2023年05月28日

夕方は植物を妖しく魅せる(とくしま植物園)


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(フジX-T30+XF35mmF1.4 R)(標準レンズのみで撮影)
posted by 平井 吉信 at 17:49| Comment(0) | 山、川、海、山野草

緑萌える 拾い集めた


前項(「自然の音を部屋に流してみるなら…)」からの流れの続きの話題。
身近な場所や場面をそのまま写真に撮るとして、テーマは新緑としよう。
これみよがしの絶景を、深海のような濃い青空、蛍光緑の森や山、エメラルドグリーンの海や川、極彩色の果実などの添え物…。はあ、少々目が痛いというか疲れます。

だから萌える新緑を見飽きないように集めてみました。
といっても表現のための写真ではなく、心を動かされた場面そのものといった感じで。

日和佐川沿いの河畔にて
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曇り気味のやわらかな光の新緑として

出島野鳥園にて
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勝浦川上流と旭川(上勝町内) 月ケ谷温泉周辺
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六郎山周辺(佐那河内村)
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posted by 平井 吉信 at 17:22| Comment(0) | 山、川、海、山野草

自然の音を部屋に流してみるなら アンビエント系なら このCDがおすすめ


環境音、アンビエント系のCDをいくつか聴いている。自然音に持続的な楽器を重ねたりギター、ピアノなどを被せたりしているのだけれど、メロディー要素が強すぎて(さも癒やして差し上げます)飽きるというより初手で視聴を停めてしまう(購入前の試し聴き)。

なかなか手持ちのものより気に入るものがないので、改めて紹介すると、まずはブライアン・イーノのこの1枚。何枚か出ているけれど、ぼくはこれだけあればよし。
Ambient 2: Plateaux of Mirror 

1曲目「First Light」」は宇宙空間を漂う飛行船から宇宙を眺めているような気分になる。音楽というより星々が共鳴しているような自然さがある(何度もいうけど、「うっとりするメロディーの弊害がない」)。それは人間社会の「癒やしいいね!」を押しつけられているような気分。名前は出さないけれど、アマゾンで人気の作曲演奏家もその傾向がある方たちが多い。
5曲目「An Arc Of Doves」では細胞がふつふつとほぐされながら湧き上がるような静かな快感がある。個々の楽曲というよりはアルバム全体が何度か繰り返し流していて違和感がない。音楽の存在を消しながら空間をつくるという意味で究極のアンビエントである。



「癒やし系の音楽」よりは自然音のほうが好きな方には、デラというレーベルが「ネイチャーサウンドギャラリー」と銘打って発売しているシリーズがある。そのなかでおすすめの2枚はこちら。

「せせらぎ」https://www.della.co.jp/collections/naturesoundgallery/products/dlns-112

軽井沢や屋久島などの渓流の録音だが、オンマイク(音源に接近しすぎた場合の直接音中心の響き=生々しさを強調)すぎないので、長時間浸れるもの。各音源が揃っていて連続して浸れる。




「高原の朝」https://www.della.co.jp/collections/naturesoundgallery/products/dlns-202
早朝に目覚めたときに、小さな音で部屋で流すと気持ちいいよ。主に野鳥の声なんだけど、音と音の間に隙間があるのが良い。波音だといつも波が音空間を満たしているけれど、これはそうではないので耳にやさしい。すがすがしさでは最右翼。



この2枚の録音とも空間が再現されるような優秀録音。ぼくは室内だけでなく車を運転するときもCDから抽出したデータを聴いている。日頃の喧噪を打ち消す別世界の波という感じ。

2022年7月に屋久島での自然音の新譜が発売された。販売形態はCDはなくデータ購入と配信のみである。
屋久島〜Deep Forest/ネイチャー・サウンド・ギャラリー(自然音)
https://www.della.co.jp/collections/naturesoundgallery/products/dlns-214

