2023年09月30日

夕方の巻雲(すじ雲)は 何もない一日を映す幸福のかたち


近所に買い物に来て車を降りたら夕焼け雲が眼に入った。幸いカメラを持っている。店に入る前に駐車場から。

まずは換算35o(X-T5+XF23mmF1.4 R=準広角)の視野で。下部の蒼灰色の雲は形成されかけている積乱雲(この日は気温が高かった)で右上の白いブーメラン状の雲はこの積乱雲の上部が上昇分離して濃密巻雲となったものかもしれない。
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標準レンズ(X-T30+XF35mmF1.4 R)の縦位置で見てみよう
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この濃密巻雲はもつれ雲の形状
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太陽に近いところでは放射状巻雲が斜めの太陽光で赤く色づいている(X-T5+XF60mmF2.4 R=準望遠)。
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雲は地球の大気の動きを痕跡として見せてくれている。気象は温暖化による異常気象が加速されているが、身近なところで平穏無事に終わった一日と相まって雲は心を映してくれる。ひとことでいうと、何もないことの幸福感。

雲を見ていると、じんわりとひたひたと幸福感で満たされる。かたちあるものの背後にある、かたちのない存在に気付いているから。
posted by 平井 吉信 at 22:22| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月29日

中秋の名月2023年 月の輪(月暈)と木星 


仕事が一段落して外に出た。中秋の名月といわれる今宵の満月が気になっていたから。

すじ雲(巻雲)がかかって月の光輪が出ている。雲に隠れた月が現れるときの感動にも似た心の動きもあれば、観音様の光背のような今宵の名月もまた良し。快楽の神、木星が月の東に惑星の王者の落ち着きで光を置いている。
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日々現れる天文現象、空とか雲とか、星とか。そしてそれが地上に投影された気象や森、水、土、川と海を見ているとすくっと目線の位置(魂の高さ)が上がるような気がする。

さてと、地上から仰ぐ我らゆえ、月と木星にかけて、黄金のきらめきを宿す獺祭を味わいたいところ。

(フジX-T5+XF14mmF2.8 R、f5.6/3.1ss/ISO 800)

最終回のらんまんから〜スエコザサ〜


9/17にらんまん最終回の予想を書いておきました。

壽衛さんの献身的な支えがあってこその牧野である。最終週は星になる彼女とスエゴザサではないかと予想しているのだが。

世の中のあらん限りやスエコ笹
(牧野富太郎)

追記(9/17)
らんまんの終わる場面が浮かんできたので記しておく。
本編では意外にも牧野さんが各地の植物愛好家たちと採集に出かける場面が出てこないので、とっておきの場面となっているのではないかと気付いた。
それは、すえさんの死後…。80代を超えた牧野は、愛好家たちと採集に出かけた山野でついうとうとしてしまう。
そこでは幸福感あふれる回想場面が走馬灯のようにめぐり、それを見守るすえさんの笑顔が浮かび上がる。ここでエンディングテーマが流れて夫婦の生涯を祝福するように幕を下ろす。
(実際どうなるのか楽しみ)


当たらずといえども遠からずだったかなと。

まずはスエコザサ。発見地が仙台であったように四国には自生していません。
けれど四国内で見える場所は、牧野公園(佐川町)と牧野植物園(高知市)です。
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拡大したもの
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葉が巻いている
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これらは牧野公園で撮影したもの。すぐそばに富太郎の墓もあります。生家もここから5分ぐらい、少年がバイカオウレンを見た神社も、藩校のモデルとなった寺も、売りに出された実家の酒蔵も統合していまも現存しています。

この日は、バイカオウレン、ヒメスミレなど番組でキーワードとなった植物も見られました。
http://soratoumi2.sblo.jp/article/187327603.html

何かを成し遂げるためにそれ以外のすべてを犠牲にする。そのことの大変さを伝えてくれたドラマでした。

牧野公園の植物や佐川町のまちなみについてはリンク先からどうぞ。
posted by 平井 吉信 at 20:21| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月26日

