2019年08月23日

夏の夜 おだやかな経営を求めて 幸福な経営について考える全10回の場

元号「令和」の考案者とされる中西進さんは89歳の現在も現役の研究者である。
ぼくも万葉集が好きでこのブログでもたびたび触れている。
だから明日香村へはたびたび足を運んでいる古墳にも関心が深い。
中西先生の著作も2冊購入している。

万葉集の研究者の第一人者であるとともに、
アカデミックな分野での地位と名誉の数々を得ていらっしゃるが
ご本人は気さくなお方のようにお見受けする。

なによりも万葉集の普及啓発のために各地で開いた勉強会は
昭和から始まって令和にまで達する。
いまなお新作の著書が旺盛に発刊されている。
人々を幸せにすることでご本人も幸福な人生を歩まれている。
中西先生のご健勝をお慶び申し上げるばかりである。

★ ☆

ぼくは10代の頃、誓ったことがある。
それは百歳まで現役でやっていきたいということ。

お金には執着しないが、
自分のやりたいことをやっていれば
自ずとお金は入ってくる。
だから年金2千万円問題も個人的には頓着しない。

☆ ★ ☆

8月26日(月)から小松島商工会議所で始まる塾では
第1回のテーマが「幸福を見つめて〜 80 歳まで続けられる経営〜」

今日の経営と生きるテーマを扱っていて
最新のマーケティングやマネジメントを扱いつつ
中小企業・小規模事業者のために簡潔にお伝えしていこうと考えている。
座学が1時間に、グループでの意見交換の楽しいひととき。

月曜日朝の申込も有効なので以下の項目を添えて
小松島商工会議所までどうぞ。(受講料無料)
小松島商工会議所(小松島市小松島町字新港36)
電話0885-32-3533
fax0885-32-0008
cci-bansou@komatsushima.ne.jp


(申込者)
住     所
事 業 所 名
氏     名
連 絡 先(電話)
連絡先(メール)


カリキュラムはこちらから。
2019koma_lec02.pdf
posted by 平井 吉信 at 22:51| Comment(0) | 徳島

2019年08月15日

2019年 盂蘭盆会


ご住職に読経していただいたのは盆に入る前だった。
うちの菩提寺は檀家が多いので8月に入ったら地区ごとにまわっていく。
昨日はご先祖を迎えに行って家に帰ったところで読経を行う。

開経偈
般若心経
観音経(第二十五掲)
十三仏真言
光明真言
大師法号
回向
(自己流だが詠んでいるうちに寝てしまう家族もいる)
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数日前に仕事の帰りに立ち寄った知人宅で
盆というのに線香もあげず読経もせず帰ってしまったことを思い出して
そのご家族の分も詠んだ。
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きょうは終戦の日。
魂にとっての慰めは戦争を起こさせないこと。
終戦と盆が重なったのが象徴的。
普段は見守っていただいている祖先に感謝を捧げる日。

家族、親族、友人、知人、国民…すべての幸福を願いながら
祈りのなかに昇華させていく一日。
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台風は四国から去った。
家の周囲の土嚢を撤去して2019年の盆は過ぎていく。

posted by 平井 吉信 at 17:51| Comment(0) | 生きる

徳島の阿波正藍染め+オーガニックコットンの敷物が誕生するまで(栄光カーペット株式会社、徳島県つるぎ町)


徳島県つるぎ町の栄光カーペット株式会社が藍染めの敷物を開発したと聞いて
直接現地を訪問した。
徳島は全国有数の藍染めの産地で「阿波藍」を知らない人はいないだろう。
今回の阿波藍を使った敷物は、全国初の取り組みではないだろうか。
同社の辻社長と奥様の倫子さんにご案内をいただいた。
→ 2019年7月11日 徳島新聞に「藍染めの綿糸で独自製品」と掲載

エピローグ 風合いと色合いをみる

まず、触れてみてください。 
人が敷物に触れたときの最初の感触が大切です。
それは、やわらかでふんわりとしている感じ。
通常の素材では味わえないこの風合いをどのように出すのか―。

次に色を見てください。
この青は徳島の伝統的な色彩である藍色で
東京五輪でも使われているものです。
化学染料と異なる天然藍の色合いをどう活かすのか―。
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オーガニックコットンを阿波正藍染めで染めた糸でつくってみてはどうでしょうか。

敷物の素材の基本知識
通常の敷物はアクリル100%、もしくはナイロン100%を使うことがほとんどです。アクリルは色数が多く染めやすい利点があり、ナイロンは長繊維のため掃除機をかけても毛羽立ちにくく糸のへたりが少ない利点があります(ただしナイロン糸が高いので製品としては多くない)。
天然素材の敷物としてはウール、麻、綿があります。ウールはメーカーから見て扱いやすいのですが毛羽立つのとごわごわ感があります。麻(リネン)は平織りでは存在するもののフック織りではほとんど見かけません。綿も同様に流通が少ないのは、染色に費用がかさみ製造も手間がかかるためです。