こちらは耳を澄ましてどんな場面かを想像する愉しさがある。
屋久島の森を目を閉じて疑似体験する心地がする。
「森に響く野生の声〜屋久島・西部林道」に続いて、雨の音を収録した「森に降る雨〜屋久島・安房林道」もあるが、これも意外に良い感じ。定番のせせらぎの後、「巨樹を仰いで〜屋久島・紀元杉」では風に揺れる木々の音と野鳥のさえずりが臨場感。最後の「山から大海を見下ろす〜屋久島・一湊矢筈岳」は海に面した山中から聞く潮騒だろうか。
「ただいま」のみを見つめること、それは瞑想や座禅の精神にもつながる。

購入するのなら直売サイトでも良いが、ダウンロード形式を選べるOTOTOYがおすすめ。
(Amazonの配信はMP3なので音質が落ちる)
データ形式は「wav」を選べば圧縮されていない音源となる。金額は非圧縮のwavもその他の圧縮形式も同じ(1,222円)。ただし自分の機器や端末で再生できるデータ形式かどうかを確認したうえで。
https://ototoy.jp/_/default/p/1330470

さらに音の良いハイレゾもあるが再生機器が対応しているかどうかを調べてから。
https://ototoy.jp/_/default/p/1330468

屋久島には続編「屋久島〜Water」があり、こちらも愉しめる。
https://ototoy.jp/_/default/p/1296866

なかでも2曲め「ウィルソン株の泉」では株の内部で硬質の残響が耳に残る。また、6曲めの「澄明の泉〜屋久島・大株歩道」はやさしいヤ行の響きの水音に溶けていくようだ。

「屋久島〜Deep Forest」の1曲目「森に響く野生の声」、「屋久島〜Water」の前述の2場面は印象に残る。


posted by 平井 吉信 at 17:00| Comment(0) | 音楽

徳島県最南端の竹ヶ島 巨岩が点在し竹林がその名の由来となった島を歩く


竹ヶ島については、語れるほど多くは訪問していないが見るべきものは多い島と思っている。港のすぐ傍らは環境省指定の海中公園となっていて海中観光船(ブルーマリン)で見たことがある。水深3メートルぐらいの浅い海域で陸からも近い海底を船底から見られる。そこには20種類の珊瑚、そこに生息するグレ、アイゴ、イサキに加えて熱帯魚が見られる。

島は遠洋漁業(マグロ)の基地でもある。そのため、島の飲食店で提供されるまぐろ丼を愉しみに来島される人もいる(水揚げがあったときのみ営業らしい)。島といっても橋でつながっているので徒歩でも車でも渡ることができる。

島と宍喰を結ぶ水道の北側ではサーフィンをする人もいる。シーカヤックやシュノーケリングなどマリンスポーツならなんでもという印象である。ウィキペディア(Wikipedia)に島の航空写真がある。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f1/Port_of_Kannoura_and_Takegashima_Island_Aerial_photograph.1975.jpg

Google地図で見たい人はこちら
https://www.google.com/maps/@33.5482336,134.3142405,3388m/data=!3m1!1e3?entry=ttu

これで見ても風光明媚なたたずまいがわかる。観光施設もあるのに観光地ずれしていないのが魅力である。

竹ヶ島の港から裏手に反対側の渚に出られる。かつてここにブランコがあったと記憶している。渚を見ながら波のゆりかごに揺られる心地がして気持ち良い時間の過ごし方である。
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ここから島の北半分を1周する遊歩道がある。時計回りに廻るとしてところどころに分岐があるが、どこを行っても迷うようなことはない。大きな島ではないし、97メートルの最高点を過ぎて南端にある灯台へと向かう踏み跡がある(時計の文字盤になぞらえると6時の方向)。

時計回りに進んで7時の方向で海(ビシャゴ磯)へと下りる小径がある。足下に気を付けていけば危ないことはない。渚から再び戻ると9時を過ぎて再び集落のある港へと戻ってくる。この港の最深部には竹ヶ島神社がある。

分岐するみちはショートカットするコースと思われる。また、外縁部の海沿いをたどる分岐が3時ぐらいにある。

竹ヶ島は地形的にもめずらしいようで、竹ヶ島を解説しているサイトがある。これを見ると、大岩や竹林の魅力について触れられている。地元ご出身の方がつくられたのかもしれないが、理念を持って非営利で運営されており、室戸阿南海岸の地勢について触れたコンテンツでもっとも価値あるもののひとつではないか。
竹ヶ島公式サイト https://www.takegashima.com/

