2022年08月06日

木陰というコーヒー(豆)


豆を取り寄せて手動のミルで引いて毎日コーヒーを飲んでいる。
1日1杯飲めば満足するのでカフェイン中毒でもコーヒー通でもないけれど
飲みたいコーヒーにはなかなかめぐりあわなかった。
(カフェインは苦手で空腹時は決して飲まない)

コーヒーといえば、がっつりと濃い深煎りコーヒーを飲むのが徳島の通という感じであったが、ぼくはこの人たちが好むそれが焙煎で焦げているだけのように思えて苦手だった。
誰かに阿南市内で焙煎したコーヒー豆をもらったのだが、まさにその状況で、飲むと健康を害するのではと思えるほど(コーヒー通でもないぼくでも身体が受け付けられない)だった。

いつも飲んでいるのは千葉市の小さな焙煎所から取り寄せた豆。東京から徳島に移住してこられた方に紹介いただいたもので、金額は手頃で200グラムで1000円前後のスペシャルティにしては手頃。

その焙煎所も店主は60代になられ、後継者もできていまがもっとも良い仕事をされているのではと感じる。徳島でも若手が浅煎りのコーヒーをめざしてここ数年開店されているが、グレード感は似て非なるもの。まだまだ技術も研究も足りていないように思うが、コーヒーの価格はもしかして彼らの値付けが高いのではとも思える。

いま飲んでいるのは「木陰」と銘打たれたオリジナルブレンドで、
ここ数年で(というか今年に入って)さらに焙煎のステージが上がっているように感じられた。

コーヒーのおいしさをぎりぎりまで攻めて抽出するのではなく、まさに大吟醸のようなゆとりを持って風味をつくっている。親族が遊びに来たら出すのだが、「なにこれ。身体に吸い込まれていく」という。雑味やえぐみが抜けて純度の上がったコーヒーはとげがなく、舌をなめらかに滑っていく。一口飲んで水を喉に入れるような飲み方は必要なく、コップを置いたと思ったその手がまた伸びていく。待ち遠しさを感じるほどで、しかも飽きることのないおいしさ。

入れ方は高い温度(95度)、蒸らしなし。ペーパーによる手落としで例のV60ドリッパーを使う。手動ミルは以下がおすすめ。股の間に挟めるので力が要らず豆がひける。ひとつやるべきことがあるとしたら、余った湯をミルに流して粉が刃物に残らないようにすること。酸化した豆の残渣で風味を壊さない。



定評あるV60シリーズで使っているのはこれ。冬場でもコーヒーが冷めにくい唯一の構造


ドリップポットは新潟県燕市産。高くないけれどよくできている日本の道具。


このブログをお読みの方はご存知のことだけれど、ぼくは仕事場や自分の部屋にエアコンを置いていない。執筆中のいまの気温は夕方で32度。扇風機も使っていない。残念ながら地球温暖化が進むと1990年代に見切ってからはエアコンのない状態に身体を慣らそうと少しずつエアコンを使わないようにして10年ぐらい前に取っ払った。夏の暑さを肯定的に捉えて愉しみたいので。

32度の部屋でホットコーヒーを飲むのだけれど、これが良い。冷たいと香りが鼻腔を抜けていかず残念だから。でもこのコーヒーは冷めてもおいしい。ごくごく飲めて冷めてもおいしいとは焙煎技術の深み。

そこでテーマは木陰。
仕事で鳴門市のウチノ海総合公園の近隣を訪れた際に立ち寄ったもの。しかし海沿いとはいえコンクリートの照り返しは見ているだけで暑いという人もいる。
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そこで鏡のようなウチノ海を目前に芝と樹木が織りなす空間をコーヒーのあてにしてみようかと。
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鳴門市の島嶼部は四国本土と陸続きのようにアクセスできるけれど、その立地の良さは京阪神在住者の終の棲家となり得る資格がある。食材をとっても、鳴門鯛、鳴門金時、鳴門わかめ、レンコン、梨、ドイツ風のパン(日本で第九初演の地でドイツ人の俘虜が地元の人と交流して継承したもの)と全国有数の素材が揃う。鳴門の渦潮、エクシブ鳴門、大塚国際美術館、ドイツ館といったコンテンツも一流。ただし唯一ダメなのが水でこれはまるで飲めない。瀬戸内の気候で雨が降らないから川の下流の水を浄化しているのだろう。浄水器で解決するけれど。
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posted by 平井 吉信 at 18:43| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

梅雨明けの夕空に浮かぶ陰翳ある雲


梅雨明けの夕空はかなり陰影感のある雲が部分的に現れて地球の大気のどよめきを感じる。

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(随時追加していく)
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posted by 平井 吉信 at 18:11| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2022年08月03日

