2022年02月27日

啓蟄まで1週間 確実に歩みを進める春 とくしま植物園


前回訪問から2週間、季節の遷移を体感したくて来ている。
冬の快晴の空に春を先取る陽射しのとくしま植物園にめずらしく午前中に来てみた。
順光の風景はまっしぐらに春の予感を届ける。
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ハナアブの動きも活発
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三色スミレの仲間は色がそれぞれ違うのを植栽されていて愉しいがそのひとつを見つめる
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これも春の象徴 ホトケノザは一足先に咲いていたがオオイヌノフグリも
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太陽を追いかけるソレイユの花
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例年すみれが咲く場所でその瞬間はやってきた。木の株の温もりに咲いていたタチツボスミレ。うれしくてしようがない。この個体はフイリで葉がやや長い。もしかしてナガバノタチツボスミレかもしれない。いずれにせよスミレはこれが今年の初物、もちろん天然モノだから(植物園内には植栽だけでなく自生もある)
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坂をのぼりきると丘陵に到着。人影はほとんどなく冬の装いのように見えるが、目に見えないざわめき、気配に満ちている
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丘陵に点在するウメやサクラをたどれば開花が見られる
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シダレウメ
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高い場所だけではない、むしろ足下から温もりは伝う
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冬と違う色彩をまとって光と戯れている(画像加工ではなく撮ったまま)
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観覧車を見下ろしながら坂を降りていく
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数ヶ月前、オータムグリーンを探しに出かけたけれど、これは光踊る緑。でも初夏とは違う。ただ存在するだけで美しい
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童話の世界はおとなになって見えなくなる人もいるけれど、実は近くにいる。青い鳥もそう
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冬の女王も少しだけ持っている雰囲気を変えている 周囲のやわらかな光になじみながら、ぽーっと照り返す
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坂を降りて三色すみれを見た
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きょうはこれでおしまい、またあした。

(フジX-T30+XF14mmF2.8 R、XF35mmF1.4 R、XF60mmF2.4 R Macro、フジX-T2+XF23mmF1.4 R)

posted by 平井 吉信 at 11:11| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2022年02月26日

ウクライナの大統領の声を聴こう


毎日新聞の記事で知った。
「ロシア軍のウクライナに対する攻撃が続く中、全面侵攻開始直前の24日未明にウクライナのゼレンスキー大統領がSNS「テレグラム」の公式チャンネルへ投稿した1本の動画がインターネット上などで注目されている。」


その動画はYouTubeで見られる。
https://www.youtube.com/watch?v=p-zilnPtZ2M&t=51s

Zelenskiy大統領のTwitter
https://twitter.com/ZelenskyyUa

ゼレンスキー大統領の言葉に耳を傾けてみませんか?
ロシア国民に向けてのロシア語だが英語の字幕が付いている。
この動画は一国の大統領としての国民を守る誠意と決断があふれている。
例え言語はわからなくても言葉の抑揚に、表情に。

EUの会合にWeb会議で参加したゼレンスキー大統領の5分の演説についてワシントンポスト紙からの記事を以下に引用。

Volodymyr Zelensky dialed into the meeting via teleconference with a bracing appeal that left some of the world-weary politicians with watery eyes. In just five minutes, Zelensky − speaking from the battlefields of Kyiv − pleaded with European leaders for an honest assessment of his country’s ambition to join the EU and for genuine help in its fight with the Russian invaders. Food, ammunition, fuel, sanctions − Ukraine needed its European neighbors to step up with all of it.

“It was extremely, extremely emotional,” said a European official briefed on the call. “He was essentially saying: ‘Look, we are here dying for European ideals.”

Before disconnecting the video call, Zelensky told the gathering matter-of-factly that it might be the last time they saw him alive, according to a senior E.U. official who was present.

Just that quickly, the Ukrainian president’s personal appeal overwhelmed European leaders’ resistance to imposing measures that could drive the Russian economy into a state of near collapse. The result has been a rapid-fire series of developments boosting Ukraine’s long shot fight to hold off the Russian military and shattering long standing limits on European assertiveness in national security affairs.