集落の手前に車を停められそうな場所があるのでそこから漁港を見ながら歩く。
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まずは港の奥にある竹ヶ島神社へ
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階段も植生と相まって趣がある 
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神社からいったん下りて集落を抜けて裏の渚へと向かう。ここから時計回りに島をめぐる散策路(四国のみち)がある。
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道中で初めてムサシアブミを見る人はその異様さに驚くだろう
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シハイスミレが咲く頃はかれんな道草を
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四国のみちから分岐があるので竹ヶ島公式サイトの地図をご参考に
(竹ヶ島の散策図はこれが唯一の貴重な資料。関係者の熱意に頭が下がります)

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ほどなく97.6メートルの展望台へ。ここが竹ヶ島の最高点。休憩所が設けられており、宍喰本土からは見えない島の東側の海崖が望める
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足下のかれんなシハイスミレ。同じ目線で語り掛ける
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展望台を過ぎると、灯台方面へ向かう下る(のちに上り)南下ルートが見えてくる。右手には名前の由来となった島で唯一の竹林が見える
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このルートは途中から草木(シダ類)が繁茂しており、マダニの洗礼を受けることが確実である。灯台まで行くのならビニールやポリエステル系の滑る素材の上下とマダニの侵入を防ぐ工夫、ティート系の忌避剤は必須の装備(四国のみちだけなら不要。ただし腰を下ろしたときにマダニが近寄ってくる可能性はある)
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さらに遊歩道を進む。自然林と海からの風を感じる心地よい回廊
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島の東側の渚(ビシャゴ磯)へ下りる散策路がある。四国のみちと違って野性的。足下に注意しながら下る。
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竹林の向こうに竹ヶ島の西南の小島(二子島、葛島)が見える
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磯へ下りる小径は竹林の下部を横切る。ここに棚田状の階段地形がある。ここに段々畑/棚田をつくったとは考えにくいが、島に3つぐらいしかない沢筋(集水域)であるので何らかの利水治水目的があったのかもしれない
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竹林に近寄って撮影
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照葉樹林をくぐり抜けてビシャゴ磯にたどりつく
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渚の突端に人の顔のような岩がある。その先遠くに見えるのは甲浦大橋
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四国のみちに戻ってほどなく港に帰着。竹ヶ島神社に拝礼して島をあとにする
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追記
なぜ、離れ小島の竹ヶ島に竹が自生しているかについて、公式サイトでも問題提起を行っている。また、竹林の上部が裸地化している原因もわかった(竹林保護ために杉の植林を伐採)。

運営者が「竹ヶ島の七不思議」で触れられている七段のテラスの存在について、当ブログでも県南部の人里離れた渚に存在する事例(徳島市越ヶ浜、美波町木岐地区)を紹介した。いずれも沢が想定される地形から一見して利水もしくは治水施設のように見えるが、それにしてもその存在理由が説明が付かないため、集落から離れた段々畑ではないかと考えている。

posted by 平井 吉信 at 13:21| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年05月24日

変ホ長調を感じる海 内妻海岸


風景が特定の音域(キー)というか和声(コード)を持つように感じられる。

原始から代わらない光と水、ただ繰り返しながらときを刻んできた。
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それが変ホ長調のような気がする。
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令和5年、2023年のこの場所と、数億年前の地球のどこかに似たような風景があっただろうな。
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サーフィンしている人と波が繰り返すと地球の歴史をバームクーヘンのように見せてくれる気がする。
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(フジX-T30+XF35mmF1.4 R、ニコンD7200+AF-S 70-200mm f/4G ED VR)
タグ:内妻海岸
posted by 平井 吉信 at 22:39| Comment(0) | 山、川、海、山野草