平織り…毛が短く裏張りがなく折り曲げて保管ができる、家庭で洗うことができる利点がある。防音効果がクッション性に劣る。

フック織り…フックガンでパイル糸を打ち込んで固定する製法でデザインの自由度が高い。当社の主力製法。


オーガニックコットンがもたらす限りなくやさしいたたずまい
それは綿100%だからです。
綿100%の製品にはほかにない特徴があります。
それは人が触れたときの感触。
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ゆっくりと触れるように掌を置いてみると
気持ちよさが感じられます。
どうせなら良い素材を使おうと考えて
オーガニックコットン※(100%)を選びました。
(※インド綿GlobalOrganicTextileSandard認証)

次に綿を活かす織り方を研究しました。
敷物の品質を決定づけるのは、パイルの長さと目付(糸を折り込む密度)です。
長さが短い、もしくは密度が低いとぺたんとした感じになります。
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オーガニックコットンの感触を味わえるパイルの長さと密度を求めて試作した結果、パイルは長め、密度は高めが良いと判断しました。このことは糸をふんだんに使用することとなりますが、五感に働きかけることが大切として織り方を決定しました。

糸から伝統の自然な色に染める阿波正藍染
藍染めの敷物とは、敷物が織り上がってから藍染めを施すのではありません。
オーガニックコットンの糸の段階から染める必要があります。
そこで綿糸を阿波正藍染めの染色工場に持ちこんで
染めていただくことにしました。
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徳島は吉野川の洪水が肥沃な土をもたらし
藍作が盛んとなりました。
明治の頃から日本有数の藍染めの産地です。
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吉野川は東西に流れる大河なので夕陽が沈んでいく。影絵のように浮かぶカンドリ舟
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ところが藍染めの本場徳島でも糸を染めていただける会社は片手にも届きません。
ようやく協力していただける染色工場様を捜し当て
伝統的な方法で染めていただいた藍染めの糸で敷物を試作したときの感激は忘れません。
どのように活かすか、試行を重ねたところ
3種類の濃淡をそのまま使うプレーン(単色)のほか、
濃淡3色を使ってグラデーションや
波の模様などを織り上げました。
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おすすめの用途
製品は特に○○用などとしておりません。
この素材感をお好きに活かしていただけたらと考えます。
フロアや椅子の上に置いて
友人や大切な人たちをおもてなしてみるのもいいかもしれません。

金額が高いと思われるかもしれませんが、素材と染め賃に由来するもので
面積が大きくなると高くなっていきます。
手が届く価格でまずは感触をお確かめいただけるのがチェアパッド(椅子やフロアの着座用)です。
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もう少し大きくなると、この上で寝転んでいただくことができます。
自然の風を感じながらうたた寝をする休日の午後にいかがでしょうか?

流通を省いて直販で
絨毯やカーペットをつくる会社は日本にどれぐらいあると思われますか?
業界団体がないので正確な事業所数はわからないのですが
当社が把握する限りでは10社程度ではないでしょうか。
そのほとんどは当社と同様に下請がほとんどで、
一部の通販対応を行っておられる事業所を除いて
最終的に製品をお使いになられる方々とお取引がない場合がほとんどです。
流通を通して販売しているので私たちの会社には営業部も販売員もいません。

その代わり、近所の女性たち約10人に働いてもらっています。
彼女たちには来られるときに来て仕事をしていただいています。
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子どもが病気、親が介護を求めているときは気兼ねなく休んでもらいます。
働き方改革などと昨今呼ばれるような取り組みかどうかはわかりませんが
当社ではずっとそのようにしています。
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仕事も家庭も両立しながら安心して取り組めることが人生の生きがいと製品の品質につながると考えます。
女性たちの勤続年数は長い人で30年程度(複数)、短い人で3年、
多いのは10数年程度と長く続けていただいています。
彼女たちがのびのびと仕事をできる環境を調えることが経営者の役割と思っています。
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ここで会社の近所をご紹介いたします。
吉野川支流の貞光川の傍らに工場があります。貞光川は西日本第二の剣山から流れ出す清冽な流れ。
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貞光川に架かる欄干のない橋(潜水橋)を通って貞光のまちなかへと入ります
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以下のリンクは吉野川沿いのつるぎ町を自転車でまわるツアーの動画です。
急傾斜地の農業の様子なども出てきます。
(ブロンプトンポタリング協会作成)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=184&v=3GRLxV9XDdo

地域を挙げて支えていただいています
商品開発や販路開拓とは無縁の世界でやってきたので
誰かに相談してみようと考えたとき、徳島県信用保証協会からお声がけをいただきました。
「これまで消費者に販売したことがないのですが、新開発の製品については高価になりすぎることとお客様と意思疎通の必要を感じるので流通を通さず製造直売のスタイルが取れないかと考えていますがどうでしょうか?」と。
それに対して専門家派遣制度をご紹介いただきましたので、
製品開発や販路をともに検討し、やがてマスコミに取り上げてもらえるようになりました。
いまご覧になっているこのWebサイトもそのようにしてできております。

