2022年06月04日

徳島の香酸柑橘ゆこうを使ったリキュールとチーズケーキ こころ鎮める体験


上勝町内での会議に参加した折、てみやげにいただいたのが
ゆこうのリキュール(商品名「ゆこうのお酒」)。
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これまでありそうでなかったものだが、調べてみると福島県でゆこうの酒として先行販売されていた(成分表:清酒、ユコウ果汁(徳島県産)、糖類)。
四国は徳島の山間にのみ生産される香酸柑橘をよくぞ見いだして製品化していただいたもの。

これに対して地元徳島で開発販売されたものが今回いただいたもの。
商品名「四国で一番小さな町 幻の果実 ゆこうのお酒 」(原材料:ゆこう果汁(徳島県製造)、砂糖、醸造アルコール、ゆこう果皮エキス)。
→ 製造元 本家松浦酒造の掲載ページ
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8度のリキュールカテゴリーなのでそのまま氷を入れて飲むのがおいしいようだ。心地よくて清涼飲料のごとく喉に吸い込まれていく。オレンジジュースの感覚に近くこの風味を苦手とか嫌いという人はいないだろう。ゆこうそのものを飲んでいるよりもさらにゆこうの本質を抜き出してアルコールの幸福感を添えた飲み物ということがいえるだろう。
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2500円+税と決して安くはないが、その希少性と関係者の開発への情熱を考えれば納得できる。飲んだ人からの口コミで入手が難しくなっているが、手に入れたい方は新緑がまばゆい立地にある月ケ谷温泉の売店へ出かけてみるのがよいだろう(くれぐれも買い占めはされないように)。

ぼくは秋から春にかけてゆこうの青果(果実)を近所の直売所で買ってきて絞って飲んでいる。とても体調がよくなる。体感的には風邪を引きにくくなるし整腸作用がある感じだ。
→ ゆこうについての記事一覧

飲み方は絞った果汁に蜂蜜を加えて湯割りする。厚手のカップに入れて湯気を立てて飲むのが冬の風物詩となっている。

ゆこうのすばらしさについては10数年前から発信し続けているが、近年では効果効能についても徳島大学で研究され、関連会社から製品化されている。

ゆこうはゆずと橙の自然交配とも推察されるが、ゆずの風味とはまったく異なる。ゆずのとがった個性を少し透明な方向に振っているが、レモンのような切り口でもない。すだちのようなえぐみと酸味を魅力とする個性でもない。ゆずの香りをやわらげつつ、そこにみかんの要素を加えて鼻腔に抜ける独特のまろやかな香り、舌の上でなめらかさを感じる酸味がかった甘みとでもいおうか。

その活かし方は、ゆず、すだちとブレンドして調味料や酢飯の基本とする使い方がある。ぼくは単独で果汁(瓶入りが売られている)を食材にそのままかけて食べることがある。塩気の効いたししゃもや絹ごし豆腐、干しエビなど。自家製ドレッシングのときも欠かせない。

菓子職人なら菓子の原材料に使いたいと考えるだろう。すでに数社が挑戦しているが、なかなか成功したとは言いがたい。

素材(果汁)そのものがそれのみで成り立つおいしさなので何にでも親和性が高いと思われているが、それゆえ埋没しやすい。使いすぎると何か気になる要素が出てくる(どの素材でもそうだが)。特に菓子に不可欠である小麦や砂糖との相性が埋没要素になっているのではないかな。

そう思いながら、ゆこうのチーズケーキを販売している小さな店で求めてみたのがこれ。
以前からご紹介しているhowattoさん。少し前に新しい工房で高性能オーブンを導入されたとのことで、看板商品のシフォンケーキがよりしっとりとなめらかになっているのにお気づきの方もいらっしゃるだろう。
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紅茶を添えて高齢の親に出してやると、普段甘いものを食べないのに、もっと食べたいと言った。ゆこうを知らない人が先入観なく食べると、香酸柑橘を感じるけれど、ゆずやみかん類とは違う、レモンとも違う、鼻腔に抜ける香り、甘みと酸味が溶け合って舌の上の転がってやがて溶暗すると風味は残らないという魔法。そして生地のベースとなっている食感の変化がなめらかななかに変化を与えて飽きさせないのではないかと推察。ゆこうの生かし方の模範例と思った。

ただhowattoさんはレシピやメニューありきではなく、旬の時期に入手できた果実や野菜をシフォン、ビスコッティ、マフィン、コンポートなどに仕上げていく。食材の希少性もあって金曜のみの営業だが、同じメニューが並んだことが一度もない。ゆこうのメニューが次回も載るかどうかはわからないが、素材菓子への挑戦を続ける同店のメニューをお楽しみに。
〔さくらももいちごのマフィン〕
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6月3日(金)のメニューは以下のとおり(howattoWebサイトから)
【6/3(金)のメニュー】
◇カットシフォンケーキ
・新鮮卵と牛乳…新鮮な徳島県産卵使用。いわゆる定番のプレーンシフォンです
・ゆず…徳島県産実生ゆず使用
・ココアと小夏とジンジャー…ビターなココアに小夏とショウガがアクセント
・甘夏…有機農園小七郎さんの甘夏
・めがみ米…佐那河内村で育った古代米使用
◇ホールシフォンケーキ
・新鮮卵と牛乳…いわゆるプレーンシフォン。もっとも生地のおいしさが味わえます
◇シフォン以外のおすすめ菓子など
・柚香(ゆこう)のチーズケーキ…フルーティなゆこうのおいしさ
・さくらももいちごのマフィン…佐那河内村で育ったブランドいちごさくらももいちご
・有機レーズンと甘夏のビスコッティ
・プレーンビスコッティ
・シフォンラスク
・ハニーグラハムクラッカー
・甘夏のコンフィチュール
・苺のシロップ
・ユスラウメのコンポート
・苺のパウンドケーキ
・スコーン
・甘夏ピール


ゆこうの話題とは関係ないが、ブーランジェリーコパンさん(あこ天然培養酵母使用)も素材のおいしさを活かしたパン屋さん。良いのは素材だけでなく使いこなしの感性。
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ゆこうの個性を活かす製品づくりとしては、ゆこうの個性を尊重しながら輪郭を引き締める要素を見いだすことが必要ということがわかる。ゆこうのチーズケーキはあるものを使うことでゆこうと対比させ、次に風味を後押しする補完作用でさらに味わいが増している(ゆこうを活かす方程式である)。いずれにしても、ゆこうの風味には人心を鎮める感じがする。まだ味わったことがない人はぜひどうぞ。

→ ゆこうのタグ


posted by 平井 吉信 at 11:49| Comment(0) | 山、川、海、山野草