潮風に吹かれる 外ノ牟井浜にて


「潮風にちぎれて」という曲を聴いていると行ってみたくなる渚。
こんなに澄んだ海の色、車を停めてすぐに見られる。

ほんのときおり、風に吹かれている人がいたとしても
ほとんどは人影がない。

風に吹かれている人は特に何もしないで渚にたたずんでいる。
太陽、潮風、波間の切り口ごしに見える水晶の断面、炭酸水のような泡。

ここは外ノ牟井浜。
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posted by 平井 吉信 at 22:30| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年05月19日

らんまん もし牧野富太郎がロシアへ渡っていたら 精緻な植物画は8Kの世界でも揺るがず


ドラマは万太郎が東京大学の植物学教室のドアをノックし、小学校中退を蔑まれながらも熱意で教室への出入りを認めてもらう場面にさしかかった(その決定を行う教授には実在のモデルがある)。
22歳の牧野の才能はすでに誰もが認めるものであったのだろう。富太郎は数年後に「日本植物志図篇」の発刊を開始する。この資料は言語の記述では伝わらない情報を生態を伝える画として著したものでその精緻な技巧と観察眼は素人でも声を上げるほど。新種ヤマトグサを発見して日本人として初めて学名を付けたこと、江戸川での世界的に稀少なムジナモの発見(特に花の開花は牧野が世界初の観察となった)、郷里に近い横倉山でのコオロギランの発見などめざましいものであった。

新牧野日本植物図鑑の出版元の北隆館からは牧野の画が公開されている
コオロギラン http://www.hokuryukan-ns.co.jp/makino/coma1.php?no1=3676
ヤマトグサ http://www.hokuryukan-ns.co.jp/makino/coma1.php?no1=1813
ムジナモ http://www.hokuryukan-ns.co.jp/makino/coma1.php?no1=1513

日本は世界でも希に見る多様な生態系を持つ地区で、もし地球から日本列島がなくなれば、地球の価値は大幅に減じるのではないかと思われるほど。温帯モンスーンを中心にマグマの活動が生んだ複雑な地形と最終氷期からの移行で日本の植物相は世界でも有数の豊かな場所となっている。明治の文明開化も牧野にとって追い風となったことだろう。

横倉山は安徳天皇陵墓参考地となっている神秘の山で花崗岩質の湿潤な森である。赤道近くの珊瑚礁の大陸が移動して形成された特異な成り立ちで1,300種類の植物が自生し、この山固有の植物も少なくない。そんな場所が牧野実家から14kmの場所にあったのだ。
→ 越知町の横倉山自然の森博物館を見て横倉山を歩く

当初は熱心な若手研究者として門戸を開いた東大教授は牧野の活躍を快く思わなくなったのだろう。牧野は学生でも助手でもなく、ただ研究室に出入りを認められた市井の研究者という立場であり、標本を見せてもらうのは特別な扱いであった。けれど、そこに名声への嫉妬や学歴を持たない牧野への複雑な感情や自身の保身の意図があったことは推察できる。最高学府黎明期の進取の気風とともに象牙の塔が芽を出し始めているのが興味深い。

東大の研究室を追われた牧野はロシアへ渡ることを決意する。ロシアにはマキシモヴィッチ博士がいた。マ博士は日本でも助手を雇って(外国人が港を離れて日本の領土奥深く立ち入れない)数年に渡って日本の植物を採取するなど、日本列島の植生に注目していた。学名を付けるには標本が必要で、新種と認めた植物の学名(ラテン語)を付ける際には日本の研究者はマ博士に頼らざるを得なかった。牧野もそれまで幾度か標本の鑑定を依頼していたので、マ博士に近づくのは双方にとって利点があったに違いない。

マ博士からの返信を心待ちにしていた牧野のもとに意外な報せが届く。マ博士はインフルエンザに感染して亡くなられたというのだ。

マ博士が健在であれば、日本の植物相への研究の深化もなかったかもしれない。牧野はロシアに永住するつもりはおそらくなく、佐川と東京を行き来したように、東京とロシアを行き来する生活を想定していたのではないか。しかしほどなく牧野の実家の酒蔵は経営が立ちゆかなくなり人手に渡ることになるので渡航費用の捻出も難しくなっていただろう。

