阿波おどりと盆が終わってから徳島の感染症は連日過去最悪を更新し続けるなど著しく悪化している。盆前までの徳島は感染者数は全国でも低いほうから3〜4番であったが、盆後は人口10万人当たりの発生数が全国3〜5位となっているので阿波おどりが要因であると推察される。
報道写真や映像で見る限り踊り手の対策は不十分で感染は起きて当然の状況であった(現に多数の方がクラスター感染してしまった。踊り手は開催の犠牲者ともいえるが、このことは予測できたことで自らの意思で参加しなかった人も多かっただろう)。
多数のマス集団が熱気を帯びて移動すれば野外といえでも感染者のエアロゾルをマスクごしに吸引することになる。従って観客も多数感染されたことだろう。開催によって盆明け後の経済活動にも影響が出た。言葉は慎重でなければならないが、開催が誤ったメッセージを発して社会を分断してしまったともいえる。
とにかくいまは身近に感染者が多数いるのが現状。気になって電話をしてみると感染者には共通点がある。悲壮感がなく明るい声で応答される(自らを鼓舞したり心配させまいという思いもあるのだろう)。
とはいえ体調が急変するのがCOVID-19。もはや当初のSARS-CoV-2から変異が重ねられている。
専門家などの知見を合わせると感染対策(特にマスクの効能)はこんなところではないか。
・マスクは不可欠の感染予防策である。感染者とそうでない人が混ざっていても双方が不織布のマスク(できればサージカルマスク)をしていれば感染のリスクは少ない。
・ただし感染者がマスクをはずしたなら、マスクを付けた感染していない者も感染することがある。マスクは感染予防としてはもっとも有効であるけれど、感染者がつけていればウイルスの放出を防ぐ機能があること、感染者が近傍にいてエアロゾルが存在するときはマスクはリスク低減にはなるが、外からの侵入を100%防ぐことはできないということ(それでも付けておくべき)。
・マスクをはずす場面とは飲食のとき。従って感染予防の見地からは飲食は野外で行うことが望ましい。もしくは相当の換気が行われている店舗を必要短時間で利用するが、その場合でも感染者がマスクをはずして飲食する場合があるので感染のリスクは残る。
・訪問や面談では相手に飲み物を出さないのがエチケット。出されたほうも手を付けない。
・公共交通機関はなるべく避ける。感染者がマスクをはずして飲食を行う可能性がある飛行機や新幹線、特急列車など。普通列車はそれらに比べると飲食はしないうえにローカル線では特にドアが空いている時間が相対的に長くなるのでリスクは低減される。
夏場なので公共交通や自動車のエアコンの運用についてひとこと。
参考までにJR四国の特急うずしお(高松〜徳島)でのCO2センサーの測定値を掲載する。
測定器はNDIR(非分散型赤外線)型のCO2センサーでキャリブレーションを行っているもの。
測定日は2022年7月7日、車両は最新の2700系。その測定値は1000ppmを優に超えている。

(撮影時は手持ちとしているが、身体から50センチ以上離して計測している値である。この測定器は色によってモニタリングができる。青は700ppm未満、黄色は1000ppm未満。赤は1000ppm以上に設定している。コロナ下ではビル管理法の基準は安全ではないと考えている)
コロナ感染とは直接関係がないが、換気の基準とされるビル管理法での1000ppmを超えていることに留意。コロナでは世界的にどのぐらいの換気(CO2濃度)を行うべきかは定量化されていないが、さまざまな文献を当たった結果の基準値を自分なりに設定してみた。その値は最低でも1人1時間30立米の換気、できれば50立米以上を確保することが望ましいと考えている(JR特急での計測値からは1人1時間30立米未満なのは明らか。JRでは6〜8分で空気が入れ替わるとしている)。
CO2濃度は乗客数(乗車率)に比例するとして、暑い日は冷房が内気循環モード主体に運用されている可能性があると推測している。おそらくはマニュアルなどでのエアコン運用の細則はなく、現場(車掌)の判断に委ねられていると推察される。乗務員は乗客のみならず自らの感染を防ぐことにもつながるので乗車時の現場の判断として外気導入モードを基本とすることを組織内で検討してみてはどうだろう(夏場は多少暑くてもコロナ下では外気導入モードで運用すべきと思っている)。
これは自家用車のエアコンにもいえる。フルオートに設定すれば外気が暑い時期は内気循環で作動する可能性が高い。そこでフルオートは解除して(温度設定はできる)外気導入でエアコンを動かす。これによってコンプレッサーが動く時間が増加するので燃費はやや落ちるが、感染リスクを減らせるので試みる価値はあると思う。
なお、内気循環の副作用はほかにもあって内気循環で長く動かすと二酸化炭素濃度が上昇して判断が鈍りがち、ひいては居眠り運転につながる怖れがあることも指摘しておきたい。ぼくはトンネル内と極端に排気ガスを浴びる状況(整備不良のトラックの発進時など)で一時的に内気循環にするが、基本は外気導入のみとしている。
追記
CO2センサーの値は低いほど感染リスクが低くなるのは当然だが、この数値を下回ったら安全という基準は存在しない。だからといってビル管理法の基準に準拠するというのはウイルス感染に対して合理的とはいえない。従って1000ppm越が安全か危険かという議論は意味がないが、自己判断でそれぞれが自分のいのちを守るために考えて行動すればよい。
ぼくの事務所(仕事場)ではビル管理法の半分の基準500ppm未満で運用している。これは野外(410〜450)とあまり変わらない値となっている。