2019年11月17日

紅葉の仁淀川と安居渓谷〜池川のまちを流れる土居川〜


国道33号線を遡ると越知町から北へ分岐して
仁淀川支流の土居川に沿って北上する。
土居川水系も透明度の高い川で
その上流に安居渓谷がある。

茶畑の下には風情のある沈下橋
夏場はここでコロガシをしている(水中メガネで見ながらアユを針にかける)
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(この上流に商店街があるとは信じがたいでしょう)

その上手でSUPをしているカップル。
理想的な静水域で道路からも見られない水面をすべっていく。
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ダムがない土居川は川底が生きている
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日曜日をこんなふうに過ごしながら
水から上がって茶畑プリンでも食べるといいだろう

池川のまち(商店街)は自宅の裏が土居川
(これは反則。客が途切れると自宅兼店の裏手から友釣りができるなんて)
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商店街沿いの道路も川まで降りていく
(郡上八幡もいいまちだが、さらにのんびりとしている)
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タグ:仁淀川
posted by 平井 吉信 at 18:50| Comment(0) | 山、川、海、山野草

紅葉の仁淀川と安居渓谷〜仁淀ブルーとかわの駅おち〜


仁淀ブルーのプロモーションをNHK高知放送局が仕掛けたのは2012年だったか。
仁淀ブルーの青には緑色は含まれないと思う。
(エメラルドグリーンではないのだ)
そのためには条件がある。
それは川底の色、ひいては珪藻の状態。

このところ四国は雨がなく渇水気味である。
このような条件下では
水は澄んでいても仁淀ブルーは現れない。
ぼくもこれまで二桁は訪問しているが
仁淀ブルーと言い得る状況だったのは1〜2回ぐらいだ。

おそらくはある程度の大水が出て4〜5日が経過した頃
川底が清掃されたとき。
そのうえで光を沈み込ませる深さが不可欠。
だから渇水期には出現しない。
(誰かが「仁淀ブルー指数」を定点で毎日発表して欲しいと思う)

率直に書かなければならない。
仁淀川上流のダム群が水質を悪化させている。
(水質というよりも底質かもしれないが)
本流で数カ所泳いで川底を観察したが
川は死んでいる、と感じた。
そのため本流では仁淀ブルーはまず見られない。
(奇跡的に条件が整ったら見られるかもしれない。ぼくは一度しか見たことがない)

けれども川と風土に目を向ければ仁淀川はいまも憧憬の川だ。
高知県佐川町出身の作家、森下雨村の珠玉の名随筆集「猿猴川に死す」では
鎌井田地区の佇まいが桃源郷のように描かれている。
浅尾沈下橋から上流を俯瞰して屈曲部のあたりが描かれている場所ではないのだろうか。
(仁淀川のポスターでいつも出てくるのは浅尾沈下橋である)
鎌井田地区の仁淀川には置き忘れた四国の風土が息づいている。
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そして仁淀川の水は千変万化を見せる。
太陽が射す川底は明るく
太陽が射さない川底は碧色の階調に沈む。

窪川の仕事で美馬旅館に投宿後、
須崎から佐川へ、土居川を遡って池川の商店街を抜けて
安居渓谷に入る。

佐川町から越智町に入ると国道33号線沿いに「かわの駅おち」ができていた。
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町がスノーピークに運営を委託しているのだろう。
地元の物産とアウトドア用品を置いてある。
でももっとスノーピーク色を出したほうが良くはないかな?
その一方で、町内との連携がやや希薄な感じはする。
なぜここにこの施設があるのか、
どのように地元とつながっているのか。

「人生に、川遊びを」と訴える。
― 子どもの頃からそうしていますよ(そしていまも)。
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この日の浅尾沈下橋
(水量が少ないうえに川底の状態が良くないので冴えない)
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むしろ河畔の野菊に惹かれた
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タグ:仁淀川
posted by 平井 吉信 at 18:39| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2019年11月10日

六花亭のマルセイバターサンド 数年ぶりの口福のとき


そごう徳島店での北海道物産展には行きたくても行けなかったが
義弟が北海道に出張しておみやげを買ってきてくれた。
それがなんと六花亭のマルセイバターサンド。
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もしこの世にこのお菓子がなかったらどんなに味気ないだろう。
スマートフォンがなくてもぼくには困らないけれど
六花亭がない世界は実に味気ない。
(世の中にはもっとおいしいお菓子があるよとささやかれても心に響かない)

5個入りで650円(税込)という価格でこれが売られているのだから
ぼくが菓子屋なら廃業したいと思うだろう。
誰が食べてもおいしいという最大公約数を
北海道の良質の材料を使いながら手頃な価格で提供している。
製品はともかく企業の世界観がさらにすばらしい。
四国には宝物のような川があるが、
北海道には六花亭がある。
みんな違ってみんないい。

数年ぶりに訪れたこの時間、
コーヒーや紅茶ではなく緑茶でいただくこととした。
銘柄は曲風園の大歩危茶。
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(もっともよく飲んでいる緑茶がこれ。霧が発生する渓谷の支流で農薬を使わずにていねいにつくられている)