実は私たちはメールのやりとりが苦手です。
落ち度があってはいけませんし、細かなニュアンスをお伝えしたいので、
お問い合わせは、電話とfaxでお願いしています。
製品について工場までお越しいただければ
現物をお見せしながらご納得していただけるよう説明いたします。

弊社以外に現物をご覧いただける店舗として、
徳島市の阿波おどり会館内にある「あるでよ徳島」をご紹介いたします。
そちらには徳島の特撰ブランドが揃っていますのでご訪問をおすすめいたします。
〔あるでよ徳島〕
●開館時間/9:00〜21:00 (12/21〜12/27・1/2〜1/10=9:00〜18:00)
●休館日/12/28〜1/1、6月、10月、2月の第2水曜日(祝日の場合は翌日)
●駐車場/3,000円以上お買い上げの方は1時間無料[対象パーキング]・阿波おどり会館駐車場・眉山パーキング・新町地下駐車場
●問い合わせ先/公益社団法人 徳島県物産協会
TEL:088-622-8231 FAX:088-623-9779


お届けできる主な製品
(価格はいずれも工場お渡し直販の場合)
阿波藍の円座(チェアパッド 直径35センチ)2万円+税
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長方形(60センチ×90センチ、部分敷きにお使いいただけます) 9万円+税
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小さな欠片を吊して何かにできるかも(企画中)
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お取り扱いの注意
藍染めは色落ちすることがあります。
これまでのテストでは特に顕著な現象は認められていませんが、白の無地の服や汗ばんでいるときはご注意いただけますと幸いです。
製品は裏打ちしているため水洗いができません。
汚れのひどいときは当社で対応いたしますのでご連絡いただくのが良いかと存じます。
ご購入後も安心してお使いいただけるようにいたします。

栄光カーペット株式会社
代表取締役: 辻 智
〒779-4103 徳島県美馬郡つるぎ町貞光字宮内20
電話 : 0883-62-2191
fax : 0883-62-5158
営業時間 : 8:00〜18:00
定休日:日曜・祭日
公式Webサイト:https://eiko-carpet.com/
(一部はWebサイトから買い物かごで購入可能。特注寸法も承るとのことで見積もり応談)
posted by 平井 吉信 at 10:53| Comment(0) | くらしとともにあるモノ

2019年08月14日

広島と長崎の平和宣言2019 おだやかな時代の到来を信じて


広島市と長崎市の首長となる人は運命を背負っているかのようだ。

平和宣言(広島市、2019年) http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1110537278566/index.html

平和宣言(長崎市、2019年)
http://www.city.nagasaki.lg.jp/heiwa/3020000/3020300/p033237.html

この世界はナショナリズムとイデオロギーのぶつかりあいで
風前の灯火となっている。
(この危機感は感じられる人とそうでない人にくっきりと二分されるようだ。先の参議院選挙もそうだった)

資本主義も共産主義も行き詰まりを見せている。
どちらにも共通するのは貨幣経済を出発点としていること。
為替や株価などには関心が集まっても
異常気象の多発や食糧の自給には関心が高まらない。

国の施策が税金を使って国民を弱らせていくなかで
それを非営利の団体や有志が寄付や献身的な活動で
国民を支えているのが日本の姿。

もはや競争原理は不要だ。
政党とは良い政策を考えることを競わずに
権力を競う。
だから差別化を図るために対抗軸がころころ変わる。
(主義主張はあってもめざす理想はないのだ)
TPP反対と言っていた政党が与党になればTPPを推進しようとし、
権力を近づけるために自らの身上を変えてすり寄る政党や政治家を見てきた。
与党も野党もぼくには違いがわからない。
政党政治はすでに死んでいる。
(だからといって政治家や政党が信用できないから棄権する、というのは間違っている)

合区だから棄権する、人柄や主張がわからないから投票しないというのなら
(あなたの)未来は残念ながら拓けないと思う。
一票の格差が憲法違反であるという理屈なら
選べない県民、2県をカバーしなければならない政治家の存在は憲法違反ではないの?
憲法は国民の幸福のためにつくられたものだから
一人の独裁者(実質的に)が意のままに社会を動かしている現状は
憲法違反ではないの?