ドラマで万太郎は熱弁を振るう。植物を好きという気持ちは誰にも負けないと。学問や研究の本質を説き、アカデミズムを批判する万太郎の演説に胸のすく思いをした人もいるだろう。10代後半に郷里で自由民権運動に心酔したことも重なっていたと思われる。

牧野のロシア行きが消滅したのはマ博士の死去とともに件の東大教授の学内での失脚があったという。牧野富太郎の才能が輝いているのは熱意(80代を過ぎて毎晩2時まで標本づくりをしているというのだから)もさることながら精緻な植物画だろう。

後年の図鑑においては専門の植物絵師に描かせたのだろうが、こと生態画については余人の追随を許さない。NHKがかつてその画力の深さを8K高精細画像で解析したことがあった。
→ 8Kスーパーハイビジョン映像が捉えた牧野富太郎のすごさ

この牧野の凄さを手軽に実感できるのが高知県立牧野植物園が発刊している「牧野富太郎植物画集」だ。彼の描いた精緻な植物画をクリーンナップして(一部は原画が当時の最高級絵の具で描いた水彩あり)掲載されている。ぼくも手元に置いて眺めている。牧野図鑑とはまた違った画そのものを愉しむ意図で発刊されている。


先にご紹介した高知新聞社の「MAKINO」も地元高知の牧野好きが結集してつくられた愉しい読み物で博士のイラストも多数掲載されている。「らんまん」の放映が決まる前の2014年に発刊されたものだが、マキノ愛に溢れている。しかしそれでいて冷静な視点を外しておらず、このあたりは新聞記者ならではの客観性が活かされている。特に郷里の妻 猶さんと東京での妻 寿衛さんの二人の女性がいなければ博士の研究はなしえなかった。牧野称賛だけではない書き方も好ましい。牧野植物園のスタッフも尽力しているが、牧野が好きで好きでたまらない地元の人たちが清濁併せ持つ牧野像を記した好著。現時点では入手が困難となっているが、いずれ増刷もあるのではないかと期待している。


2023年3月になって高知県立牧野植物園から植物画集の最新版が発刊されている。こちらはまだ購入していないが期待できるのではと。
牧野富太郎の植物図鑑」(高知県立牧野植物園 監修)




posted by 平井 吉信 at 12:11| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2023年05月07日

連休が終わってコロナがどうなったか?


COVID-19が日常に戻った。言い換えれば、毎日全国で1万人程度が感染して死者が数十人出るのが常態化した(日常になった)ということ。コロナ禍が収斂して(終息ではない)これ以上は感染者が減らないところまで来たということ。

過去のブログで何度も書いているけれど、人類がマスクをはずす生活はおそらくやってこない。もはやマスクは服を着るのと同様、人混みでは日常の風景(必需品)になったことを意味する。(人の少ない野外を除いて)個人の判断で外すことは、自分もしくは家族(高齢者)、もしくは他人の誰かを危険な目に合わせる怖れがあること。

コロナに感染したので免疫ができたという人がいるが、何度も感染する人も少なくない。ウイルスも変異しているし、マムシ毒やデング熱のように2回目以降で重症化する怖れもあり得る。免疫系がウイルスに過剰反応を起こす可能性があるということ。

しかもコロナに関しては、全体のマクロ統計と個人の反応が一致するとは限らない。ワクチンが安全かどうかはその人次第、感染しやすいかしにくいかもその人次第。コロナのmRNAワクチンが100%安全と主張する専門家は一人もいないはず。急性の症状を引き起こすアナフィラキシーショック(アドレナリン注射で改善)と時間を経て体調不良(数ヶ月に及ぶワクチン後遺症)を引き起こす2つのリスクがある。

ワクチン接種は個人の判断ということは仕方ないとして、感染の経路がわかっているのだから個人でできる対策は万全に行っておくべき。それらは感染の苦しみと比べれば苦痛も不便も伴わないのだから。正しいマスクの装着と要所要所での鼻うがい、手指消毒もしくは手を洗うまでは顔に触れないことを心がけるだけでリスクを減らすことはできる。