時代とともに緑茶に求められる嗜好は変化しているが
渋みのない春の日射しのようなやわらかな風味が曲風園の特徴。
その感性がマルセイバターサンドの親しみやすさを引き立てると考えた。

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口の幸せという言葉はもしかして
いまの社会がもっとも求めていることかもしれない。
それと同時に社会全体の幸福をつくっていくことこそ
一人ひとりの使命ではないかと。
緒方貞子さんの志をみんなが受けついで共同体をつくっていければいい。

六花亭のマルセイバターサンドはおいしいだけではない
地域社会の幸福の実現というメッセージが込められているように思えるのだ。


追記
最後の行の意味がわからないとの質問メールをいただいたので補足を。
「地元の素材を活かして」「地域とともに」「地元密着で」などと打ち出す企業は少なくないが
それには地元の宝を掘り起こし、
受けつがれてきた意味を探るとともに
時代とともに新たな光を当てる作業が必要。

その根底には地域への愛しみ、文化や風土を尊重し尊敬する精神があるはず。
その精神が社内にあふれ地域へも浸透する企業になったとき
そこから紡がれる精神風土の豊かさが製品やサービスに込められる。

だからカタチだけを似せても追いつけない世界がある。
それは精神論ではなく現実に製品の品質の差を生み出している。
(ここでの品質とは総合的な意味を含む)。
もっともそれを感じる人がいなくなれば企業も存続しなくなる。
そのことを理解して企業も息の長い啓発を行っている。それがホンモノたる由縁。
六花亭製菓株式会社はその域に達した数少ない企業のひとつではないかと。

posted by 平井 吉信 at 16:00| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

ナカガワノギク 世界中で那賀川中流の岩場だけに咲く


那賀川は剣山山系の南斜面に源を発し阿南市の紀伊水道に注ぐ全長125kmの一級河川。
小見野々ダム、長安口ダム、川口ダムなどの巨大なダムがせき止めているが
流域は日本有数の雨の多い地域であり無数の支流を集めて流れる。
最大24時間降水量では、2004年の海川地区で1,317o、
1976年には日早地区で1,114oと当時の木頭村が全国1、2位の記録を持っている。
古くから木頭杉に代表される林業の産地であり
かつては流木に乗って竿1本で川を下る職業があった。

このように大雨が降ると一気に下っていく激流が洗う中流域に
鷲敷ライン(急流で知られる景勝地)がある。
そこには大雨が降ると水没する岩場に咲く固有の植物や希少種が自生する。
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見た目はどこにでもありそうなナカガワノギクは
世界中でここだけという希少種。
その特徴は水没しても流されにくいように
葉が流線型をしているということ。
この日も同じ岩場にリンドウやアオヤギバナが咲いていた。

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川沿いの公園のような場所ではイチョウが色づいている。
弁当を持って一日を過ごしてみてはどうだろう。
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ナカガワノギクが開花して丹生谷に秋が訪れた。
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posted by 平井 吉信 at 15:34| Comment(0) | 山、川、海、山野草

光のまち阿南 牛岐城趾のあかり


阿南駅から阿南市役所へ
そして富岡のまちの商店街を見下ろす高台が牛岐城趾である。
ここに地元企業によるLEDの装飾が施されている。
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駐車場もある。
タグ:阿南
posted by 平井 吉信 at 12:50| Comment(0) | まちめぐり

小歩危 吉野川でもっとも美しい景観のひとつ


瓶ケ森の南斜面に発した流れが東をめざし
四国山地を横切るように北上する途中にあるのが
大歩危小歩危。
なかでも小歩危峡は静謐な渓谷美が深く沈む。
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国道32号線すらなかったらと思わせる秘境であってほしい。

追記
最終行の意味がわかりにくいとのご指摘がありましたので補足。
大歩危小歩危は国道が併走しているので秘境感はありません。
しかし渓谷の景観は唯一無二といえるもの。
この景観こそが残された宝であり価値あるものとすれば
何も足さないのはもちろん、
既存の建造物なども撤去や改修で美観地区としての管理を行っていく必要がないでしょうか?



posted by 平井 吉信 at 12:37| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2019年11月08日

今年初めてのゆこう ほのぼのと ぬくぬくと 


ゆこうは、徳島県内で上勝町、勝浦町、徳島市南部で生産されている香酸柑橘で
すだちとだいだいの自然交配種とされている。
この「ゆこう」が優れた機能性を発揮する成分を含むことが確認された。
・優れた抗菌性(腐敗しにくい果実特性)
・腸内細菌を整える作用(善玉菌を増やす)
・口腔環境を調える(唾液中の抗菌ペプチドを増やす)
(徳島大学研究成果)
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それはともかくここ数年、
インフルエンザの流行しそうな季節になると
ゆこうを絞って毎朝飲んでいる。

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(器は多治見に行ったときにカフェ温土で求めた地元の作家さんの作品)