ぼくは憲法は改正すべきと思っているが
それは第9条の追加とか加憲ではなく全面改定が必要と思っている。
日本がめざす理想の社会を描き切れていないから。
部分的には生態系の保全とか遺伝子資源などへの言及が必要だし
平和への理想を掲げて核兵器の廃絶を世界に呼びかけることで
平和国家たる外交をめざすなどの理念を打ち出したいから。
(言論の自由が脅かされているいまの社会を見ていると憲法に欠陥がある、もしくは運用に悪意がある、ないしは三権分立が確立されていないなどと思える)。

憲法は改正すべきであったとしても
それがどんな動機でやろうとしているかが問題。
動機のわかりやすさからいえば
弱い者が行きづらい世の中から脱却することを訴える意味で
れいわ新選組の2人の当選は主張と行動が合致して明快だ。

でも政治を変える前に社会を変えていくことが必要だ。
なぜならいまの政治を選んでいるのはいまの社会だから。

愛、思いやりが生き方の基準(ぶれない軸)となって
誰かのために働く歓びが社会の規範となる社会をつくりたい。

もしそんな社会が数年以内に実現しなければどうなるか?
絶望と相互不信から貧困の進展、差別意識の増長と格差拡大、
やがては戦争へと突き進むだけだ。

松井市長、田上市長の志は凛と響き渡ったが
それを苦虫をかみつぶした表情で聞いていたこの国のリーダーの姿が画面に映し出された。

まずは一人ひとりが美しい未来をはっきりと描くこと。
文字でもいい、絵でもいい。
描いては家に貼っておくなどしていつも心に刻んでいく。
理想の社会を描いたら、その処方箋はやがて見つかる。
まずは理想を描くこと。

理想の社会を描くとしたらそれほど変わらない姿を描けるのではないか。
だからまず描くことが大切なのではないか。
ひとしずくの希望があるとしたらそこではないか。

もしあなたがお金がないことを不安に思うのならその必要はない。
お金よりも大切なこと。その価値は計り知れない。
そのことを大切に生きていくことで
年金が少なくても貯金が少なくてもなんとかなる。

不安を思い続ける日々はムダ。
いくら不安に思っても何も変わりはしない。
それよりも自分ができること、やりたいことに的を絞って
未来を信じて生きてみる。
(生きていくことに不安は感じなくていいよ。未来は意志の力でつくるものだから)

そのための知恵と行動を集めてみようと思って
「おだやかな経営」というWebサイトを開設した。
https://www.odayaka-keiei.com/

仕事の合間を縫ってでコンテンツがなかなか増えないが
夜寝るときも夢のなかで原稿を書いている。
朝起きたそのときは覚えているのだけれど文字として定着できていない。

それでも気付いたことがある。
「おだやかな経営」とは経営のハウツーではなく
経営を通して幸福になれる道筋を描いているのだけれど
(経営者だけでなく従業員や地域社会も)
土壇場のところで日本人が目覚めて
新しい次元(価値観)で生きていけるのではないかと。

理想の社会は貨幣経済のなかにないことが数百年をかけた社会実験でわかってしまった。
心あたたまる未来を描くとき
貨幣経済の弊害にまみれないばかりか、貨幣経済を味方にして
お金に溺れずお金を社会のために有効に活かすことで
(そしてそのことに重きを置かず結果として得られるものと捉えつつ)
社会を変えていく心を描きつつ共感する人たちに語り掛けるWebサイト。
「おだやか」とは新しい時代の合言葉になるのではないかと強く念じつつ。
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タグ:政治経済
posted by 平井 吉信 at 21:26| Comment(0) | 山、川、海、山野草

台風チェックリスト(再掲)


台風銀座の徳島県海陽町にお住まいの日比裕子さんが時間を掛けて作成していただいた
台風情報のリンク集を再掲します。
(以下にブックマーク先)

http://soratoumi2.sblo.jp/article/184340384.html

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四国に上陸が懸念される今回の台風では
徳島県は南部を中心に夜半過ぎから昼ぐらいに豪雨が予測されています。
避難される方は14日夜のうちにどうぞ。
(うちでは土嚢積みが終わったところ)

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参考「災害時に役立つラジオ(2020年版)」
http://soratoumi.sblo.jp/article/187322503.html
タグ:台風
posted by 平井 吉信 at 20:38| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2019年08月12日

吉野川 穴吹町から山川町にかけて


川沿いを運転していると
ここで立ち止まりたいと思うことがある。

水面の縦の流れと横の波、そこに映る河畔林、
土手の向こうの霞む山脈と堂々と浮かぶ雲。

ここでの川は「河」と呼びたい大河である。
もし、日本の川が擬人化して野球選手になるとして
全日本の4番と5番を打つのは誰(どこの川)か?

全国の川好きに問うてもほとんど異論が出ないだろう。
4番 吉野川
5番 四万十川である。

4番を打つのは「日本一」があまりにたくさんあるから。
日本一の基本高水(これだけで十分だろうけれど)、
四国山地を豪快に横切る日本一の横谷「大歩危小歩危」、
そこでは世界ラフティング選手権が開かれた激流の景勝地。
日本一の水質を持つ支流があり、
池田から岩津にかけて距離50km、面積270ヘクタールの日本一の竹林(水害防備林)、
姿を変えながら三百年近い時を刻む第十の堰、
そしてそこでは後世にまで語り継がれるだろう民主主義の範となる市民運動を刻んだ。
川の歴史と自然条件が藍を育んだ。
かつては幻のアオギスが棲み
ラムサール条約登録地でもある河口干潟はシオマネキなど水生生物の宝庫。
河口は全国一のスジアオノリの産地でもある。
瓶ケ森の南斜面から流れる清冽な水の色はほぼ空色であり
例えようがない明るさと深みを持っている。
池田から徳島まで川が東西に流れるため、太陽が川から昇って川に沈む。
カンドリ舟が水面に影絵となって散乱する。
だから全日本の4番である。