朝の雲はおもしろい 一日が終わって地球の夕暮れに考えること


朝起きて外へ出てみると巻積雲が出ている。巻積雲の二重雲状態だが、片方は飛行機雲由来だろう。
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この分だと日暈(ハロ)が出るのではと思っていると出た。ハロが出ているのは巻雲で、房状巻積雲と重なっている
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トンビもハロの線をなぞったり横切ったりしているので遊んでいるようだ。
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自宅を出て出張で香川県へと向かう。途中で見たこの2本の筋は飛行機雲由来の巻雲。その上に浮かぶ2つの雲は昨日と同様の馬蹄渦のように見えたが、形状の変化がなく動きも安定していたので巻雲の断片だろう。
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こちらは肋骨雲の形状をしている巻雲。
雲はおもしろい。人生は決して長くないのに困ったものだ。
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夕暮れの雲は特に見栄えがなかったが、吉野川に日が沈む様子が見られた。日本の大河で東西に長く流れるのは吉野川と紀ノ川ぐらいだろう。太陽が川から出て川に沈む。
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太陽が層積雲(うね雲)に隠れるといっそう深紅に染まった
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最後にまた出てきた
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地球の良い一日であった。
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追記
政治の劣化は度を超しているので書いておく。いま何に取り組むべきか。課題解決よりももっと大切なのは課題設定力。人口減少対策(→ 無意味。人口減少を前提に社会の組み立てを考えるべき)、物価高対策(→ 費用をかけず公正かつ即効性がある方法を避けている。海外の大半の国がコロナ下で実行した消費税率を下げるもしくは撤廃)、ガソリン代の高騰(税率を下げれば補助金は不要)、財源の確保(いまもっとも好調とされる大企業の法人税率を+10%するだけで良い。かつて日本企業が好調の際は法人税率はそれ以上に高かったはず。なのにお金のないところからインボイスなどで取っても全国至るところで悲鳴が上がるばかり。法人税率を上げることは経団連が率先垂範せよ。その財源で消費税率を下げられると内需が拡大して消費が増え、家計も可処分所得が増えるが結果として企業も潤う。これがボトムアップ方式の利益のおこぼれ、アベノミクスと逆ね)。根源のエンジン(動機)を動かさず結果だけをつじつま合わせする政策しかやらないから投下した税金が無駄になり経済はますます悪化する。物価高の本質は円安なのだから円高に誘導するだけで良い。海外へ生産拠点を移転した日本の企業にとってはそのほうが有利なはず。もともとが安い日本企業の付加価値なので円高でも影響は受けがたい。円高で株価が下がっても一時の現象で経済の実質がついてくると株価は再び上がるようになる。どこも頼りない政党ばかりだけど、いまの政策を続ける自公と弱者の敵維新だけには入れないようにしよう。いっそすべての政党を解体するか、すべての政党で連立を組んだら? 国存続の危機だよ。
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posted by 平井 吉信 at 23:30| Comment(0) | 気象・天候