(引用元@washingtonpost.com:https://www.washingtonpost.com/business/2022/02/27/russia-ukraine-sanctions-swift-central-bank/?pwapi_token=eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJIUzI1NiJ9.eyJzdWJpZCI6IjE1MzMxODIiLCJyZWFzb24iOiJnaWZ0IiwibmJmIjoxNjQ2MDAwMTg2LCJpc3MiOiJzdWJzY3JpcHRpb25zIiwiZXhwIjoxNjQ3MjA5Nzg2LCJpYXQiOjE2NDYwMDAxODYsImp0aSI6ImY3OWIxZDg5LTRkYmEtNGVkZC04ZjdjLTEwNmRjMmViYmEzNyIsInVybCI6Imh0dHBzOi8vd3d3Lndhc2hpbmd0b25wb3N0LmNvbS9idXNpbmVzcy8yMDIyLzAyLzI3L3J1c3NpYS11a3JhaW5lLXNhbmN0aW9ucy1zd2lmdC1jZW50cmFsLWJhbmsvIn0.yorP4Gz6NAn1hoiIDIdqJqjUahz6nW8qRCI8eCyTeaM

為政者は心から語り掛けることで世界情勢も動いていく。
ウクライナの人々はもちろん、独裁者に翻弄されて闘いたくないロシアの兵士も経済政策にあえぐロシアの人々も救いたい。

海を隔てた隣国では、ウクライナ侵攻を台湾支配のロールモデルと見ているかもしれないが、それとて自国の核配備をうたう誤ったメッセージにすり替えてはならない。
狂気の独裁者を止められるのは良識あるその国の民。
Stand With Ukraine!

Zelenskiy大統領の声が掲載された公式Instagram
https://www.instagram.com/zelenskiy_official/channel/?hl=en




posted by 平井 吉信 at 15:39| Comment(0) | 生きる

2022年02月22日

雨水から三日 冷たい大気に桃が満開 どこかで春が


寒々とした港町の景色から明るい空へと。
庭の桃は数十年前に両親が健在だった頃に宵えびすの植木市で買ったとのこと。
そのときは掌に載るような大きさだった。
それが2階に届く巨木になろうとは。

いまが満開。
毎年見ているが、これまで見たことがない勢い。
朝起きて外へ出れば太陽の光を受けた桃の花がわさわさ。この風情を仰ぐ心地こそ。
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小学生の頃、級友たちはぼくを「モモ」と呼んだ。
名前、体型、趣味、好物、ドイツのおとぎ話などいずれも関係のないネーミングで首をひねるけど、
百田宗治という詩人の作品を先生に当てられて朗読したからだったかな?

高校の英語の授業で先生に当てられて教科書を読んだとき、
何を勘違いしたか「訳して」と言われた英文を二度読んだ。ぼくは英語の発音が良いので範を示す意味で二度読みさせられていると勘違い(先生は止めなかったが、こちらは赤面の瞬間)。

あるセミナーで司会を担当したとき、パネリストの方から「司会の方の癒しヴォイスでご紹介いただきました」などと前置きされて(そんなつもりはなく地声なのだが、ときどき言われる)。人前で声を出すことをひそかに快感に思っている自分がいるというナルシーな勘違いを他人のふりして外から見ている。

百田宗治に話を戻すと「どこかで春が」という唱歌がある。
あの唱歌がそうなのだ。

ときは雨水と啓蟄の間。
春のきざしというが、
雪に閉ざされる三寒四温のいまこそ陽の光が恋しい。
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ときおり強風が枝を揺らすけれど、
吹いてみよといわんばかりに空高く抜けている桃の花。春の氣を受けて。

以前にご紹介した広谷順子さんらのユニット「綺羅」の童謡集の下巻が冬から春へと綴られる。
「どこかで春が」も含まれる。おとなが聴く唱歌として掌で音楽を愛撫しているよう。声の純度も高い。


ただし「やーまーのさーんがつ」は
原曲どおり「やーまーのさんがーつ」とフレージングして欲しかった。
だって、三月は突然予告なく訪れて名残惜しくも通り過ぎていくのだから。
「さんがーつ」にはその感情が含まれているのだ。
それでもこのCDは入手しておくべき価値あるもの。だって聴いてみて。浸れるから。

それにしてもうちの桃、今年は照りが違う、まばゆいばかり。
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雨水から三日。しばれる風に紛れて陽の温もりを宿している。
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追記 池田みゆきさん(ゆめある & キッズソング ドリーム)の童謡・唱歌について

「どこかで春が」は以前にご紹介した池田みゆきさんもいい(ゆめある & キッズソング ドリーム)。
歌詞は作曲当時のもので「そよかぜ」が「東風(こち)」となっている。
フレーズの切れ目でさりげなくピアノの合いの手が春のきざしを感じさせ、
「やーまーのーさんがーつ」で麓の近景が遠くの山に飛んでいって春を待ち望む気持ちが溢れる。
楽曲と歌い手が一体となって音楽だけが浮かび上がる瞬間。