なぜって、身体が欲しがるから。
この風味、味わいの深さは言葉で言い表せないのだけれど
すだちの酸味は料理の引き算で引き立つけど飲みたい感じではない。
ゆずの酸味は悪くないけどどこにでもあるので…。
ところがゆこうは生の果実をかぶりついて湧き出る果汁が脳内を満たす感じ。
それは酸味のなかにおいしさが閉じ込められて
豊潤なまろやかさを醸し出し
同時に澄んだ果実感、切れ味がある。
(決してまろやか一辺倒でなくきらっと光る味覚のとんがりを包む豊かさが同居している)

これを料理に活かしているのが
徳島の料理屋の濱喜久さんであったり上勝の月ヶ谷温泉であったりする。
菓子に応用しての成功例は少ないけれど
徳島市内で金曜午後のみ営業のhowattoさんのゆこうを使ったシフォンケーキ(11月15日登場予定だとか)とビスコッティではないだろうか。
(素材があまりにおいしいと菓子に応用しにくいのだ。その点、個性が際立っているユズは楽だけど誰がつくっても同じような風味になる。ゆこうを活かすことは菓子製造にとって心弾む挑戦だろう)

実際に飲むときは手絞りの道具で絞って
メープルシロップかハチミツを入れて
湯割にする。

ほのぼのするね、
ぬくぬくするね、
でも目が覚めるね。

だから秋から早春の朝にはゆこうがいないと。
ああ ゆこう(柚香、ユコウ)。
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→ ゆこう すっぱさは微笑み http://soratoumi2.sblo.jp/article/60402479.html
→ 秋から冬へのめぐみ http://soratoumi2.sblo.jp/article/105890839.html
→ ゆこう(ユコウ、柚香)が届けてくれる身体の冬支度 http://soratoumi2.sblo.jp/article/181807058.html
→ ゆこうの季節 絞って飲んであったまって 柿と合わせれば上質の口溶け http://soratoumi2.sblo.jp/article/185115564.html
→ 食べることで身体を癒していく http://soratoumi2.sblo.jp/article/185536504.html


タグ:ゆこう howatto
posted by 平井 吉信 at 18:39| Comment(0) | 食事 食材 食品 おいしさ

2019年11月05日

旭ヶ丸(大川原高原)おだやかな散策のあとの日暮れ


所用が片付いて時計を見たら14時過ぎ。
山へ出かける時間ではないけれど
ヘッドランプを持って出かけることにした。

旭ヶ丸は大川原高原の一角の三角点に過ぎない(1,020メートル)。
山麓一帯は風車が林立していて
風のある日は回転音が耳障りなぐらい。
けれどこの日はどの風車も止まったまま。
こんな日もあるのだ。

すすき野原に斜めの日で穂が浮かび上がる
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平坦な森へ上がると林床には植物がほとんど見当たらない
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森のなかの宝物とこぼれ落ちる日射しがウィンドウディスプレイのよう
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秋の日はつるべ落とし
やがて地平線へと落ちる準備
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すすき野原も光を失った
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風がないので巨人たちも動かない
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吉野川と鮎喰川が見える
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空にはたなびく雲
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月とともに
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彩雲も出た
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posted by 平井 吉信 at 23:22| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2019年11月03日

大神子の夕凪は渚からでも丘の上からでも


徳島市南部の大神子海岸はテニスコートや散策コースがあるため
市民の憩いの場となっている。
新たに購入したデジカメ(ソニーRX100M7)を持ち出して
散策してみた。
(仕事は立て込んできついけれど心が遊ぶ時間は必要)

夕暮れ間近の海岸は親子や家族を連れた人たちが思い思いの休日を過ごしている
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渚をあとに左手の遊歩道から海岸を見下ろす稜線をめざす
大神子は猫の聖地でもあるので山中にもいる
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かすかに息をはずませて稜線の林間をたどる道は静かな喜び
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稜線とは大神子の北に突き出た半島の背骨
だから南側の大神子と北側の津田・勝浦川河口が見える
大神子側
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勝浦川河口と遠くに徳島市の象徴眉山(びざん)
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眉のごと 雲居に見ゆる 阿波の山 懸けて漕ぐ舟 泊り知らずも
 
万葉集にもうたわれた眉山を紀貫之も舟から見たという
もちろん当時はビルはなく勝浦川三角州の平原が広がっていただろう

ほら、海を眺める静かな時間のために特等席がある
水平線を漂う雲は動かないようで少しずつ姿を変えて気がつくとそこにない
それを見る人もまた同じ
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和田の鼻の沖を通る貨物船
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一本松の礒は数年前に松が枯れてしまった
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巣にかかった羽アリをいままさに食べようとする女郎蜘蛛
これも生命の営み
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RX100M7は飛んでいるトンビを追いかける
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渚に降りてくるとそろそろ家路をめざす時間
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太古から繰り返されてきた渚の夕暮れは
いつも決まって家路を連想させる

台風や水害の被害に遭われた方も
津波で大切な人を亡くされた方も
いまは病気で闘病中の方も
あまねく佳き日であればと。


posted by 平井 吉信 at 10:55| Comment(0) | 里海