2023年09月25日

9月24日朝のおもしろい雲 ベランダで1日過せそうな気分


春は足下ばかりを見て歩いている(すみれ)。夏は波を見たり渓流や河畔林で読書をしながらうとうと。秋は空を見上げる。夏の雲も好きだけど秋の空もいい。

この日の朝に現れた雲だけ見ていても飽きない。それもたった数分の間。

まずは、このU字型の雲(8時5分)。おそらくは馬蹄渦という。背後に見えているのは高度10kmぐらいにある巻雲(すじ雲)だけど、写野にはないが、巻雲の下層に積雲(わた雲)があって、その一部が渦巻きの気流でちぎれて漂っている雲ではないかと思う。速い速度で移動してあっという間に見えなくなった。珍しいそうだが、たまたま見上げたら飛んでいた(レンズはすべてトリミングもレタッチもなし。XF60mmF2.4 R)。
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次は、房状巻積雲に隙間ができて空が見える(8時19分)。大魔神が通った海のようだね。飛行機が巻雲を突っ切ったことがきっかけとなったのではないかと。絵としては右半分に2羽のトンビが飛んでいること、左にやや灰色を帯びた積雲(わた雲)が浮かんでいるところがおもしろい(XF60mmF2.4)。
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広い視野で見るとこうなる。写野の右に太陽があるので除けている(XF14mmF2.8 )。
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火の鳥が2羽飛んでいるように見える巻積雲(8時20分)(XF35mmF1.4 )
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巻積雲(うろこ雲)(8時36分)。巻雲に次いで高い場所にある。この雲は波状雲となっている(XF60mmF2.4)。短時間にさまざまな雲が現れて飽きないね。
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その一部の太陽に近いところが彩雲となっている(8時40分)。黒いのは自分の手。こうやって太陽を隠して(疑似日食)撮影しないとレンズ接合面やセンサーが焼けてしまうからね(XF60mmF2.4 )。
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巻積雲の手前(下層)を脱兎のごとく走り去る灰色の雲(8時42分)。数分で消えてしまった(XF60mmF2.4)
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その一部が徐々に蒸散しつつある様子(8時38分)。穴が空いて人の顔のようにも見える。「なんだ、これは!」と岡本太郎が喜びそうだ(XF14mmF2.8 )
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波状巻積雲雲(8時40分)がちぎれて右へ行くほど大きくなっているけど、これは見かけ上の理由でほんとうはほぼ等間隔、同じ大きさなんだろうね(XF14mmF2.8)
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巻積雲の一部が下に向かって垂れている。これは乳房雲という解釈で良いでしょうか?(XF60mmF2.4)
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房状の巻積雲(9時24分)。秋の雲というわけではないけれど秋を感じる(XF60mmF2.4)
朝だから夏の名残のような積乱雲(入道雲)やら雄大雲は出ていない。
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雲というより水蒸気のムラといいたいようなはかなげな雲も好き
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すみれ(山野草)を見ているだけで数時間過せそう。
波を見ているだけで半日過せそう。
雲を見ているだけで一日過せそう。
人生は決して長くないのに困ったものだ。

追記
気象予報士の方、素人の雲観察ですので正しい解釈があればご教示を。
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2023年09月22日

今週のらんまんから〜ムラサキカタバミ〜


今週のらんまん、ムラサキカタバミですか?外来種ですよ。
雑草のごとくたくましく、どこにでも生えちゅう。関東大震災からの復興の象徴として、自身の植物学者の再出発として描かれているのだろう。

実際は牧野家はさほど震災の被害はなかったらしいが、火事の延焼を嫌って当時は農村であった(そしていまもその面影がある)練馬へと引っ越すことになったらしい。そしてこれが夫婦にとって生涯最後の引っ越しとなる。

ムラサキカタバミはどこでも咲いている。花の時季も長く年中どこかで見かける。道ばたで、野山で、土手で、公園で、海沿いの散策路などで咲いていると、ついレンズを向けてしまう。

このたくましさ、どこにでもある存在感、かれんで華もあるけれど媚びていない。野放図の強さとともに復興の象徴として充てられたんだろう。ある意味では寿衛さんのようでもある。

自宅の庭だけで撮ったものを適当に並べてみた。
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タグ:らんまん
posted by 平井 吉信 at 20:55| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月17日

避暑地の選択 南四国なら 川


温暖化で猛暑は通常となる日本列島で暑いときに行きたい場面として、高原、山寺、海、祭りなどを見てきたが、水辺が良いとして、選択肢の最後に出てくるのは川。それも南四国ならではの当然の結論かも。ということで日和佐川。説明なしでその場にいると思って麦茶を飲みながら見ていただくのがよいかも。