四万十川が5番というのは、
あの悠然たる穿入蛇行と
山裾を洗って流れる桃源郷のような下流の佇まい、
そこに架かる沈下橋と川とともにある人々の暮らし、
川が郷愁を持って語られる最初で最後の呼び名「日本最後の清流」。
太古から好きなところを自由に流れるその姿は5番にふさわしい。
吉野川と四万十川が4番と5番を打つのなら
あとはどんな川が入るか考えてみるのも盆の一興かと。

四国からはもうひとつ那賀川が入る。
一日にもっとも多く雨が降った木頭村と
四国の霊峰剣山に源を発する槍戸川の水を集めて
鷲敷ラインの急流とここにしかない生態系を持つ。
国がダムをつくろうとするのを村長が先頭に立って
全国で初めて止めたのもこの川の上流が舞台だった。
犠牲が大きかったが、いまではそのDNAを受けつぐ人が
志を持って会社経営を行い故郷に錦を飾ろうとしている。
打順は3番でもいいと思うが、2番という手もある。

1番、2番はダムのない清流がいい。
ここも四国の海部川、野根川が入るのではないか。

6番には仁淀ブルーの仁淀川。四国の川だけで全日本が編成できそうだが、
後は九州の球磨川・川辺川、中国の錦川、近畿の熊野川、北海道の沙流川。

代打として、天塩川、石狩川、北上川、信濃川、木曽川、長良川、江川が入るのではないか。
(利根川が入っていないではないかとの声もあるが、打線には瞬発力や機動力も必要だ。静岡の狩野川を入れておきたい)。

結局はこんな感じで。
1番 海部川
2番 野根川
3番 那賀川
4番 吉野川
5番 四万十川
6番 仁淀川
7番 熊野川
8番 錦川
9番 狩野川

1,2番の控えで代走 沙流川、釧路川
DH 信濃川、天塩川、江の川
代打の切り札 長良川、那珂川


結局、ベストナインに6人(それも1番から6番)が入った。
この価値に気付いていないのは四国の人。
良い川があることがどんな恵みをもたらしているか
掘り下げて考えてみたら良い。
暮らしの本質とかけ離れた観光キャンペーンではなく
四国は暮らしそのものを見つめること。
だから地元の意識が変わらぬ限り、キャッチコピーや動画をいくら繰り出しても無意味。
川とともにある人々の暮らしこそ、四国の本質と言い切ってしまおう。
(ぼくは行政の観光振興にまったく期待していない。LEDやプロジェクションマッピング、イベントや記念オーケストラなどではなく、例えば図書館の蔵書を充実させることがほんとうの文化振興であり、ひいては観光振興につながる。課題の連鎖を顧みず表面的なKPIやPVだけ見てそこに至るプロセスにお金をかけても意味がないよ)


前置きが長くなった。
吉野川の穴吹町から山川町にかけては自転車でたどるのをおすすめする。
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タグ:吉野川
posted by 平井 吉信 at 00:21| Comment(0) | 山、川、海、山野草

2019年08月03日

藤の里工房(徳島県三好市山城町) 妖怪の里から手づくり食品を届けます


藤の里工房は、吉野川大歩危峡に流れ込む支流の藤川谷で
地元の女性グループが立ち上げた生活改善グループ。
その中心メンバーの方々からお話を伺う機会があった。
その際に商品をいくつかいただいた。

1.藤の里工房の製品の紹介

よもぎ餅。よもぎがふんだんに使われながらも、何個でも食べられそう

よもぎは険しい渓谷のその支流にある集落で
霧立ち込める急傾斜の場所で育てられたもの。
さっそく工房の隣の畑から採ってきていただいた。
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よもぎの香りが立ちこめるのは
よもぎがふんだんに入っているからである。
採れたてを加工して冷凍して使われている。
餅は穴吹町産のもち米

作りたてをいただいたら、大地の恵みが押し寄せてくる。
あん入りとあんなしの2種類が選べる。
これはどちらもはずせない。
あんなしでは、米の素材感、噛むたびにじんわりと。

あん入りもいい。
塩をややきかせて甘さを抑えている。
田舎のよもぎ餅は甘いだろうという先入観があるけれど
素材の旨味だけでなく塩による輪郭の切れ味がある。

パンフレットから
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なによりたっぷり食べて欲しいという集落の女性たちの思いが感じられる。
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このよもぎ餅がつくられた土地に足を踏み入れた。
集落に向かう前に必ず通過するのが大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)。
四国の大河吉野川が四国山地を横切る深い渓谷。
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瀞場と激流が交互に現れる荘厳な風景
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三波川帯に属する変成岩が露出する独特の地形
かつては旅の難所であったことから大歩危小歩危と名付けられた
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その大歩危峡の左岸に流れ込む支流、藤川谷川沿いに点在する集落が上名(かみみょう)地区である。
この地区で生活改善グループが立ち上がった。
生活改善とは農村の女性たちが地域資源を活用して収入を得る自主的な取り組みで
行政が支援を行って自立を支えることもある。