海部川支流 王餘魚谷(かれいだに)の轟九十九滝


皆ノ瀬地区で海部川は国道から離れてくるりと向きが変わって西から流れるようになる。しばらく上流をめざすと王餘魚谷があり、轟の滝がある。

轟の滝からさらに上にも滝が連なり、轟九十九滝と称する。連日の猛暑で涼やかなページを、の声なきご要望に応えたい。

湿った崖にはイワタバコ
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轟の滝 見に行くときは防水の上着があればいい。途中の道は極めて滑りやすいのでご注意を。主砲たる轟の滝は天岩戸から覗く神秘を虹で見せてくれることがある
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そこからさらに上の滝を拾っていく。
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滝の最上流部に現れる社
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滝がもはや現れない源流部に来ている。ほとんどの人はここまで来ないが、ぼくはここが見たくてやってきた。王餘魚谷源流の廊下と呼んでいる。
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水の流れからみれば、これより先から滝が連続して始まるのだが、ふもとからたどる人間の視点からは滝絶えて(滝を尽くして)ミネラルの回廊が始まる。すなわち滝絶えの廊下と呼んでいる。
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その静けさ、何も語らないたたずまいの美しさは写真では伝わらない。ミネラルの回廊ゆえに。
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posted by 平井 吉信 at 23:40| Comment(0) | 山、川、海、山野草

海部川の夏 2022年 ミネラルヒーリングとタキユリの媚態


海部川沿いの国道193号線を舗装していない頃から通っている。釣りではなく見るため。時期によっては水に入り、テナガエビを取ったり、カジカの声を聴きながらキャンプしたり。

あの頃は道路も狭く、道から離れて川があったので河畔林に包まれていた。星がひとつふたつと輝き始める頃、ヒグラシを聴きながら暮れゆく水辺を感じながら焚き火を起こしていた。

良い川には良い人生がある。鹿児島に住んでいた野田知佑さんが四国に移住をお考えになっているとのことで海部川を見ていただいたことがある。結局は日和佐川の支流にお住まいになるのだが。

川でキャンプするのが初めてという仲間たちを連れて行ったときもみんな感激していた。目を閉じて聞こえるせせらぎ、カジカの声、山から聞こえるフクロウや鹿の鳴き声、夜空を彩る天の川、ときおり流れる流れ星、大きな流れ星は音(残響)がする。

焚き火を見つめながら寡黙になったり饒舌になったり。ビールやウイスキーを自分のペースで飲みながら仲間を静かに過ごす川辺で夜が更けていく。

ときどきヘッドランプを付けて川へ入ると、寝ているアユ、川底を移動していくモクズガニ、オレンジ色の目が光るテナガエビが陽炎(水流)が静まった瞬間にその姿が浮かび上がる。網を伏せて捕まえる。
冷えた身体を焚き火で温めながら何かを飲みながらうなずく。そんなときを、川の時間という。ぼくがもっとも好きな時間のひとつ。

このブログのいけないところは前置きが長すぎてみんな飽きてしまって閉じられるところ。まあ、そう言わずにもう少し見て。今度は言葉でなく写真で。

海部川下流の里山。ひまわりも咲いている。
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ひまわりはウクライナの象徴でもあるけれど、少年時代にもっとも好きな植物だった。ランニング、半ズボン、虫取り編みにひまわり。これ以上、何か必要?
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ほら、2022年の海部川も水のいのちが流れる。海部川ミネラルヒーリングと名付けて著作にも記した。
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タキユリの話、覚えていますか?
南四国の山間部の夏を彩るこのユリはカノコユリの仲間だけれど地面から自立せず、崖からぶら下げるのが特徴。



タキユリの媚態は自然界で並ぶものがない。白と桃色とオレンジをアクセントカラーにその身を投げ出す植物なんてほかにある? 
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タキユリではこの写真が好きだ。幽玄な媚態、しっとりとした浴衣のなまめかしさというか。
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(ミネラル回廊の旅は続く)



posted by 平井 吉信 at 23:10| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2022年08月01日

一目見し人の…


高気圧の頂点で気温が高かった日中の夕暮れは残照が消えゆくさまが糸を引くような夕暮れとなる。
ほのかにも空に置いた絵の具は決して消えぬ。
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今宵は三日月、一目見し人の眉引思ほゆるかも、と家持の心地する。
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糸を引いた飛行機。平穏というよりは倦怠と喧噪を織り交ぜた明日を予感させるよう。
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林間ノ怖イ夜道 遠キ夏ノ一里塚


夏休みに親戚の家へ連れて行ってもらった。大人たちは鮎釣りから戻ったあと、酒盛りを始めた。
いつも遊ぶ従兄弟は学校で行事があるとかでいなかったため、ひとりで虫捕りに出かけた。

小さな小川のほとりのクヌギの木でコクワガタ1匹、カブトムシ1匹(♂)を捕まえた。
さらに目を凝らすと甲虫の気配が感じられた。
蚊に食われたところを無意識に掻いていると血だらけになっていた。
気が付くと夕闇が迫り来る。
河童が遊ぶ刻(逢魔が時)、ランニングシャツに血が付かぬよう気を付けながら家路に付く。

小川は瀬の煌めきを残して深沈と闇に沈みつつあった。
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遠くに親戚の家らしき方向に灯火がちらほら。
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林の脇をすり抜けるところで、あの草むらから手が出てくるのではないか。
青白いキツネ火が待ち構えているのではないか。
意を決してこぶしを握りしめて足音を立てて通り抜ける。
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それから幾年月、夏の宵を深く沈めた林の小径は高速道路に変わった。
posted by 平井 吉信 at 23:18| Comment(0) | 山、川、海、山野草