のなかでじっくりと植物を感じて図鑑を眺めるのは良い時間の過ごし方。ほんとうに飽きることがない。ときどきはコーヒーを入れてみたり、菓子を焼いてみたり。何を食べてもおいしいから。




posted by 平井 吉信 at 22:53| Comment(0) | 山、川、海、山野草

近所の森に出かけて昆虫を見よう(夏休み特集その4)


おっしゃることはわかります。もう夏休み終わっているので。ごめんなさい、それでは始めます(やることが多くてブログが後回しになってしまって。1〜2か月の時差があることも)。

昆虫採集セットって覚えていますか? 21世紀になって見かけなくなりました。「夏休みの友」の読書感想文やら卵の殻を割って絵の具を塗って画用紙に貼り付ける工作、植物や昆虫を採集して標本にしたり…。

いま冷静に考えると市販されていたことが不思議だったものが昆虫に注射針を刺して防腐剤(だったと思う)を注入して針で固定した標本をつくるもの。残酷だし子どもが(故意か誤ってか)本来の目的外で注射しかねない。

標本にはナフタリンを付けていたけど時間の経過とともに朽ち果てて最後は捨ててしまう成果物(標本)だったかも。昭和のノスタルジーのなかには危ないものも当然ある。テレビは現在では放映できないような場面すら放映していたし。

標本とか昭和の話は置いといて、採ってきた虫たちを観察して放すか、寿命を全うするよう飼育するかのいずれかだよね。まずは近所の森に出かけよう。

自宅から40分ほどの高原(またしても高原)の一角にやってきた。その近傍にある森に入るには池の畔を半周回る。この池は山の沢が流れ込む透明度の高い池で湖畔には水生植物などが自生する。池には休憩できる場所があって、それが写真に撮影すると良い感じ(実物は写真以上に良いかも)。
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湖畔の途中から森へ入る小径があって、まさに夏休みの入口という感じ。森では複数のセミの声が聞き分けられる。森にはいくつかの沢(谷筋)を横切る。沢はサワガニやヤゴなどの水生生物を育むけど、沢のない森は森ではない感じがしませんか?
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森を歩くと夏休みの宿題をしている気分。蚊に刺されてぼりぼりと掻きむしって血が出ている子ども(仲間)、麦わら帽子に水筒をたすき掛けにしてランニングシャツに汗のしみをつくっていた子ども、虫かごに入れた玉虫を誇らしげに歩いている子ども、幼い妹や弟の手を引いてセミを捕ってやるお兄ちゃん。ああ、昭和だね。
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この日も森で虫取りをしている親子とすれ違って、声を掛けた。ぼくは虫取りに来ているわけではないけれど、なんだかうれしかったね。これはミンミンゼミ。
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それにしても高原の一角にある池と森、人の群れとは無縁の静かな湖畔に半日だっていられそうなここも県庁から40分の場所。
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植物の観察もお忘れなく。ただし現在は希少種が増えているので持ち帰るよりは写真記録にとどめたほうが次の世代のためになるから。
ヤブハギ?
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コガンピ?
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移住を考えている人は必ずしも郡部に住む必要はないかも。田舎特有の濃い人間関係が煩わしいだろうし。

さて、質問です。県外からやってきて徳島を選ぶ理由は何でしょうか?
(これはとても簡単。ほとんどの人は正解するはず)

・365日の食材の豊富さ、鮮度、手に入れやすさ(野菜、香酸柑橘、淡水魚、海水魚=瀬戸内&紀伊水道&太平洋)
・川(川遊びのみならず全国有数の多雨の森からダムのない川が運ぶミネラル=生命の基本中の基本でしょう)

この2つだけで生きて行ける大切な要素だよね、そのことが腹に落ちる人が移住されていると思う。
あとひとつ加えるとしたら、
・混まないのに水の美しい海水浴場(いつだったか、環境省の水のきれいな海水浴場のベスト10に2つ入っていた。大砂、北の脇ね、田井ノ浜もほぼ同等。これらの海岸はこのブログにも頻出している)

魅力度ランキングが最下位かそのあたりということで、(他県でもやっているありきたりの)観光振興に力を入れようとしているけれど、それは必要でしょうか?