藤川谷には妖怪がいる。あでやなか藤娘は昼間見ると美しい
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上名地区でも山の幸を活用した加工品の生産が行われてきたが、
約20年前に当時の山城町が工房を整備し
その運営母体として藤の里工房(加工組合)が生まれた。
当初から活動を行っている組合長の岡田正子さん、
副組合長の古佐小(こざこ)夏江さんにお話を伺う機会があった。
お二人はこの場所で生まれ育った方々である。

人気商品の田舎こんにゃく
21世紀は腸の健康の時代とも呼ばれ、
脳にも劣らない身体の司令塔としての腸の役割が注目されている。
それによると腸内細菌のバランスが健康や人の性格まで決定づけるという。
腸内で善玉菌が活性化するには食物繊維が欠かせない。
こんにゃくはカロリーが低い上に食物繊維が豊富で
腸の機能を健全に保つ上で理想の食材である。

こんにゃくの原料はコンニャクイモ
アクが強いため草木を焼いた灰にさらして灰汁抜きを行うが、
同時に灰はこんにゃくを固める働きも持つ。
藤の里工房のコンニャクは薬剤ではなく昔ながらの樹木の灰からつくる。
その製造工程を見せていただくために工房を見せていただいた
(工房へは衛生対策を施して入室している)。

工房は藤川谷川を見下ろす高台にある。
明るく衛生的な設備を使って
地元の女性たちがこんにゃくをはじめとする加工食品をつくっている。

ぐらぐら湯気が立ちこめる釜
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コンニャクイモが蒸し上がったところ
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機械で定量に分けて人の手でかたちを調え熱湯でゆがく
3人の息が合ってコンニャクイモに整形されていく
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熱湯に投入される
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工房の窓からは藤川谷に面した対岸の斜面が見える
藤川谷川の流れは早い
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藤川谷を見ていると水がおいしいことが連想される。
斜面の湧き水の滴が生き物のよう。
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湧き水は児泣きじじいの像のたもとにある
(妖怪の里については以下にご紹介)
http://soratoumi2.sblo.jp/article/162504391.html

良質の水を産する地区では
こんにゃくイモも集落でつくられている
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(こんにゃくイモってこんな植物だったんですね)


タカキビやコキビを入れた餅
冒頭で紹介したように
藤の里工房でもっとも売り上げが多いのは餅である。
雑穀街道とも呼ばれる祖谷地方はそばやきびの栽培が盛んである。
(大歩危小歩危と祖谷は一体の観光地)
ただし生産量が減っていて地元だけで賄うのが難しくなっているという。
トウモロコシはほぼ地元で賄えている。
白(そのまま)、タカキビ、ヨモギ、コキビなど4種類を織り交ぜた餅の詰め合わせが人気だ。
それもあん入りとあんなしがある。
通信販売では地元の方が都会に出た家族や親戚に送ることが多いのだそうだ。
催事販売で食べた人が製造元を突き止めて電話をかけてくることもあるという。

米と麦でできた濃厚な風味のみそ(商品名「手前味噌」)

ご飯とみそ汁で食事が終わるというのは手間がかからずとても便利。
いまふうの言葉で時短調理にも叶う。
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みそ汁ばかり食べていたら高血圧になるだろうって?
ところが三食みそ汁を食べていた家系が阿波市にあって
家系図を見せていただくと90歳を超える長寿者が続出していた。
その秘訣は三食みそ汁。高血圧は一人もいないとのこと。
みそという発酵食品には健康を維持する効果があるのだろうと思う。
野菜や豆腐など具だくさんのみそ汁では
野菜に含まれるカリウムがナトリウムを排出することもあるだろう。
さらに具だくさんのみそには出汁は要らない。
野菜や肉などから旨味が溶け出すので入れないほうが香りや風味が引き立つのだ。

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毎日の食卓に上がるみそとしては
・安心できる原材料でつくられていること。
・具だくさんにも負けない風味の濃さ(旨味)があること。それも食べ飽きないおいしさであること。
・毎日食べるので手頃な価格であること。

この3つを満たすのが「手前みそ」である。
みそをそのまま舐めると、風味の濃さがわかる。
素材と出会うとみそがおいしさへと引っ張り上げてくれる感じ。
風味にくせは感じないので万人向き。
加熱やアルコール添加をしない(=熟成を止めていない)生みそ。
ゆず果汁と米油を適宜混ぜると和風ドレッシングになるし
豚肉と野菜の炒め物などにも使えそうだ。
もともとは一日に4食の時代に保存性や料理をつくる手間を省くところから
それぞれの家庭でみそをつくっていた。