同じアルバム中の「夕焼け小焼け」の素朴な旋律をそのまま歌にしながら伴奏の和声はさみしさを感じさせる芸術的な仕上がり。「どこかで春」とこの曲がアルバム中のベストトラックだね。
(中学の音楽担当の黒田先生の伴奏がまさにそれで、学生相手の伴奏といえども、わずかに入る小休止、アッチェレランド、リタルダンドなど歌っていて気持ちが高まった。当時はそんな音楽用語も先生の意図も気付かなかったけど、いまになってみてわかる芸術的な伴奏。それが教科書の楽曲に生命を与える。生きていくことも同じ。先生が伝えたかったのはそれだよね)
楚々として飾らず、正確な音程で曲の終わり以外はビブラートがないので心にしずしずと入ってくる。
ぼくはこんなふうに聴きたいので、童謡を池田さんのピアノの弾き語りで聴きたいし
CD(配信)はすべて買いたい。
(コロナで疲れた方、ちょっとだけ視聴してみたら?)
でもパッケージメディア(CD)は発売されていないようで配信のみ。
YouTubeでは映像とともに見られる。
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=mzbcfZvvWV8

ダウンロード音源(mora)はこちら。
https://mora.jp/package/43000074/TCJPR0000781176/?trackMaterialNo=18465631

アマゾンでも買えるけどmoraのほうが音質が良いので。


タグ:童謡・唱歌
posted by 平井 吉信 at 23:22| Comment(0) | 家の庭

2022年02月20日

羽ノ浦町の取星寺(すいしょうじ) 仏の慈悲が夕陽に照らされて


那賀川下流域から海までを臨む妙見山にあり、弘法大師由来の寺である。
寺の裏手の山には石像をめぐる巡回路がある。
今回は写真のみ。
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きょうは親父の祥月命日である。
posted by 平井 吉信 at 12:24| Comment(0) | まちめぐり

2022年02月15日

暮れゆく港のある風景


仕事を集中的に取り組んで一息ついて散策しているところ。
雲一つない空は夕焼けにはならない。
空の透明度が高いからだろう。

子どもの頃なかった橋から上流を見る
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旅情が感じられたとしたら、それは自分が知らない風景だから。
でも、ここはぼくが生まれたまち。
生家はもうないけれど、かつて家があった場所からほんの数分の場所。
よい子はお家に帰ったようでしおかぜ公園には誰もいない
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港へ抜ければデッキごしに海上保安庁の船の右上に満月が浮かぶ
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だいぶ暗くなってきた。
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子どもの頃はこの時間まで広場やその周辺で遊んでいた。
広大な駅の敷地が隣接していて子どもが潜り込んで遊ぶには広すぎるぐらい。
もちろん線路内で遊べば国鉄のおじさんに叱られるけど、
野球でホームランを打ったボールが線路に転がることはよくあったので。
車両基地のあった小松島線は昭和60年に廃線となり、それから14年後に南海フェリーの発着も徳島港に移管され、名実ともこのまちの中心市街地を維持する力は失われた。
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日は暮れて胸に温もりを灯す時間となった。
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posted by 平井 吉信 at 23:32| Comment(0) | まちめぐり

2022年02月13日

木頭の福寿草 冬陽を受けて照らす黄金の光 2022年


陽の光の少ない季節に、斜面一帯が陽光を照り返しているような。
福寿草は見ているだけで幸福感を覚える人もいるでしょう。
秋の木頭は柚子の黄金、春の訪れの木頭は福寿草の黄金。
いまだからこそのフクジュソウではないかと。
(少し長いですが、前のコンテンツからお読みいただけると幸いです。)

斜面に点在する
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黄金色に輝く 純金ではないかと思えるほど
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花弁の長いのもある
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ここで昼の弁当。豚肉とピーマンの赤ワイン蒸し炒め、茹でブロッコリー、吉野川の海苔、自作の梅干し(美郷産)と五分づき米
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造花のように見える
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花弁のふちが緑がかる
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斜面を光の園に変える
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フクジュソウの咲く斜面の背後は空高く
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小さなセンサー(フジX20)で撮影するとピントの合う範囲が広がる。
葉裏に毛がない特徴からシコクフクジュソウと判断。
那賀町内の山林にはミチノクフクジュソウもあるとされる
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光を花弁の中央に宿しているとしか見えない
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ダムに頼らない村づくりから四半世紀。
数え切れない人々の足跡に上に今日の木頭がある。
交通こそ不便だけれど出原あたりの集落を見ていると桃源郷のよう。
コロナ後は木頭をめざす人たちがますます増えてくると思う。