温暖化と熱帯雨林の開発、それに人々の移動を止めることができない現在、日本など温帯モンスーンの国での熱帯の風土病の発生、鳥インフルエンザが強毒化とともにヒトに感染する変異株への恐怖など、私たちの生活はコロナ以外にも幾重にも感染症のリスクのなかで生きているという自覚が必要である。
posted by 平井 吉信 at 17:35| Comment(0) | 防災・感染症・サイバー攻撃対策

これはなんと! 四万十ぶしゅかん アイスキャンデー(久保田食品)― 作り手の執念と余裕を感じる仕上がり 


久保田食品(株)は高知県南国市にあるアイスキャンデーの製造会社である。高知県や四国内の消費者にはアイスクリンなどでもおなじみの会社で、とても質の高い氷菓を提供している。

ぶしゅかんとは、高知県四万十市(中村)の香酸柑橘。特産品になったのは近年で、それまでは地元で当たり前に採れて当たり前に消費されていた。農薬を使わずとも百年程度は実をなり続けるという。

公式Twitter記事
https://twitter.com/kubotaice/status/1518411839436050432

四万十ぶしゅかん株式会社
https://shimanto-bushukan.jp/

高知県四万十の禁断の果実
https://www.shakaika.jp/blog/20496/shimanto_busyukan/

【PV】四万十ぶしゅかんの歌 -禁断の果実-
https://www.youtube.com/watch?v=M_cZZFLUo_c&t=1s
(知っている人は出演していなかったが、場所はすべてわかる)

中村の居酒屋では定番となっているぶしゅかん。カツオのさしみやタタキ、メジカ(ソウダガツオ)のさしみなど赤身魚に抜群だが、ビールに飽きて注文するぶしゅかんの酎ハイ(ぶ酎ハイ)がこれまたえい。この世でもっとも「さわやか」な飲み物(おっと、断定している)。ぐいぐい飲みたくなるし、それでいて舌のリフレッシュ効果があるのか箸を止めない飲み物である。

中村では天神橋のなかひら、喜八、栄町の千里、大橋通のたにぐち、やじろ兵衛などで飲んだ記憶がある(料理のおいしさとぼったくりのない安心感と手頃な価格では全国で中村の居酒屋が総合で一番じゃないろうか。みんな市役所に車を停めてのみよる。市も開放しちょるし、市の職員もまちなかに出あるく。おおらかでえい。むろん帰りは代行)。

その風味はどう形容すればよいか? ユズと違って料理を邪魔しない(さしみにユズは想像したくない)。すだちと違って、えぐみが少なく、果汁も多い。ゆこうと似ているかというと、ゆこうから旨味やまろやかさを減じてライムのような透明感。それでいて全体の雰囲気はやさしい。

栽培に手間いらずといわれる四万十ぶしゅかんが、なぜか中村でないと育たないという。その理由を推測するに、四万十川が江川崎からくるりと向きを変えるが、この四万十川と支流の広見川にあるのではないか。

四万十市江川崎は多治見市と並んで最高気温を誇る盆地である。豊後水道を抜けた季節風が愛媛県三間地区から広見川を抜けて四万十川との合流点の江川崎に達する。そこからさらに中村まで狭い川筋を北北西の風が一直線に走り抜けて中村に入って平野部となる。中村は高知県西南部でありながら冬は雪が多く寒いといわれるが、それと海からの暖かい風が出会うことによって霧や夜露をもたらす。しかしもともとは温暖多雨の地域である。これらの条件が複合的に重なって四万十ぶしゅかんがこの地でしか育たないのかもしれない。

地域性を持つ香酸柑橘としては、四万十ぶしゅかん、上勝ゆこう、北山村じゃばらが三大産地と思っているが、そのなかでも人為的でない地域性では四万十ぶしゅかんが際立っている。

前置きが長くなりました(このブログの名物?というか特徴)。
久保田の四万十ぶしゅかんキャンデーのできばえを書きたい(写真は撮ってないがよ。溶けるじゃろ。下の会社公式で画像を見てね)。
https://kubotaice-shop.jp/item-detail/1116691