訪問時にも香川県内の方(初めて)からお電話があり
これまで食べたみそのなかでもっともおいしいと言って取り寄せを希望されていた。
最初は三好市内の民間の産直市(しののめ産直市=往時の池田高校の生徒が食べていたという肉料理のおいしいレストランウエノが直営)で購入されたそうだ、
一度こちらに来たいともおっしゃっているようだ。
(電話の声から会話を想像できたことだけど)

みそは、年に一度、2月の大寒につくる。
麦麹と米麹が半々で大豆は地元三好市産
少なくとも1年以上、出荷時期によっては2年近く寝かせている。
この熟成(時間)はお金で置き換えられないもの。
だから袋詰めしてからもみそは生きている。
ぼくも自宅で県内の評価の高いみそと比べてみた。
(うちには常時5〜6種類は置いている)
この価格でこれ以上の品質は得がたいと思われた(県内のみならず国内でも)。
塩分濃度は15%とやや低めながら風味は濃厚。それなのにくせがない。
味の個性と普遍性が高い次元で達成されている。
話を伺ってみると、いまや世界各国から観光客が押し寄せる大歩危祖谷の温泉郷では
藤の里工房のみそを使っているところが多いそうだ。

参考までにぼくがおすすめする県内のみその銘柄は、
西から三浦醸造所、ヤマク食品株式会社(生協仕様)、津山さんのみそ(津山商店)、みつみそ(海陽町石本アケミさん)
険しい急傾斜地の集落を食で支えたみそは
都市部の方々や健康志向のご家庭にぜひおすすめしたいものだ。

代表の岡田さんは少しはにかみながらこういわれた。
ひそかな自信作なんです」
(だから、手前みそなのだ)


2.藤の里工房と上名(かみみょう)集落
藤の里工房は、10人ほどのメンバーで運営されている。
受注が立て込んだときは別として
必要な作業があれば手の空いた人が入る場合も少なくない。

原材料もほとんど地元で調達されている。
例えば、ヨモギは買い取り価格を取り決めている。
畑でヨモギを栽培している組合員もいる。
このように材料を出荷する農家の収入と、
手の空いたときに生産を行なうパートタイマーの収入とで暮らしを支える一助となっている。

設備こそ行政の支援を受けているが、地区の女性たちによる、
地域にあるものを活かして自立と協働による独立運営が続いている。
事務室の壁面にはこれまでの取り組みに対する表彰や
知事が訪問した際の写真などが掲げられている。
藤の里工房の製品は地元のスーパーや
良質の食品を販売する事業所等からの引き合いで注文が途切れることはないという。

工房の初期のメンバーと思われる写真(立木義浩さん撮影)
2004年に公開された映画「村の写真集」と関係があると思われる
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工房から見上げる斜面は上のほうまで集落が点在している。
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川沿いからは見えない高さまで民家があるという。
藤川谷に展開する上名集落のことをもっと聞きたくなって
岡田さんに集落の状況、とりわけかつての暮らしについて伺ってみた。

尾根に近づいてなお集落が点在する かつては尾根沿いに移動するのが最短ルートだった
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薬草の栽培も行われている
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山城茶、大歩危茶などの名称で知られる茶所
愛媛県側の新宮茶とともに上品かつ味わい深い茶を産する
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雑穀街道というコンセプトできび類が植えられている。藤の里工房でも餅に欠かせない
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半鐘
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農作業や運搬に欠かせないクレーン。モノレールを使うこともある
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集落をめざしてつづら折りに道は続く
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見事な石積み
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平田美代子さんが運営する農家民宿「天空の宿」。
ここも相当高い場所にあるので星空が近い絶景が愉しめる。
平田さん夫妻のおもてなしも人気。
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3.上名集落のかつての暮らし
山へ行き着いたら夜が明ける

朝、4時に起きて炊事を行い、ご飯とみそ汁と漬物の朝食を5時にいただく。
台所は土間となっていて薪が燃料である。一人ひとり自分の茶碗を入れる蓋のついた飯台があった。

岡田さんの家では、野鹿池(のかのいけ)山の中腹にわさび田を持っていた。
山頂には鹿が水を飲む池があったことが名の由来となっている標高1,294メートルのシャクナゲの名山である。
お母さんは自宅から6km(1時間半)離れたわさび田まで弁当を背負って毎日通った。
それもみんなが起きないうちに集落を抜けていく。
夜が明けてノコノコ歩いていると集落の人と顔が合う。あそこの嫁は仕事にかかるのが遅いなどといわれたくないから早朝に家を出る。
山からの帰りはわさびを背負い、川沿いの道まで降りてくればリアカーを押して戻った。
炭焼きをしている人は薪を背負って帰った。当時の山は植林(杉)ではなく雑木であった。
いまも炭焼きしている70代の人が一人いる。

午前10時頃に2回目の食事をいただく。これを一番茶と呼んだ。
山へ行くときは弁当行李に、なすびのみそ漬けなど塩辛いものを入れていた。
この辺りは急傾斜地に家があるので水はけが良く良質の芋が採れる。茶の名産地でもある。
急傾斜地では焼き畑を行い、山を焼いたあとにミツマタを植えていた。
タバコをつくって池田の専売公社で買ってもらった時代もあった。