ということで黄金の村、木頭の福寿草の光をお届けしました。
前コンテンツからの長い文章でしたが、お付き合いいただきありがとうございます。
(フクジュソウの自生地についての問い合わせにはお答えしかねます)
タグ:福寿草
posted by 平井 吉信 at 13:43| Comment(0) | 山、川、海、山野草

木頭村へ195号線を遡って通った頃と人々 きとうむらと黄金の村


木頭村(現那賀町木頭地区)は徳島県の最深部にある。
村役場(現那賀町木頭支所)から徳島空港までは約100km、2時間半。混んでいたら3時間はかかる。
ところが高知空港までは約70km、1.5時間で到着する。しかも渋滞はない。

国道195号線の徳島側(那賀川流域)は曲がりくねっており、車線のない区間もあれば台風で不通になることもしばしば。ところが県境の四つ足峠を越えて高知側(物部川流域)に入るとハイウェイの様相で快適に下ることができる。徳島道(高速)ができる前は国道195号線が徳島市〜高知市間の最短ルートであった。

徳島県内に限れば県内最大の河川は那賀川である。剣山山系の南斜面の水を集めて北川(那賀川源流)と槍戸川(坂州木頭川)が蛇行しつつ紀伊水道へ向かう。北川は木頭村で南川(みながわ)と出会い、さらに下流で坂州木頭川と合流して急流となって海をめざす。鷲敷ラインの辺りでの水量と水流の早さは目を見張るものがある。
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かつて玄さん(ぼくが渓流釣りの師匠と思っている森口玄七さん)が若い頃、南川支流の湯涌谷などに入山したとき、昼なお暗い原生林が生い茂る渓相に怖さを覚えたという。那賀川上流域は南紀と並んで日本でもっとも雨が多い地域で年降水量は4000oを越える。木頭から木沢にかけては四国では数少ないツキノワグマの生息域で、ぼくもまだ新しい糞を見たことがある(権田山)。権田山の東のピーク、平家平はかつて登山者が登頂すると話題になるほどの難関であった。

ぼくが木頭村との縁を深めたのは1996年。当時の木頭村は細川内ダム反対運動に村を挙げて取り組み、その先頭に経っていたのが藤田恵さん(木頭村長)である。その藤田村長から藤田堅太郎さん(助役)に面通しされることになる(同姓であるがご親戚ではないと伺っている)。




助役はダムに頼らない振興策として立ち上げた株式会社きとうむらの実質的な責任者であった。業績が芳しくなかったのか議会からも追求を受けていたという。心労のなかで懸命にお仕事をなさっていた誠実な方であったが、お会いして数週間後に助役は自ら命を終えられた。ぼくは天を仰いだ。

その後、村長からのご要請できとうむらの監査役に就任。村議の田村好さんをはじめとする地元の方々にはひとかたならぬご厚情をいただいた。工場長の株田茂さんがその後に村議となられ、中川公輝さんのご支援もいただいた。(株)きとうむらは食品ビジネスに経験豊富でぶれない理念を持っておられる日野雄策さんが社長に就任されて経営が軌道に乗った。日野社長のご尽力には感謝しかない。

木頭村では、大阪から教師を辞めて移住された玄番隆行さん・真紀子さんご夫妻(真紀子さんは「山もりのババたち―脱ダム村の贈り物」という著書を出版されている)や、きとうむら社員の栗原広之さん・ガナさんご夫妻と親しくなり、村内のご自宅へ遊びに出かけたことがある。

いつだったか、村の夏祭りにも参加したことがあった。
場所は、和無田八幡神社だったか木頭中学校のグラウンドだったか。
中央にやぐらを建てて歌い手と太鼓などの伴奏のなか
踊りながらやぐらをぐるぐる廻る。愉しかった。

祭りといっても都市近郊ではイベントになっているが、木頭の夏祭りは木訥としていて一体感がある。
見る人全員が踊り手となる。
やぐら以外は真っ暗ななか、繰り返す動作、反復する律動、ちらりと見える横顔。
いつしか恍惚状態になる。祖霊を慰める盆踊りは現世の人々の再会の場でもある。
(ショー化した阿波おどりやよさこいでは踊り手と観客に分かれるのでこのスイッチは入らない)。