アマゾンでもうっちょる
https://amzn.to/42ffBjk

原材料を見たら、どこまでも四万十ぶしゅかんを信じて心酔しちょるね。

原材料名:ぶしゅかん果汁(ぶしゅかん=高知県産)、砂糖、水あめ

ぼくは湯船に浸かりながら食べたけんど、香りと果汁の豊麗な酸味に打ちのめされたがよ。夢中に冷たい氷をかじる。あふれる香酸柑橘の酸と蜜をなめる蟻の気分なが。
(近所のスーパーにうっちょってよかった)

久保田食品からも四万十ぶしゅかんかも宣伝費はもろとらんけど書かずにはおられんがよ。ざまにえいけん。

追記
牧野富太郎もぶしゅかんの画を残している。
https://www.museum.or.jp/event/70200

牧野博士をイメージしたご当地ジン(マキノジン)でもぶしゅかんが使われている。
https://www.makinogin.com/
https://www.drinkplanet.jp/bartenders/view/183
posted by 平井 吉信 at 12:15| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2023年05月03日

コロナにご用心ください


徳島でも連日数十名の新規感染が発生しています。人類はこの感染症を絶つことは困難ですが、政府は多少の死者は気にしないという方針です。自己責任で身を守れということなのですが、以下の対策をやっておけば感染する危険度は下がるはずです。

・マスクは時と場合に応じて使い分ける。ほとんど人と接しない野外ではマスクなしで。ただし花粉やPM2.5を考えればマスクははずさないのも手。
・鉄道、バスなどの公共交通機関ではサージカルマスク1枚もしくは通常の不織布マスク二重で対応。隙間をなくして装着してください。
・人混み(SC)、イベント、外食はなるべく避ける。もしどうしても行くのならサージカルマスクもしくは通常マスクの2枚重ね(イベント等)。外食の場合はCO2センサーの設置している店で表示濃度が700ppm未満の店を選んで会話なしの極力短時間の利用で。

(参考1 第1種換気もしくは全熱交換器)
飲食店で第1種換気(機械吸気と機械排気)もしくはロスナイなどの全熱交換型の換気システムを設置すれば空気感染のリスクを低減することができます。
その際は空調の専門業者に依頼してください。目安となる1人50立米/時間あたりの換気を確保する風量計算、部屋の構造から吸気と排気の位置決めの最適化(線香を用いて検討)、吸気及び排気ダクトの風圧を揃えるなど専門的なノウハウが必要となります。
前述の条件が整えば最大想定人数が入店してもCO2濃度は700ppm未満に収まるはずです。吸気がなくて換気扇だけ付けている店は室内が陰圧となっており実際はほとんど換気はできていません(換気扇が騒音となっているだけ)。 換気ができている店内では、コロナが収束しても快適な店内環境を提供できることは強みとなります。