午後2時頃には二番茶を食べた。
一番茶とほとんど同じ食事だが、おやつにとうもろこしやいもを焼いて食べることもあった。

田んぼのない家では「はたいね」(陸稲)という畑に育つ稲を植えた。家で食べる米はそれぞれつくっていた。

おとなだけが仕事をするのでなく子どもにも役割がある。

子どもは子どもで家の仕事がある。芋を掘って洗う、大麦を研いでよますなどの役割があった。
「よます」とは麦を炊いたあと一晩中そのままにすることからよまし麦という。
これを麦ご飯として食べる。

学校では、幼い妹や弟の面倒を見るのも役割で学校に子どもを連れてくる小学生もいた。
子どもたちの遊ぶ場所は山や川で夏は藤川谷で水遊びをする(さすがに大歩危小歩危では泳げない)。
集落に子どもがたくさんいて上級生が小さい子どもの面倒を見るのが習わし。
泳げない子どもを岩から突き落として水に慣れさせる荒療治もあったが、
そんなときも注意深く見守り、年少の子どももやがて泳げるようになった。
谷の水は冷たく長くは泳いではいられない。
唇が紫色になってくると小さい子どもを上がらせる。
ときには上級生が下級生をまとめて勉強を教えることもあった。

子どもの遊びは川だけではない。
曼珠沙華の花が咲く前の葉っぱだけのときに、シュロの皮を敷いて斜面で尻すべりをする。
木馬で遊んだり、竹を焼いてソリをつくることもあった。

雑木林の里山に入ればグイミの赤い実を採って生のまま食べた。
グイミはグミの方言で渋みや酸味があった。
莓はクワイチゴ、タウエイチゴ(ナワシロイチゴのことだろうか?)、ノイチゴ、サガリマメイチゴ(キイチゴの方言であろう)などを採って食べた。

白い花が咲くヨジメ(ガマズミのことだろう)は秋になったら朱い実が成り、霜が来れば熟れて甘くなる。見かけが干しぶどうのようで梨の味がするというテンプナシ(ケンポナシ)も食べた。
山のイタドリ、スイコキに塩をつけて食べると酸っぱさが感じられる。山葡萄やアケビはいうまでもない。

子どものおやつは山にあったが、お母さんがつくってくれるおやつもあった。干したあられを煎った菓子、干し柿、いもの湯通し(サツマイモを茹でて縄につるす)なども食べた。

子どもが遊んでいる間、大人は暗くなるまで仕事をしている。そのため家に帰ってから炊事をするので夕食は午後8時頃になる。朝が早いからといって夕食が早いわけではない。
食事のあとはわらを束ねて茶碗を擦った。落ちにくいものを灰をつけて洗った。


岡田さんの人生の転機となったのが昭和38年、当時めずらしかった車の免許を取った。
旅の難所であった大歩危小歩危を通る国道32号線が拡幅されたのもその頃。
このことで移動が自由にできるようになった。
早明浦ダムができる前の渓谷は対岸まで見通せるほどの透明度であったという。

便利になった地区の生活だが岡田さんは昔を振り返って言う。
人とのつながりはいまもあるが、以前のつながりは違うと。
嫁に行くときは家へ手伝いに行く。
葬式には家へ手伝いに行く。
みんなで生きていた時代だったという。


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時代は移り変わり、岡田さんとて商品管理や会計にパソコンを使われている。
商売の経験などまったくない山間部の専業主婦が
良い商品を開発してここまでやって来られたという。
規模を大きくしようなどとは考えておられないが
地元の資源を活用して地元の女性の手で
ていねいにものづくりをされている姿が印象に残った。
ここで紹介の製品は、無条件でおすすめできるものである。
(このブログでは依頼を受けて書いているのではなく勝手に紹介している。広告記事ではないのはご存知のとおり)

実際に商品を入手しようと思ってもなかなかこの地まで来られない人もいるだろう。
その場合は電話またはfaxで問い合わせをされるといい。
クロネコヤマト便でお送りいただけるとのこと。
(インターネットでの通信販売は対応されていない。なお価格については消費増税が予定されていることからこちらには記さないが、いずれも手頃な価格である。この価格でこの品質はよそではありえないと思える商品がいくつかある)

〔主な製品〕
田舎もち あん入り
田舎もち あんなし
田舎もち 雑穀4種セット
生イモこんにゃく
わさび漬け(工房から徒歩1時間半入った野鹿池山周辺のわさび田からのわさび使用)
手前味噌
焼肉のたれ


藤の里工房
779-5452 徳島県三好市山城町上名1083-3
電話 0883-84-2737
fax 0883-84-2751

(おかけ間違いのないよう)
公式Webサイト https://www.fujinosato-kobo.com/
posted by 平井 吉信 at 17:03| Comment(2) | 食事 食材 食品 おいしさ