そのために格安航空や直行便、クーポン旅行券、再開発やシティプロモーション、イベント、SNSや動画マーケティングに注力しても、47位が46位か45位になるだけで変化は起こらない。そもそも魅力度とはハレのマーケティングの概念でしょ。東京と比較してのライバル意識やら他県並に背伸びする施策ではなく、堂々と価値観のモノサシを定義して発信できれば最下位は最上位となることに気付いてほしい。ぼくはそのつもりでここ二十年ぶれずに発信を続けている。

阿波踊りに高額な桟敷席を設ける前に郡上踊りでも見てみなよ。踊り手と観客、主催者と招待者、地元と観光客などの境を取っ払っていることがどれだけ思い出に残るか、それがどれだけ強い来訪(リピート)理由になるか。県都の首長の意識もティール組織のように多くの知恵を結集させようとせず心理的安全性やマインドフルネスなどとはほど遠い時代遅れ。よさこいも阿波踊りもショー化を突き詰めていく方向はどんどん衰退する。コロナだってまったく収束しない(それはある意味では当然なのだけど)。危機感を持たないと。
posted by 平井 吉信 at 22:17| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月06日

夏の名残の福井川 見上げるとかすかな彩雲


阿南市南部を流れる福井川は独立水系で大きな川ではないが、上流にダムがある。その福井川上流を国道55号線が渡っていく橋の上下流は好きな場面のひとつ。
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運転していて彩雲に気付いたので車を橋のたもとに停めたときに撮った。

画面真ん中の縦の雲3つ4つがかすかに赤みを帯びた虹色をしている。
彩雲はあっという間に色がなくなってしまう。車窓から見えたときから数十秒後だけど色が薄れている。
このところ虹を見るが、絵に描いたような場面に限ってカメラを持っていなかったり、カメラのあるところに戻って構えたときには消えかかったり。虹も儚いものでは数秒から数十秒。
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それもなぜかスーパーに夕方の買い物をしているときに出る。カメラは持っていない、困った。
(いつもポケットに入れられて虹を写せるカメラを買わないといけないな)
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夕焼け近くの雲は劇的な印象があるけれど(那賀川 古庄橋)
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黒くなると重い
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むしろ夕焼けを避けて東の空に青を基調としながら暖色を帯びる色彩が好き
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などと彩雲や虹に思いを馳せるけれど、このところよく見かけるのは異常気象の断片かもしれない。
そんなことを考える夏の終わりの福井川。
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タグ: 福井川
posted by 平井 吉信 at 23:25| Comment(0) | 気象・災害

2023年09月02日

高原に雲が沸き立つ(夏休み特集その3)


夏休み特集で棚田、湿原を取り上げたので次は草原(高原)でしょう。
徳島県内の高原を取り上げるので、どこか当ててください。

高原に到着すると真白な雲とWindows XPを投影したかのごとく高原で夏を描く。
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草原の展望台は自撮りのメッカ。そして風を感じているのだろう
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展望台から半時間歩けば草原の一角が小高い丘となってパラグライダーの発着もできる場所となる。ここが高原でもっとも標高が高い場所、つまり山頂
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道中の集落のたたずまい。目が釘付けになってしまう。これは旅館ではなく暮らしの日常。
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谷の流れを利用した水車小屋。
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今度は高原の植物を見よう。
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ススキに寄生するオオナンバンギセル
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ススキの足下を探すと群生が見つかる
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ユリ科の蕾
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ホタルブクロ
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オトギリソウか?
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昆虫も夏を迎えている。山頂には蝶の仲間が集まってくる。山頂は出会いの場なのか。確かに目印はなくても本能で高い場所に集まってくることはありそう。
生きていくための本能の場面
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宝石のようなコガネムシ
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草原は碧一色、空は濃い青と白に二色、でも草原にちらほら見える目立つのは橙色。
ヒオウギ
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オオキツネノカミソリ
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これは見とれてしまった。四国には四国カルスト/天狗高原にあるといわれているが、県内にも咲いていた。朱色にも近い濃い色で夏の太陽をあでやかに返しながらも碧の草原を輝かせるほどの存在感。
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最初は目立たず、ヒオウギかと思うぐらい。
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ススキに負けないよう背を伸ばし、受け咲きで空に向かって背伸びをする。凜としたたたずまいに心を草原に忘れてきたかも。

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きょうも高原に遊んでもらった。風を受けての帰路は心が軽く。帰りに大歩危茶(吉野川支流の標高の高い場所で小規模でつくっているので農薬を使わない。日本の茶でもっとも好きな銘柄のひとつ。草としての茶の魅力が香る)を買っていこう(おっと、ヒントが出ました。竹下景子さんに500点で行きますか?)。

追記
近くには有名なスイーツもありますよ。ここのが売れたあと、模倣がたくさん出てきたけどぶれない理念で地元産の素材のみでつくっている。

タグ: 塩塚高原
posted by 平井 吉信 at 00:45| Comment(0) | 山、川、海、山野草