(参考2 空気清浄器で換気を補完)
さらに空気の淀む場所(ボックス席や部屋の隅など)にHEPAフィルターを備えた空気清浄器を設置して補完します。飲食店などではフィルターの手入れが行き届かないことが多いため、機種の選定がカギとなります。
ここでも風量は重要な要素です。かつて良質のモーターを備えて大風量で静かな運転が可能だった三菱製の空気清浄器は市場から姿を消しています。我が家では20年程度(24時間×365日)通電している三菱製が数台ありますが、異常なく動いています。
シャープのプラズマクラスター、ダイキンのストリーマー付の空気清浄器には人体に有害なオゾンの発生が懸念されます(メーカーも少量は発生すると告知している。しかし少量であっても密閉した室内では一部にオゾンが溜まっていくことが懸念される)。飲食店など客が入れ替わり立ち替わりなら問題ないでしょうが、寝室や居間で使うにはイオン(オゾン)発生装置を切って使うか、最初から付いていない機種を選びましょう。
また、加湿器との併合型は手間の掛る清掃が増えるので避けたほうが賢明。さらに煙の出る店内ではフィルター寿命は著しく短くなることに注意が必要です(10年→数ヶ月など)。もともとのフィルター寿命の長さをうたうのであれば集塵能力が低いことの裏返しともいえます。
前述の三菱は大型のHEPAフィルターで濾過する機能に特化して基本性能の高さと人体への安全性の高さで良いのですが、現行機種はなくなっています。ただし三菱は空気の汚れ(アルコールには敏感ですが、ホコリには反応しにくい)を感知するセンサー機能は他社と比べて弱いようです。
三菱が入手できないのでコロナ下で追加したのはダイキン。こちらはセンサーが敏感すぎて絶えず空気の汚れや匂いを検知(誤検知?)してうなりを挙げている。それと比べると三菱は「イツモシズカにマワッテイル」です。
そんななかでこれまでこの分野にあまり進出していなかった象印の空気清浄器に注目しています。オゾン発生装置や加湿機能なし、集塵と拡散に優れたファンを備えた静かなモーターと基本性能の高さとその割に価格は3万円台の前半と抑えられています。フィルターはHEPAではないがそれに準じる性能を持っているようです。→ PU-AA50。本機には日本電産と共同開発した静音モーター、東レの「高性能静電メルトブロー不織布トレミクロン」を採用した「大面積マルチフィルター」搭載、広い展開面積と4面集塵による多くの空気を集めて新開発ファンで効果的に拡散させるなど本質的なところに力を入れた廉価な製品ということで注目されます。
21世紀の日本の家電が衰退したのは本質的な価値に目を向けず、どうでもいいスペック競争やらスマートフォンとの連携など実際には使えない付加機能に力を入れてしまったことです。かつてサンヨーの鳥取工場には寝ても覚めても炊飯器を研究した米博士と呼ばれる社員がいました。同社の炊飯器やパン焼き機などの開発に活かされていてうちにも何台もあります。しかし21世紀になって社員がサラリーマン化したのがもっとも大きな要因で、それは会社が保守的になって冒険しなくなったことが根源にあります。
だから横並びの製品しか出てこず、それもモデルチェンジをするたびに機能退化とコストダウンを繰り返すので家電については状態の良い中古を探すしかないと考える人も少なくありません。アイリスオーヤマ(メカの耐久性に問題あり)、バルミューダ(デザイン先行でスターバックスでiPhoneをいじっているような顧客には受けるが、過去に発火や漏電の怖れありでリコールが多発。こんなメーカーは怖くて通電できないし、そうでなくても家電の本質を知る使い手から見れば疑問多し)などの新興メーカーもいまひとつ。

(参考3 鼻うがいは万能すばらしい)
外出から帰った際は鼻うがいを。どこのドラッグストアにも置いてある小林製薬の鼻うがいがおすすめ。ただし買うなら「ハナノアb シャワータイプ」に限ります。
https://www.kobayashi.co.jp/seihin/hna_s/
専用液がなくなっても購入の必要はなく、ぬるま湯に塩を少量入れてかき混ぜたものを使います。付属液よりさらにやさしい感じです。使用後は鼻と喉の間の空間が洗い流される(コロナウイルスはここで増殖)のでダイレクトな安心感があります。洗い流された液は片方の鼻から(一部は喉へ下りてきますが飲み込む心配はありません)出てきます。鼻が止まらない花粉症の家人はこれでぴたりと止まるのでコロナ対策というよりは花粉症対策として使っています。鼻が通る気持ちよさはかけがえのないもの。いまでは家族全員が自分専用のボトルを持って使っています。

コロナが収まることはないと考えているのは根源の原因がなくならないから。人が熱帯雨林に進出しそこで人や家畜が感染して移動する限り、第二第三のコロナや風土病の拡散は止まらないでしょう。ある意味では人間が人間として暮らしている限り、コロナとは縁が切れないということです。このまま行くと夏頃には大流行で外出禁止の措置も考えられるのでマスクは1人200枚は最低として備蓄を行っておこう。

従業員にマスクを外させる企業や店には行かない。人のいのちをどう考えるか、ひるがえっては人の幸福をどう実現したいのかが透けてみるから。
一休さん(一休禅師)は正月にどくろを掲げて人々に用心を説いて廻ったという。国には国民を守る意志がないので自分の身(店)は自分で守らなければ。

posted by 平井 吉信 at 15:03| Comment(0) | 防災・感染症・サイバー攻撃対策