写真は郡上おどり。郡上八幡を訪れたのが祭りの日だったが、いまでも「かわさき」や「春駒」は踊れる気がする。
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だから村の中心部の出原地区、和無田地区、そして北川地区にかけてのメインストリート195は素通りできない場所なのである。

ダム問題で国と闘う木頭村を側面からご支援いただいたのが神奈川県在住のジャーナリストのまさのあつこさん。同い年の彼女が万感を込めながら理路整然とした文章で社会に投げかける真摯なメッセージの深さは突き抜けている。ある政治家の政策秘書をされていたときも法律が国の基準となっていることから法令づくりに邁進されていた。この国が失ってはならない方である。

ぼくも内閣に提出する質問主意書の原案を作成したことがある。質問主意書とは国会議員が内閣に文書で質問する公式書類で、縦書きで最後に「右これを質問する」などと括る。これについては内閣が公式見解として答弁書を作成して回答を行うもの。

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ときは流れて2022年2月。
そんな回想をしながら久しぶりに木頭地区へ出かけてみようと思ったのは村内の集落の近くで福寿草(自生)が咲いていると聞いたから。

福寿草といえば、随分昔に那賀郡のある山に咲く福寿草を見に行きませんかと呼びかけてツアーを何度か行ったことがある。

山名を伏しているのはその後この山から福寿草が盗掘により絶滅したからである(近年ではわずかに復活しているらしい)。盗掘は厳罰に処すべき。失われた生態系の価値を金銭に置き換えると人間ひとりの一生の収入(罰金)などでは賠償すること叶わぬ価値あるものだから。

ビジネスではないがエコツーリズムという言葉が一般的でない頃から出羽島などの観光地ではない場所に人を募っては出かけていた。当時はSNSもメールもなく、紙媒体と口コミで人を集めていたが、毎回20人を越える同年代の若者が集まった。とある山ではここから2組のカップルが生まれてその後結婚された。

福寿草はスプリングエフェメラル(雪に閉ざされる早春に咲くありさまを妖精に例えた英語の表現)のひとつである。陽だまりに照らされて斜面に咲く姿は黄金色に照り返して福々しい。

前置きが随分長くなったが、出かけることとしよう。
晴れたおだやかな冬日、気温は8度と表示されている。
旧の那賀郡の町名で記せば、阿南市から阿瀬比峠を越えて(親父が赤松川へ鮎釣りに行っていた頃は新道はなく串坂越えの旅の難所。当時のパブリカですら狭く感じられるガートレールのない道であった)鷲敷町、鷲敷ラインを抜けて相生町、赤松川合流点と川口ダム・もみじ川温泉を通過して上那賀町、長安口ダム(かつてワカサギ釣りをしたことがある)を抜けて木頭195号・木沢193号分岐を左折して木頭、高知方面へと続くいまでも速度が上がらない国道195号。

運転を始めて2時間弱、ようやく木頭村内に入ってくると最初にきとうむらを通過する(本日は定休日であった)。そして村の中心部の出原を抜けて北川地区へ来ると印象的な建築物が見えてくる。これが国際的なデザイン賞を総なめにしたという未来コンビニである。この構想を実現化したのはかつての堅太郎さんの子息で上場企業株式会社メディアドゥ/メディアドゥホールディングスを牽引する藤田恭嗣さんである。

木頭地区に入って西へ向かう国道195号にそびえる石立山。石灰岩質の急登で知られる名山
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未来コンビニを東から見る
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西から
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入ったすぐに黄金の村製造の特産品が並ぶ。店奥にはカフェも併設してイートインもできる
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195号でコンビニがあるのは鷲敷町のセブンイレブンが徳島県側で最後であった。ここから数時間はコンビニがないため、集客力は高いはずである。
だからヤマザキショップと提携して木頭村の県境に接する北川地区にコンビニがつくられたことは意義がある。若者や夫婦が村内に定着するためには必要な業態であるが、地元の高齢者も立ち寄るという。もちろん24時間営業は必要ない。

コンビニの意義はそれだけではない。国道195号が途絶するなど災害時は数日間の地元住民の食糧確保にもつながる(ヤマザキの優れた製造技術で保存料に依存せず長期保存が可能となるパンなどがある。一部に加工食品への偏見があるが、人間が生き延びるうえで何が必要かを大所高所から考える必要がある)。ヤマザキショップのFCは24時間営業が不要であることも利点。これらの意義を踏まえて数年前に別の自治体で提案したことがあったが実現しなかった(ヤマザキ社とは1円の利害関係もない)。