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2人のお母さん(?)が4人の子どもを連れての水遊び。この流れを見ると危ないところはどこにもない。上流部は深くなっているが、複雑な流れはなく例え流されても下流では足が付く。小さいライフジャケットを着ているが、この流れなら十分。管理された安全な状況で経験を積まないと、大人になって川に入って溺れてしまう。水質は二重丸で河畔林に包まれた静寂、木陰もある。理想的な状況ですね。
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森に包まれた平坦な流れ。河畔林の影が水底を透き通らせる。
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道路から離れた河畔林に包まれた静かな場所。右岸は山の裾野となって川が洗い、小さな滝が流れ込む。少々どきどきしながら飛び込める冒険用の大岩があって絵巻物のような風景(飛び込むのはここから見えない向こう側)。観光地ではないので観光パンフレットにも載っていない。南四国の川ならでは。
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上流から蛇行した流れに河畔林が影をつくる水底は静寂に見えてしずしずと水を下流に押し出す。涼感これに極まる
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単に涼しい、水が汚れていないなどの理由だけでなく、南四国の川には物語がある。ナラティブを重視する人は「四国の川と生きる」をどうぞ。
タグ:日和佐川
posted by 平井 吉信 at 15:54| Comment(0) | 山、川、海、山野草

渚と読書


ヒトは暑いときは海へ行きたがる、といいつつ本人は海へ出かける。

波を眺めていると飽きない。ときおりはKindleで本を読む。
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集中が途切れたら波を眺める。また本を読む。
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その合間に茶を飲む。これで半日が過ぎていければいいのでは
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(フジX-T5+XF60mmF2.4 R)
posted by 平井 吉信 at 12:58| Comment(0) | 山、川、海、山野草

深い杉木立に包まれた第20番札所 鶴林寺


ヒトは夏に海へ行きたがるが、実は山間部の寺が涼しい。
水の流れる沢は風のとおりみち。杉木立をすり抜けるとフィトンチッドも加わって涼風清清となる。

四国巡礼第20番札所の鶴林寺は、標高5百メートル前後の尾根筋にあり、北面の勝浦川からも南面の那賀川訪問からも上がっていける。通常は巡礼の順路で勝浦川から上がって那賀川筋へ抜けていく(次は第21番太龍寺である)。歩き遍路にとって杉木立の遍路道は人生最良の場面のひとつとなるのではないか(遍路道お楽しみのため写真は掲載しない)。徳島方面から車で来られるのなら、勝浦方面からが距離は短いが、狭い山道のアプローチは長い。逆に距離はやや長くなるが、狭い山道が短めで交通量も少なく道幅も広い那賀川方面から上がるとよい。

杉木立が印象的
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山門を抜けての参道にも杉木立、ここも涼風清清
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苔むした庭園のような場所
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菩薩、明王、大師の姿を拝観しながら進む
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石段を上がりきると本堂、右手に三重塔
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三重塔は近年再建された
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彫刻の細部
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苔庭の落ち葉と小さなキノコ 生きとし生けるものを象徴する
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暑さとコロナを避けて境内に響く読経が風に乗って下界へ運ばれていくようだ
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追記 遍路へ行かない理由

A
四国が好き
四国に住んでいる
実家は真言宗
空海のファン
禅宗の本を読む
読経が得意 親族の法要も担う
歩くのが好き
神社仏閣に興味がある
民俗学に関心が深い

それなのに、四国巡礼(八十八ヶ所)に興味がないのはどうしてだろう?

B
悩みはあっても 悩む暇はない
やらなければならないことが多い&ほかにやりたいことが多い

AとBを掛け合わせると
スローライフ志向ではなく、巡礼の動機が見当たらない。
ということで、遍路はしないということになる。

posted by 平井 吉信 at 12:51| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年09月16日

大河が蕩蕩と押し流す鎮め(吉野川 川島町) 


時刻は18時5分、香川県への出張の帰りで吉野川河畔に車を停めた。
夕暮れの水辺は静けさのなかに無数の営みが埋め込まれた、ひそやかな饒舌といえるかも。
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大河のみなぎる水が太陽が沈む時刻におりものを押し流すごとく。
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太陽と反対側、川島潜水橋を見れば青に沈む
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そこには感情はないはずなのに、感傷が入り込んでくる。蕩蕩と流れる水はしずしずと隙間を広げる。それが水のいのちと。
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(フジX-T5+XF60mmF2.4、24MPセンサー、26MPセンサーなど前世代のセンサー+画像エンジンとは根源の写りが違う。比べなくてもわかるほど)
タグ:吉野川
posted by 平井 吉信 at 21:15| Comment(0) | 山、川、海、山野草