未来コンビニへ来店した人は必ず建物の外観を撮影している。きょうは3連休の初日ということもあって、ソフトクリームなどの厨房デザートが大忙しでレジ前で商品を持ったまま随分と待つ必要があった(それは仕方がないこと)。

購入したのは「木頭柚子 青ゆずこしょう」で製造はグループ企業の株式会社黄金の村
https://ogonnomura.jp/

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いつもはきとうむらの「木頭柚子ごしょう青」を買っているが、それと食べ比べる意味もある。
木頭地区では柚冬庵さんも良質のゆず製品を製造されていて、それは良品工房の店舗で手に入るはずである。

きとうむらの柚製品もかつて通販生活のトップに掲載されるほど良質の製品である。わかりやすいのは「木頭柚子しぼり」。これは比べるものがない感じがする。ゆずが大好きという人、ゆずが苦手という人も試してみては?
https://www.kitomura.jp/

食べ比べの結果は黄金の村は青唐辛子の比重が高めであるが、ぼくの好みはゆずの風味できとうむらであった。
それは好みの差でしかない。父が手がけた会社がその後も存続して良質の製品を生み出し、子息は上場して故郷に次々と新たな取り組みで雇用を生み出す。両者が役割分担と協調により未来をつくっていければすばらしいことではないか。
株式会社きとうむら株式会社黄金の村

前置きがあまりに長くなりすぎたので福寿草は次のコンテンツにするね。
posted by 平井 吉信 at 12:35| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2022年02月12日

桃 梅 桜と三輪そろった 


紅白を見なくなってどのぐらいになるだろう。今世紀に入ってから見た記憶がない。
紅白にだけ出てくる大御所にも流行の曲にも興味がないし3時間もテレビに釘付けされたくないから。

オリンピックも同様でどの競技が有望でどの選手がどんな活躍をしたかも知らない。
巷では運不運が話題になっているようだけど、一発勝負ですべて条件を揃えることの困難さがある。
さらに国の威信やお金(商業)をかけているゆえに
選手は氷山の上で競技をしていても水面下では別の力学もあるだろう。
(それも含めて五輪。清濁併せ呑む度量がなければ)
結果がどうであれ選手自らがやってきた過程に納得できればそれで良いのではないか。
国を背負っているわけでもライバルとの闘いでもなく究極には自分と向き合う時間だから。

自宅の庭に数日前から桃が咲き始めた。これは朝に撮影したもの。
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家事を片づけて日没前にとくしま植物園に出かけてみたら
梅が咲いていた。
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さらに上がっていくと桜(河津桜かな?)が咲いていた。
背景で光るのは十三夜の月。
これで同じ日に桃梅桜が三輪揃った。
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でもぼくは足元の小さな花が越冬している様子に惹かれる。
直径数ミリの花だけど、しっかりと大地に存在している。
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五輪で競う選手も、コロナ下で生きている人たちも同じ。
それぞれがかけがえのない一輪の花。
posted by 平井 吉信 at 21:55| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2022年02月02日

2022年2月2日 いつのまにか24


次にこれだけ2が並ぶのは2222年2月2日で、もしかしたらぼくは生きていないかもしれない。
本日24歳の誕生日を迎えたのはぼくではなく、ぼくが始めた事業。
つまり創業24年目。

2022年2月2日 → 24年ということなるが、数学に強い人なら数式の変形ができる。
(2222-200)年2月2日 → (22+2)年
これをさらに変形すると
(2222-222+22)年2月2日 → (22+2)年

創業前にも得がたい経験があるがそれはまだ先に記すとして
創業2年目で書いた報告書が国会国立図書館に蔵書されるようになり
さまざまな役割や課題をいただきながらなんとか今日まで来ている。

それに対してお世話になった方々に何ができたかを自問自答すると
できていない。ほんとうにそうだ。謙遜ではなくそう思う。

しかし完全でないヒト同士が支え合うから良いとも言えるので
「ありがとうございます」。

すべての方々の顔は思い出せないけれど、静かな乾杯を。
(竹鶴25年はないので17年で)
DSCF4967-1.jpg

追記
来春の連続テレビ小説が牧野富太郎を描くと発表があった。
このブログでもよく採り上げているので「佐川町」「牧野富太郎」のタグからどうぞ。


posted by 平井 吉信 at 22:58| Comment(0) | 生きる